ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

『SELF』というアプリが不安や心配の連鎖を止める効果があることがわかった話

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ストレスやメンタルケアに効果的な人工知能アプリを使ってみた
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
不安や心配なことが次から次へと浮かんできて苦しくなる時ってありませんか?
 
 
そういう時に限って、誰かに助けを求めることができにくいことも多いですよね。
 
 
そんな時は、『SELF』というストレスやメンタルケアに効果的な人工知能アプリを使ってみると良いですよ。
 
 

こんなことがありました・・・

先日、相談業務の仕事でうまくクライエントさんに寄り添うことができず、
 
 
「クライエントさんをがっかりさせてしまったんじゃないだろうか」
「自分は相談業務に向いていないんじゃないだろうか」
「明日も今日と同じになってしまったらどうしよう」
 
 
という、不安や心配なことが次から次へと浮かんできて、もう頭がクラクラするくらいしんどくなることがあったんですね。
 
 
そんな時、スマホに『SELF』をインストールしていることを思い出して使ってみたんです。そして、AIロボとコミュニケーションを取っていくうちに、気がついたら、不安や心配なことが浮かんでこなくなっていたんです。
 
 
そんなことがあって、『SELF』は不安や心配なことが次々に浮かんでくるのを止めることに使えるなって思いました。
 
 
それまでは、AIロボと話したって不安や心配が消えるわけがないと思って、インストールしていたことさえも忘れていたのですが^^;
 
 
あの出来事で、不安や心配なことが次から次へと浮かんでくることを止めることに効果があることを実感しました。
 
 

なぜ『SELF』に効果があったのか?

脳みそはほっておくと不安や心配なことをどんどん捏造していくので、それを止めるには別のことに脳みそを使うようにしないといけません。
 
 
『SELF』を起動し、AIロボと話すということに脳みそが使われだすと、不安や心配の捏造ができなくなるんですね。そして、気持ちの整理もできていくので、冷静さが戻ってくるわけです。
 
 
これからは、不安や心配なことが次から次へと浮かんで来だしたら、とりあえず『SELF』をひらいてAIロボと話してみるのもいいなと思いました。
 
 

そもそも『SELF』ってなに?

最後に『SELF』の説明をしますね。
 
 
『SELF』はストレスやメンタルケアに効果的な人工知能アプリです。
 
 
使えるAIロボはこんな感じ。
 
 

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最初は右上の初期型ロボしか使えませんがやり取りを重ねていくうちにSyncLevelが溜まっていくと、その値に応じて使えるロボが増えていきます。
 
 
画像には載っていませんが、他にタルるートくん(懐かしい!)がいます。
 
 
無料アプリですが、美少女ロボとイケメンロボは4日以上使うなら課金が必要です。
タルるートくんも一部課金が必要です。
 
 
AIロボがいろいろと聞いてくるので、それに答えていくのがメインになりますが、今の気持ちにフィットするものを選んでいくことで、気持ちが整理されていきます。
 
 

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どの選択肢にしてもしっかり受け止めて応答してくれますし、質問をしてくる時もその質問の意味を伝えてくれて、本物のカウンセラー顔負けの丁寧さがあります。
 
 
たまにクイズを出されたりしますが、このクイズに答えることも、不安や心配の連鎖を止めてくれることに大きな効果を発揮していると思います。
 
 

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美少女ロボは、3日だけじゃ物足りなくなるくらいに寄り添ってくれます。イケメンロボも同じ。4日目以降課金するかどうか、いつも迷います。
 
 

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ものは試しなので、興味を持ってくれたのなら、ぜひ実際に使ってみてくださいね。
 
 
もっと詳しく知りたい方はSELFの公式サイトを覗いてみてくださいね。
 
 
 

おわりに

今日はストレスやメンタルケアに効果的な人工知能アプリ『SELF』を実際に使って、不安や心配の連鎖を止めることができたことをお話しました。
 
 
なんだか『SELF』の宣伝みたいになってしまいましたが、誰にも話すことができなくて辛い時に頼りになるなぁと実感しましたので、ぜひ、あなたにも使ってみて欲しいと思って記事にしました。
 
 
不安や心配なことでいっぱいいっぱいになって苦しくなった時の対処法のひとつとして、取り入れてみてくださいね。

音楽で心と体を効果的にリラックスさせるコツとは!?

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音楽で心と体をリラックスするコツ教えます
 
こんにちは どいつよしです。
 
 
 
新型コロナウィルス流行のおかげで、 やりたいことを我慢したり、今までと違う生活スタイルにイライラしたり、先行きの不透明な未来に不安になったり、ストレスが溜まりやすくなっていませんか?
 
 
そんな時にオススメしたいのは、【音楽を聞く】ことです。
 
 
そんなこと知ってるよ!
 
 
って、 思われているかもしれません。
 
 
でもね、これからお伝えする【3つのコツ】を取り入れていくだけで、音楽で心と体をもっと効果的にリラックスさせることができるんです。
 
 
その【3つのコツ】というのはこちらです。
 

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  • 壱の型:とにかく好きな音楽を聞く
  • 弐の型:クラシックやヒーリングミュージックを聞く
  • 参の型:今の気持ちや感じに合う音楽を聞く
 
 
 この3つを押さえておくだけで、とってもリラックスできるようになりますよ。
 
 
それではひとつひとついってみましょー!
 
 

壱の型:とにかく好きな音楽を聞く

これはすでに実践されているかもしれませんが、脳科学的にも理由があって、「疲れた時には、ジャンル関係なく自分が大好きな音楽を聞くことが脳にもよい(by茂木健一郎)」とのことです。

 

 

音楽評論家の湯川れい子さんは、ご自身のストレス解消法として「大好きなロックを聞く」ことをされているそうです。

 

 

僕は、大好きなアーティストが目の前にいて、自分のためだけに演奏してくれているかのようにイメージして聞くようにしています。そうすることで、ストレスになっていた気がかりを忘れることができますし、気分もスッキリしていくのがわかります。

 

 

また、リズムにのって体を揺らしたり、一緒に口ずさんだりすることもいいですね。凝り固まった体が緩みますし、声に乗ってストレスが外に出ていってくれます。

 

 

音楽でリラックス効果を実感するには、まずはここからがオススメですね。
 
 

弐の型:クラシックやヒーリングミュージックを聞く

一般的に心を癒やす音楽と言われているのは、クラシックや自然音をサンプリングしたヒーリングミュージックです。
 
 
なぜそれらがすすめられているのかというと、「1/f ゆらぎ」のリズムの曲が多いからです。
 
 
「1/f ゆらぎ」のリズムとは、私たちが心地よく感じる自然のリズムのことで、小川のせせらぎや波の音、虫の鳴き声といった耳から入ってくるもの、星のまたたきやろうそくの炎といった目から入ってくるものが代表的です。
 
 
私たちが「1/f ゆらぎ」で心地よさを感じると脳にα波があらわれます。α波が出ると、エンドルフィンという脳内物質が分泌されます。
 
 
エンドルフィンは「究極のストレス解消物質」などと呼ばれているほどに強い力を発揮します。エンドルフィンが分泌されることによって心も体もよりリラックスした状態になっていくことができます。
 
 
エンドルフィンはほんとに素敵な脳内物質で、心を休める効果だけではなく、脳機能や免疫力、身体の修復力を高めるともいわれています。
 
 
ということは、コロナウィルスの感染予防にもなっていくということもいえますね。
 
 
ちなみに僕はドビュッシーが好きなのでよく聞きます。特にピアノ作品全集を夜に聞くと、とても落ち着いた気持ちになります。
 
 
 
「クラシックやヒーリングミュージックがいいのはわかったけど、どれを選んだらいいかわからない。」という場合は、AppleMusicやAmazonMusicといった音楽配信サイトで試聴をしてみるといいでしょう。
 
 
ぜひ、お好みのクラシックやヒーリングミュージックに出会って、日常に取り入れてみてくださいね。
 
 
 
ここまで、「大好きな音楽を聞く」「クラシックやヒーリングミュージックを聞く」ということを書いてきました。さらに、音楽のリラックス効果を強力にするのが、次の【参の型】です。
 
 

参の型:今の気持ちや感じに合う音楽を聞く

音楽によるリラック効果を高めるには、【今の気持ちや感じに合うものにする】ということがポイントです。
 
 
【感じ】というのは、「なんだかうまく言葉にできないけど、今はこんな感じの音楽が聞きたいな〜」っていう感覚です。
 
 
今の気持ちや感じに合ったものでないと、どうもなんだかズレた感じがあって、いくら聞いても癒やしの効果を得られない、逆に落ち着かないということになってしまいます。
 
 
この【今の気持ちや感じに合うものにする】というのは、米国の精神科医アルト・シューラーの提唱した「同質の原理」を知っておくと実践しやすいです。
 
 
シューラーは音楽を使って心の病を患った人を治療していくなかで、患者の気分や心理的テンポに合った音楽を使用することで治療が促進することを明らかにしました。
 
 
悲しい時には「元気な音楽」ではなく、自分の気持ちを代弁してくれるような「悲しい音楽」を聞いた方が癒やされるということです。
 
 
また、曲調だけでなく、テンポや音量にも「同質の原理」があてはまることもわかりました。
 
 
日本の国立療養所琉球精神病院(現国立医療法人琉球病院)にて音楽療法をおこなっていた心理士の島袋安行さんは次のように述べています。
 
 
「現在非常に憂鬱であったら憂鬱な音楽をかける。非常にはしゃいでいたらはしゃがさせるような音楽をかける。それからだんだんと明るい方にもっていくとか、とにかくそこからスタートしていくということだ」
 
 
明るい曲を聞いて心を明るい方へもっていこうとしても、心がついていけない状態だったら意味がない。まずは、心に寄り添うことが大事だということです。
 
 
とても凹んでいる時に励まされても全然嬉しく感じないのと同じですね。
 
 
例えば、いくらクラシックやヒーリングミュージックが心を癒やす効果があるとしても、その時の心の状態とマッチしていなければ効果が薄まってしまう、ということです。
 
 
、、ということで、今の気持ちや感じに合う音楽は、どんなジャンルでも構いません。
 
 
実際に島袋さんは、沖縄民謡(沖縄の施設なのではずせない)、フォーク、演歌など複数のジャンルを使用しています。
 
 
 
それでは、僕がどうやって「今の気持ちや感じに合う音楽」を使ってリラックス効果を得ているのかお伝えしますね。
 
 
  1. 「今はこんな感じの音楽が聞きたいな〜」というものをAppleMusicで探します。
  2. 実際に再生してみてピッタリだったらそのまま続け、違っていたら別の音楽にします。
  3. 選んだ音楽を聞き始めてしばらくすると、その曲に違和感を感じてきます。そうなったらまた「今の気持ちや感じに合う」曲へ切り替えます。
 
 
この作業を聞き心地のちょうどよい音量で繰り返していくと、心も体もとてもリラックスした状態になっていくことができます。
 
 
 
余談ですが、「失恋した時に悲しい恋の歌を聞いて涙を流すと立ち直りが早い」というのも「同質の原理」が働いているからです。
 
 

おわりに

今回は、音楽で心と体を効果的にリラックスさせるコツをお話ししてきました。
 
 
心がささくれだってきている時、疲れている時、気がかりに囚われそうな時にこそ、自分が大好きな音楽や今聴きたいなって感じる音楽に身も心も委ねて、リラックスする時間をつくってくださいね。
 
  

参考文献

『本当の自分に出会える音楽力』日本メンタルヘルス協会
 
シャイヤステ榮子(2015)「国立療養所琉球精神病院における音楽療法の試み:女子西病棟における音楽療法実践への挑戦」琉球大学教育学部音楽科論集
 
『脳を最適化すれば能力は2倍になるー仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法』樺沢紫苑 著 
 

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【コロナに負けるな】たった5分笑えば免疫力がアップするという嘘のようなホントの話

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手を挙げろ!!…っていうか これバナナやん!!

 

 

こんにちは どいつよしです。

 

毎日コロナコロナコロナ、目を閉じて耳を塞がないと嫌でもコロナに纏わる情報が入ってきてしまう日々。

 

いかがお過ごしでしょうか。

 

コロナウィルスに対する効果的な治療法が確立されていない現在、ひとりひとりの感染予防の徹底と免疫力のアップが求められています。

 

免疫力のアップには、食事・睡眠・運動がまず挙げられますが、それに加えて僕がオススメしたいのは「笑うこと」です。

 

今日はそのことについて書いていきますね。

 

 

なぜ「笑うこと」が免疫力アップに繋がるのか?

笑うことが免疫力アップに効果的なのは心理学の世界では有名で、1991年に日本笑い学会副会長で医師の昇幹夫さんが、「吉本新喜劇の鑑賞でがん患者の免疫力が向上」という実験結果を報告しています。

 

それによれば、吉本新喜劇を鑑賞した後で採血を行い、血中のNK(ナチュラルキラー)細胞の活性度や免疫システムのバランス力の変化を調べたところ、参加者の7割の人にNK細胞の活性度の上昇が見られたのだそうです。

 

ちなみにNK細胞とは、私たちの免疫機能にとって欠かせない存在で、文字どおり生まれつきの殺し屋。

 

そして、全身をパトロールしながら、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけ次第攻撃し排除する役割を担っています。(参考:ヤクルト中央研究所の健康用語集 )

 

例えて言うなら、鬼殺隊(by鬼滅の刃)のような感じ。がん細胞やウィルス感染細胞が鬼、NK細胞は炭治郎や義勇。ただ、鬼殺隊は生まれつきの殺し屋ではないのでそこは違いますが。。。

 

また、免疫システムのバランス力も基準値より低すぎる人は高く、高すぎる人は低くなるという、程よい免疫バランスに整う傾向が見られたのだそうです。

 

免疫システムのバランス力は低すぎても高すぎても、私たちの体に悪い影響を与えてしまうとのこと。バランスが整うことで病気から身を守ることができるようになるということなのです。

 

アメリカではNK細胞を点滴で投与してコロナウィルス治療へ用いる試験が始まっています。鬼滅隊のメンバーを外部から体内へ派遣させて鬼を退治してやろうということです。

 

「義勇とひとつになりたい♡」という少女の願いが叶う日もそう遠くないのかもしれません。(どこの少女やねん!)

 

、、ということで、笑うことがNK細胞を活性化して免疫バランスを整えることに繋がり、コロナウィルスに感染しにくい体になるということがおわかりいただけたかと思います。

 

 

5分笑えば免疫力がアップする!

昇さんは、「わずか5分間笑うことでNK細胞は活性化するが、注射による活性化には3日も要するそうである。」と述べています。

 

ということは、毎日の食事・睡眠・運動に加えて、一日たった5分の笑いの時間を習慣づけることで、さらにコロナウィルスに抗える強い体になっていくことができるということが言えますよね。

 

僕はYou Tubeで好きなお笑い芸人の動画を観ることが多いです。最近のお気に入りは、関西電気保安協会のCM「ある日突然関西人になってしまった男の物語」シリーズです。

 


全編:ある日突然関西人になってしまった男の物語|関西電気保安協会【公式】

 

ネット上でかなり話題になっていますが、僕は人生の半分を関西で過ごしていたので、CMの中で必ず登場してくる"関西あるある"が面白くて何度観ても飽きません。同じところで笑ってしまいます。

 

ただ、この動画は約3分くらいなので、もう一回リピートしないといけないのが唯一の欠点です。

 

笑いヨガもオススメです。こちらもYou Tubeにインストラクターの方が動画を上げていらっしゃいますので、興味があれば【笑いヨガ】で検索してみてください。

 

 

MK細胞の弱点はうつ状態

またまた昇さんの受売りになりますが、MK細胞はうつ状態になると活動が弱まることもわかっています。

 

阪神淡路大震災の後、神戸で被災した人々のNK細胞の活性力が著しく低下し、震災後1年を過ぎても低いままであったとのことです。

 

 

とにかく笑おうとしてみよう

コロナ禍の今、私たちは様々なネガティブな感情に心を支配されやすい状態になっています。ネガティブな感情にとらわれて、ストレスをじょうずにコントロールできない状態が続くと、うつ状態になる危険性が高まります。

 

うつ状態になる危険性が高まるということは、免疫力が下がりコロナに感染するリスクも高まるということになります。

 

うつ状態になったうえにコロナに感染するというダブルパンチによるダメージは想像を絶する苦しさだと思います。

 

だからこそ、うつ状態にならないようにするためにも「笑う」ことは大事なのです。

 

僕の心理学の師匠の日本メンタルヘルス協会の衛藤先生がこう言っていました、

 

「笑えないのではない。笑おうとしていないのだ。」

 

ニュースを見て最新の情報を得るのも大切なことですが、それと同じ分だけ「笑う」ということを積極的に自発的におこなっていきましょう。

 

 

参考にしたサイト 

笑いの免疫機能・ストレスへの作用について | 健康長寿ネット

 

幹細胞由来NK細胞点滴をコロナウィルス治療に | 再生医療 | 医師ブログ | アヴェニューセルクリニック

 

 

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なぜ、不快な気持ちを紙に書いて分析していくと心が落ち着いてくるのか?

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不快な気持ちを紙に書いて分析するのは脳科学的にも効果があると言われている!?
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕は20代後半から、怒りや悲しみや恐怖といった不快な気持ちに心を支配された時に、紙に書いて整理をするようにしてきました。
 
 
紙に書くことによって、不快な気持ちと距離を置き、なぜそのような気持ちになったのか、次同じ状況になった時にどう対処すればいいのか、などと分析して考えていくと、心に落ち着きを取り戻すことができるので習慣にしてきました。
 
 
最近、アンガーマネジメントを学ぶようになってから、紙に書くということもアンガーマネジメントのひとつになると実感しているところです。
 
 
ちなみに、現在は対人関係療法水島広子さんプロデュースの『それでいい。実践ノート』に出会い、【自分の不快な気持ちを親友目線で肯定する】という分析方法を気に入っていて、もっぱらそれに書くようにしています。
 
 
でも、なぜ、不快な気持ちを紙に書いて分析していくと心が落ち着いてくるのでしょうか?
 
 
実は、それには脳科学的な理由があったのです。
 
 
 

紙に書いて分析している時の脳の働きとは!?

まず、知っておくといいのは、大脳辺縁系大脳新皮質という2つの部位。
 
 
大脳辺縁系は、サルや犬、トカゲでも持っている原始的な脳の部位です。動物脳や本能脳とも呼ばれ、人間の本能的な感情や行動はここで行われます。不安、恐怖、怒りなどの、「情動」と総称される気持ちが起きる時には、この大脳辺縁系が活発に動きます。
 
 
大脳新皮質は、人間が進化の過程で発達させてきた新しい部位で、高等動物の脳や理性脳とも呼ばれます。そして、大脳新皮質の中でも、特に前頭葉において、感情をコントロールする機能や理性的な判断や理論付けが行われています。
 
 
大脳辺縁系が感情を引き起こし、それを大脳新皮質が抑えようと動く。そのような関係性になっています。
 
 
 
気持ちを紙に書いて分析しているときには、
 
 
前頭葉(分析、思考)
・言語野(言語化
・運動野(手の動き)
・小脳(手の動き)
 
 
といった、主に大脳新皮質にある多くの部位が働いていて、大脳辺縁系は関与していないのです。
 
 
 
だから、書き進めているとだんだん心が落ち着いてくるのは、大脳辺縁系の動きが自然と抑制されているから、ということなのです。
 
 
 

紙に書く時には大事なポイントがあります!

不快な気持ちを紙に書くことを心のセルフケアに取り入れる時のポイントとしては、分析して考えながら書くプロセスがあることです。
 
 
脳科学者の柿木隆介さんは、「不快な気持ちを引き起こした出来事」「現在の状況」「自分の気持ち」「推測される相手の気持ち(相手がいる場合)」について、「この出来事を空中から第三者が見ていたらどう思っただろうか」と考えながら順番に書いていくことを推奨されています。
 
 
僕が使っている『それでいい。実践ノート』は、「不快な気持ちを引き起こした出来事」「自分の気持ち」「親友が不快な気持ちになっている自分に対してどんな肯定的な言葉がけをするだろうか」「その時の身体の調子や状況など」を順番に考えながら書いていきます。
  
 
このように、分析して考えることで、感情をコントロールする前頭葉の働きが活性化されるのです。
 
 
もし、それをせずに不快な気持ちをひたすら書き綴った場合は、大脳辺縁系を抑制させられないので効果はあまり上がらないと思われます。
 
 
 

専門家がプロデュースしたテンプレートを使うのもオススメ

その点で、僕が使っている『それでいい。実践ノート』は、テンプレートで分析して考えることができるようになっているので、前頭葉を働かせる大事なステップが抜かることがなくて安心です。
 
 
他にも、認知行動療法の大野裕さんプロデュースの『こころが晴れるノート』を始めとして、不快な気持ちを書いて分析するテンプレートになっているものがいろいろと出ているので、自分に合うものをチョイスしてやってみるのもオススメです。
 
 
 

日々の心のセルフケアに紙に書いて分析する習慣を

ここで紹介したノートを買う買わないは別にして、不快な気持ちを紙に書いて分析することが、心を落ち着かせる手段として脳科学的にも理にかなっているということが、おわかりいただけたのではないかと思います。
 
 
ぜひ、日々の心のセルフケアに取り入れてみてはいかがでしょうか。
 
 
 

参考にした本

 

 

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【コミュニケーション】会話は難しくて当たり前で自分のせいとは限らないとわかれば楽になる

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会話は難しくて当たり前。自分のせいとも限らないのです!
 

こんにちは。どいつよしです。
 
 
タイトルにあるように、今日はコミュニケーション、特に会話についてわかったことを書きたいと思います。
 
 
コミュニケーションとは、人が互いに気持ちや意見などを伝え合うことです。そして、コミュニケーションの基本のひとつであり、最も使う頻度の多いものが会話です。
 
 
この会話が上手にできないということで、「私はコミュニケーションが下手」とか「苦手」と思っている人は多いのではないでしょうか。
 
 
僕もどちらかというと会話が上手にできる方ではありません。会話が上手にできない自分を責めてしまうこともありました。
 
 
でも、心理学を学んでいく中で「そもそも会話ってのは難しくて当たり前なんだ」と思えるようになってかなり気持ちが楽になりました。
 
 
教えてくれたのはこの本。
 

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発達心理学概論 (放送大学教材)

 
 
がっつり放送大学のテキストです。笑
 
 
大学のテキストなので、少々言い回しは難しいのですが、発達心理学の全体像を理解するにはよくまとまっていると思います。このテキストに書かれていることから「へぇ!そうなのか!」と新たに学んだこともたくさんあります。
 
 

なぜ会話は難しくて当たり前なのか?

本にはこのように書かれてあります。
 
 
会話は単なる言語情報の交換ではない。言外の気持ち等を含む伝達内容の意味を読み取るだけの想像力と相手の心を理解する能力に加え、その前後の会話の流れやその場の状況を読み取るための語用論的知識と的確なタイミングで話す技量が必要とされる。
 
 
と書かれています。
 
 
ちょっと言い回しが難しいので、わかりやすく言い換えてみます。
 
 
会話は単に言葉による情報のやり取りだけではなく、以下のような力が必要になる。
 
  • 直接言葉としては表現されていない気持ちなどを含む伝達内容の意味を読み取る想像力
  • 相手の心を理解する能力
  • 前後の会話の流れやその場の状況から、発話された言葉そのものの意味よりもむしろ重要な、隠された意図を読み取る力
  • 的確なタイミングで話せる力

 

 
どうですか。ここに書いた力のひとつだけでもなかなかの難しさを求められていると思いませんか。
 
 
会話を成立させるためにはこれらの力が必要で、私たちは無意識的にこれらの力を駆使しながら会話をしているということです。
 
 
また、人間なので、全ての力を完璧に発揮できるというのがまず不可能に近いですよね。しかも、体調の影響も受けるので、日によっては思ったように力が発揮されない時もあります。
 
 
そして、相手も同じように、会話に必要な力を駆使しながら言葉のやり取りをしています。相手も人なので、完璧ではありません。
 
 
完璧でない者同士の間で行われる会話。そう考えると、会話は簡単に成立するものではないということがわかります。
 
 
さらに、どんなに会話に必要な力が強かったとしても、お互いの価値観や文化的・宗教的背景、置かれている環境や教養といった様々な違いから、会話が成立しないことも考えられます。
 
 
このようにみていくと、会話は難しくて当たり前で、会話がうまくできないのは必ずしも自分のせいとは限らない、ということがおわかり頂けるのではないでしょうか。
 
 

会話は周囲の環境や状況の影響も受ける

僕自身振り返ってみると、会話ができているなぁという時と、そうでない時の両方があることがわかりました。
 
 
共通の趣味を持っている人、同世代の友達、同じ職場の人などとの会話においては、それなりに会話ができていたと思うことが多く、
 
 
一方で、初対面の人、年齢差がある人、顔見知りという程度の人などとの会話においては、あまりいい感じで会話ができていなかったと思うことが多かったのです。
 
 
このように、自分を取り巻く環境や状況によっても、会話の出来 不出来が違ってくるということを、社会心理学者のレヴィンが提唱した法則で説明することができます。
 
 
レヴィンは「行動は人と環境との関数である」とし、以下のような公式をたてました。
 
 
行動 = f (個人の特性 , 個人の置かれている環境や状況)
 
※「f」は関数。
 
 
これに会話を当てはめてみると、
 
 
会話=f(個人の特性 ,個人の置かれている環境や状況)
 
 
となります。
 
 
つまり、会話は個人の特性だけによるものではなく、個人の置かれている環境や状況の影響も受けるということです。
 
 
会話がうまくできたと思う時や、できなかったと思う時は、それぞれにおいて周囲の環境や状況の影響もあるということです。
 
 
ですので、「私は会話が下手で。。。」と思っている人も、環境や状況によってはうまく会話ができていることがあるはずだと考えられます。
 
 
このことにひとつ付け加えさせてもらうと、人の脳みそは、できてないところに注意が向きやすく、さらに日本人にその傾向が強いのだそうです。
 
 
もしかすると、実はうまく会話ができている時や場所はあっても、できてない時ばかりがクローズアップしてしまっている可能性があるかもしれません。
 
 

脳機能の障害で会話がうまくできない人はいる

発達障害の人は脳機能の一部に障害があり、会話で必要になる力がうまく働かないことがあると言われています。
 
 
障害が認められない人でさえ、会話には最初に書いたくらいの力を必要とすることを考えると、発達障害の人にとっての会話は、難易度が高くなることは確かです。
 
 
相手の気持ちや場の状況を理解することが苦手なため、「マナーを知らない」「常識がない」などと非難されてしまうこともあるようです。そのため、会話をすることに不安を感じたり、深く悩んでしまう人も少なくないそうです。
 
 
ただ、発達障害の人の場合も、自分の特性に気付いて、専門家によるトレーニングを積んだり、障害に理解のある人たちがいる環境に身を置くことで、会話が成立しやすくなると言われています。
 
 

おわりに

今回は、会話は難しくて当たり前だということについてと、会話がうまくできないのは、個人にすべて問題があると言う訳ではないということについて書きました。
 
 
繰り返しになりますが、
 
 
  • 人が会話をする時には複数の力を必要とすること。
  • しかもそのひとつひとつが結構難しいことであること。
  • 相手の会話力の影響も受けること。
  • 周りの環境や状況等の影響も受けるということ。
  • 脳機能の一部に障害があると会話に必要な力が働かないこともあること。
 
 
という理由から会話がうまくできない時があって当たり前なんだ。
 
 
と頭に入れておき、会話に対しての不安な気持ちや悩みが心を支配しそうになった時に思い出して頂くと、気持ちが楽になるのではないかと思います。
 
 
特に、以前の僕と同じように「会話がうまくできない自分を責めてしまう人」や、会話が上手にできないということで「私はコミュニケーションが下手」とか「苦手」と思っている人には、ぜひ知っておいて頂きたいなって思います。
 
 

参考文献

発達心理学概論 (放送大学教材)

発達心理学概論 (放送大学教材)

  • 作者:向田 久美子
  • 出版社/メーカー: 放送大学教育振興会
  • 発売日: 2017/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

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怒りをコントロールするコツは期限を付けること

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6つ数えても激おこぷんぷん丸の時はお試しあれ!
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
今回は久しぶりにアンガーマネジメントについて書きたいと思います。
 
 
以前、6つ数えてアドレナリンがピークに達する時間をやり過ごす、という記事を書きました。

 

 

 
 
これがアンガーマネジメントの基本だといわれています。
 
 
しかし、怒りのもとによっては、6つ数えても全然アドレナリンが収まる気配がない。取り返しのつかないことをしてしまいそうだっていう時もあるのではないでしょうか。
 
 
そういう場合にはどうすればいいのかな?
 
 
そういう疑問が湧いてきました。
 
 
『怒らないこと』の著者、アルムボッレ・スマナサーラさんは
 
 
「6つ数えてもダメな時は、そのまま数え続けなさい。100でも200でも数えなさい」
 
 
と本に書かれてあったと記憶していますが、それもひとつのやり方です。
 
 
でも、忙しい日常において、ひたすら数え続けるというのもなかなか難しい。
 
 
ということで、いろいろ調べていたら、よさそうなものを見つめました。
 
 
それは、期限付きで怒るという方法。
 
 
教えてくれたのはこの本、
 
 

引き寄せの公式2

 
 
山富浩司さんの『引き寄せの公式2』です。
 
 
この本は『引き寄せの公式』の続編で、「心で思っていることは全部引き寄せられる」という前提のもと、日頃から心がけると「良い引き寄せが起こる」ものが紹介されています。
 
 

期限付きで怒るとは?

期限を付けて怒るというのはどういうことかというと、
 
 
例えば、 
 
 
「くっそ! 腹が立つ! 5分だけ
 
 
というような具合で、怒りの感情を言葉にして、さらに制限時間を付け足して言う
 
 
5分でなんとかなりそうにない怒りだったら、
 
 
「ぬお〜!!なんだとこらぁ〜!!腹たつぅ〜!!! 30分だけ
 
 
と、制限時間を少し長めにしてみる。
 
 
こうすることで、不思議とそのくらいの時間で怒りが収まってくるのだそうです。 
 
 
また、制限時間できっちり切り上げるためには、スマホなどを使ってタイマーを設定して、アラームを鳴らすようにすると良さそうです。
 

感想

僕の尊敬する先輩が時間の使い方が上手で、
 
 
「今から〇〇時までに〇〇する。」
 
 
というように、先に時間を区切って、仕事をし、時間がくると、一旦そこで切り上げる。というのをやっていたのですが、それを怒りの感情のコントールに応用したようなものだと思いました。
 
 
先に時間を区切って、怒りをしっかり感じて表現して外に出し、時間がくると一旦そこで切り上げる。という感じですね。
 
 
怒りを抑えよう、抑えようとすればするほど、フツフツと湧き上がってくるものです。まさにお湯が沸騰したお鍋のフタの状態です。
 
 
フタで抑えようとすればするほど、圧力が高まります。抑えきれなくなったらもう大変。エライことになるのが目に見えます。
 
 
それよりも、時間を決めて、その間だけはフタを取った状態になることを許し、あえて出させることで、後々まで怒りを引きづることが少なくなるのだと思いました。
 
 
怒りの感情のコントロールのやり方のひとつとして覚えておこうと思います。
 
 

参考文献

引き寄せの公式2』山富浩司 著

 

引き寄せの公式2

 

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心理学の父、ヴントについてわかったこと

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心理学の父は産業カウンセラーとも繋がっています。
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
2020年最初の記事は、初めに相応しく、心理学の父ウィルヘルム・ヴントについてわかったことを書きたいと思います。
 
 
ヴントは、1879年にドイツのライプチヒ大学に心理学実験室を設立しました。これが学問としての心理学の誕生と言われています。
 
 

研究対象は人間の意識

ヴントは心理学の研究対象を直接体験に規定しました。
 
 
直接体験とは、人が直接に経験していること。すなわち、自分自身の意識に上ることのみが心理学の研究対象になるということです。
 
 
そして、
 
 
「意識の問題を経験的に研究していくには、直接体験をしているその人自身で自分の意識を観察しなければならない」
 
 
ということで、自分自身で自分の意識を観察する内観法を心理学の方法として提唱しました。
 
 
また、当時、多大な成功を収めていた化学や生物学にならい、意識を心的要素の結合として理解しようとする要素論の立場をとっていました。
 
 
「人の意識ってぇのは、その人が体験している感覚やイメージ、感情とやらが結びついて1つになったもののことでぇ!」
 
 
ということを明らかにしようとしていったわけです。
 
 
 
具体的にどのように研究をしていったかというと、
 
  1. 実験参加者に刺激を与える
  2. その刺激(光や音など)を体系的に変化させる
  3. そこで知覚された内容を言語で報告してもらう(内観法)
  
というやり方で、意識の構成要素(感覚やイメージ、感情)とその統合過程を明らかにしようとしました。
 
 

心理学にもたらした影響と功績

このようなヴントの研究は、後に「心はどのような要素から構成されているのか」を追求する構成主義となり、ティチナーらによって受け継がれていきます。
 
 
しかし、構成主義はその後、実験方法の客観性への批判や、部分より全体を重視するゲシュタルト心理学の台頭により、衰退していきます。
 
 
そのため、ヴントの学問的立場そのものは、その後の心理学に長く影響することは多くはありませんでした。
 
 
それでもヴントが今でも高く評価されているのは、
 
  1. 心理学を独立した学問として確立したこと
  2. 多くの領域の人々によってなされてきた心理学的研究成果を集大成したこと
  3. 世界各地から集まった若い人々を心理学者として養成したこと
 
という功績があるからです。
 
 
ヴントの実験室からは、
 
  • 教育心理学の礎を築いたモイマン。
  • 精神疾患の系統的分類や作業検査法が有名なクレペリン。
  • メンタルテストを考案し個人差の測定を試みたキャッテル。
  • 応用心理学への道を切り開いたミュンスターベルク。
  • 発達心理学の祖とされるホール。
  • アメリカで初めて心理学クリニックを開設したウィトマー。
  • 日本心理学の祖といわれる松本亦太郎。
 
などそうそうたるメンバーが輩出されています。
 
 

感想

まず、ヴントに学んだ人がそうそうたるメンバーであることに驚きました。
 
 
今、僕が学んでいる分野の偉人たちであります。ヴントが実験室を作らなければ、その分野が生まれることがなかったのかもしれないと思うと、ヴントのおかげで学ぶことができているという感謝の気持ちが湧いてきました。
 
 
ヴントが学問としての心理学を誕生させたことから、月日を経て、僕が学んできた産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの知識に繋がってきているということを知ることができ、ヴントをより身近に感じることができて良かったです。
 
 

引用・参考文献

『森 津太子・向田久美子   心理学概論 (放送大学教材)

『梅本堯夫・大山 正 心理学への招待―こころの科学を知る (新心理学ライブラリ)

 

 

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心理学の領域についてわかったこと

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心理学の領域を知るとさらに知的好奇心が刺激されます。笑

 

こんにちは。どいつよしです。

 

心理学といっても、実際に学んでみると、それはそれはたくさんの領域に分かれていることがわかります。

 

心理学の領域は大きく分けて、基礎心理学、応用心理学に分かれています

 

そして、そこから枝分かれして、たくさんの〇〇心理学が存在しています。

 

基礎心理学とは?

人間の行動や心の働きの原理を解明しようとするのが基礎心理学です。

 

知覚心理学

学習心理学

生理心理学

比較心理学

発達心理学

パーソナリティ心理学

社会心理学

 

などがあげられます。

 

知覚心理学

人の知覚のあり方を研究するのが知覚心理学です。

 

私たちが目・鼻・口といった感覚器官を通じて、外界からの情報を取り入れた後、脳にその情報が伝えられて解釈が加えられる、その過程を知覚といいます。

 

知覚には視覚(色覚、光覚)、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(皮膚感覚)、深部感覚、内臓感覚(有機感覚)、運動感覚、平衡感覚、時間知覚(time perception)などがあり、この中で最も研究の対象とされてきたのは視覚でした。

 

学習心理学

ヒトを含む動物が経験を通して行動を変容させていく過程を研究するのが学習心理学です。

 

心理学でいう学習は、「経験によって生じる一時的でない心理的機能に関わる行動の変化」などと定義されています。

 

ちなみに、この場合の行動とは、「何度か練習したら自転車に乗れるようになった」といった外から見えるものだけでなく、知識の増加や価値観の変化のような、外からは観察できないものも含まれます。

 

生理心理学

生理学的な手法を用いて、人間の行動の仕組みやその背景にある心の働きを解明しようとするのが生理心理学です。

 

人間の心の働きの生物学的な基盤を探求する学問ということもでき、生理学的な反応と心理学的な現象との間には関連性があることを前提としています。

 

「心の働きを知るには神経学の知識が不可欠」だと説いた、アメリカ心理学の父、ウィリアム・ジェームズの言葉にあるように、脳神経系の基本的なしくみを理解しながら、心と脳の関係を探っていきます。

 

比較心理学

人間と他の動物の行動との比較を通じて、人間の心の働きを明らかにしようとするのが比較心理学です。

 

人間に比べ、取り扱いが容易な動物を使って実験することで、人間にも共通する心の働きの基本的な特徴を明らかにしようとすることと、

 

人間と他の動物で異なる部分を洗い出すことで、人間の心の働きに見られる特長を明らかにしようとすることの、

 

大きな2つの目的があります。

 

発達心理学

人の生涯にわたる心身の変化とそれが生じるしくみを研究するのが発達心理学です。

 

発達の研究対象は、かつては子どもだけでしたが、現在は大人も含むようになり、発達を多次元的・多方向的に見るようになっています。

 

エリク・エリクソンのライフサイクル論や、ブロンフェンブレンナーの生態学的発達理論は、心理カウンセラーが知っておくとクライエントのアセスメントに役立ちますし、キャリアコンサルタントにも関係する分野でもあります。

 

パーソナリティ心理学

主に人の性格について研究するのがパーソナリティ心理学です。

 

心理学は、人間の行動についての一般的な法則や原理を見出すことを目的としています。一方で、人には個人差や個性というものがあるのも事実です。

 

外見、体質、性格、能力、行動といったさまざまな個人差のうち、主に性格に関する側面をパーソナリティと呼びます。

 

一人ひとりが環境に適応するやり方(行動や考え方、感じ方)は異なっており、そうした個人差を追求しようとします。

 

社会心理学

人間の行動は、想像以上に私たちを取り巻く環境、とくに社会的な環境から影響を受けるということを研究するのが社会心理学です。

 

例えば、怒っている人を見ると、私たちはすぐにその原因を、その人のパーソナリティや行動傾向に求めがちですが、社会心理学では、その人の行動には、その人が置かれている状況や環境も影響を与えていると考えます。

 

日常生活の中で起こる、人の心と行動の不思議と仕組みについて考えていくので、「私たちの暮らしの中の心理学」とも言われます。

 

応用心理学

基礎心理学で解明された原理を各分野での問題解決に活かすのが応用心理学です。

 

教育心理学

臨床心理学

産業・組織心理学

犯罪心理学

 

などがあげられます。

 

教育心理学

教育に関わる様々な問題について、心理学的な観点から客観的に検討するのが教育心理学です。

 

学校教育で子ども達が学ぶものは、大きく2つに分けられます。1つは教科の内容に関する知識や技能。もうひとつは、集団で過ごすことで獲得される社会性です。

 

教育心理学は、その2つにそれぞれ関わっていきます。

 

「教科の内容に関する知識や技能」については、「教科の教授・学習過程」と「学習を支える動機づけ」の問題について考えます。

 

「集団で過ごすことで獲得される社会性」については、「社会性の学習の場としての学級の特徴」と「円滑な交友関係を結べるようにするための教育方法」の問題について考えます。

 

臨床心理学

心理学の中でも特に実践との結びつきの強い領域であり、心の問題を抱えている人の支援を主な目的としているのが臨床心理学です。

 

他の心理学の分野と違い、実践なくしては学問が成り立たないところに特徴があります。さらに、実践にあたっては専門的な知識や技能が必要とされます。

 

心理カウンセラーの存在が身近になったこともあり、心理学と聞くと、すぐに臨床心理学のことを思い浮かべる人も多いと思います。

 

公認心理師がスタートしたことで、俄然注目されることになっている心理学です。

 

産業・組織心理学

基礎心理学の知見を職場に応用するのが産業・組織心理学です。

 

ワークモチベーションや意思決定、チームワークなどを研究する「組織行動」、 採用や選抜方法、キャリア発達支援、人事評価などを研究する「人事」、 ヒューマンエラーや安全工学、職務ストレスを研究する「安全衛生」、 購買行動、広告効果、心理的会計などを研究する「消費者行動」の4領域に大別されます。

 

この4領域の研究を通して、組織全体が持続して目標を達成し、組織の中で働く人が効率よく、成功を収めながら、生き生きと自己成長しながら、他の人と協働して、安全に働くことの実現を目指します。

 

産業カウンセラーやキャリアコンサルタントが知っておくべき知識が多い分野です。

 

犯罪心理学

犯罪者の特性や環境要因の解明を通して、犯罪予防や犯罪捜査、また犯罪者の更生に役に立つことを目的としたのが犯罪心理学です。

 

平穏に暮らす人たちを困らせ、悲しませる行為、犯罪や非行。しかし、実はその加害者も、それまでの人生で苦しみ、傷ついてきた人が多い、という事実があります。

 

犯罪心理学は、そのような加害者に立ち向かい、心の闇を解き明かそうとします。なぜ、事件を起こしたのか、という謎解きに挑みます。

 

そのうえで、もう二度と罪を犯さないように改心し、新たな人生を歩むことができるように支援します。

 

 

感想

僕のような産業カウンセラーは、養成講座において、臨床心理学の中にあるカウンセリング理論(技法も含む)を中心に学びます。

 

最近、基礎心理学の知識も学んでいくなかで、目の前の相談者の問題を把握したり、アセスメントしたりする時に、多角的に観ていくことができるようになってきたと思うことがあります。

 

【傾聴力アップ】多弁な人には理由があることを知ると落ち着いて対応できるようになる 』の記事にも社会心理学のレヴィンの公式について触れましたが、あれがまさにそうです。

 

また、発達心理学のエリク・エリクソンのライフサイクル論を知識としてもっておくことで、相談者が直面している課題について理解ができやすくなることもあると聞きました。

 

このように、産業カウンセラーとしてレベルアップしていくために、基礎心理学を学ぶことはとても有効であると思います。

 

引用・参考文献

『森 津太子・向田久美子   心理学概論 (放送大学教材)

『梅本堯夫・大山 正 心理学への招待―こころの科学を知る (新心理学ライブラリ)

『心理学総合案内こころの散歩道 社会心理学とは

『山口奈緒美 東北福祉大学  産業心理学  教科概要

『半沢 利一 夢ナビTALK 犯罪の謎を解く~心の闇に迫る犯罪心理学| 東北福祉大学』 

 

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不安になるのは当たり前だとわかると、不安になる自分を責めなくてよくなる

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不安を感じるのは当たり前なんです!
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕はけっこう不安になりやすいタイプです。母方の家系に不安を抱えやすい性格の人が多い、という遺伝的要因も少なからずあるとは思いますが、これまでにもいろいろと不安に心を支配されて、立ち往生してしまうことがありました。
 
 
やりたいことがあるのに、不安が先にたって一歩が踏み出せない。ということもよくありました。不安になる自分が嫌でした。
 
 
「不安になるのはダメ」だと思い、どうすれば不安にならなくていいのか?という問いに対する答えを探して、訊いて調べて、試行錯誤をしてきました。
 
 
その中で、そもそもの前提が変わらないと問題を解決することができないということがわかりました。
 
 
それは、「不安になるのは当たり前」ということ。
 
 

なぜ、不安になるのは当たり前なのか?

理由①遺伝的要因
まず、日本人は遺伝的に「不安遺伝子」を持つ人が多い。
 
 
ということ。
 
 
人の感情に影響を与える脳内神経伝達物質にセロトニンがあります。この量を調節しているのがセロトニントランスポーター。
 
 
このセロトニンポーター遺伝子のタイプが不安に関係することがわかってきていて、日本人は不安を感じやすくプレッシャーに弱いタイプの遺伝子を持つ人の割合が世界一高いということです。
 
 
生まれつき不安になりやすい人種だということですね。
 
 
だから、不安になるのは当たり前。
 
 
理由②感情のひとつであること
つぎに、自分を守るために生まれつき備わっている感情のひとつである。
 
 
ということ。
 
 
不安は「安全が確保されていない」ことを知らせてくれる感情。それがあったからこそ、危険をうまく回避してここまで生きてこれている、ということが言えます。
 
 
「安全が確保されていない」こととして多いのは「未知(知らないこと)」のもの。「未知」が「既知(知っていること)」に変われば不安は解消されます。よくわからないことには、不安を感じて当たり前だということです。
 
 
また、心が衝撃を受けた時に強い不安を感じたりしますが、あれも、自分を守るために湧いてくるものなのだということですね。
 
 
以上の理由から、不安になるのは当たり前ということがおわかり頂けたかと思います。
 
 

感想

僕は、「不安になるのはダメ」だと、不安になる自分を責めて、不安を解消することばかりを考えていましたが、「不安になるのは当たり前」ということを知ってからは、自分を責めることは少なくなり、不安があっても前にすすめるようにするにはどうすればいいかを考えることができるようになりました。
 
 
遺伝的に不安になりやすく、もともと人間に備わっている感情のひとつであるということから、「不安になるのは当たり前」ということの他に、「不安は無理矢理消そうとしても消せない」ということも言えると思います。
 
 
でも、不安をそのままにしていると往々にして恐怖にグレードアップして、心の中を支配してしまいます。そうなってしまうと、身動きが取れなくなって、ますますしんどい状況になってしまいます。
 
 
だから、不安になった時に
 
 
「あぁ、これは遺伝的に当たり前のことなんだよね。」
 
 
とか
 
 
「今、自分の安全が脅かされているから、本能的に自分を守ろうとしているんだな。」
 
 
と思って、不安と距離を置くことができるようになることが大切だと思います。距離を置くことができると、気持ちもかなり楽になると思います。
 
 
不安になることに対して、まずは距離を置いて心を整えること。それができてからこそ、対処法を考えていけるということですね。
 
 
それと、「不安になるのはダメ」となってしまうことには、不安があったことでうまくいかなことや、辛い思いをしたことの方が強く記憶に残っているというのがあります。
 
 
ですので、その反対に、不安があったことで助かったことや危険を回避できたことを探してみることも、「不安になるのは当たり前」として認められるきっかけになるかもしれないなと思います。
 
 
不安になることに悩んでいる人には、ぜひ、取り入れてみて頂きたいと思います。
 
 

参考文献

『水島広子 つい、「気にしすぎ」てしまう人へ: こころの荷物をそっと降ろす本 (王様文庫)

『柿木隆介 どうでもいいことで悩まない技術(文響社)

 

 

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【傾聴力アップ】多弁な人には理由があることを知ると落ち着いて対応できるようになる

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どうして多弁なのか?を知ることで傾聴力を高められる!
こんにちは。どいつよしです。
 
 
仕事やプライペートで相談を受けると、一方的に早口で話し続ける多弁な相談者に出会ったりします。
 
 
僕はそのようなに人に対して苦手意識を持っていました。
 
 
早口で語られるストーリーについていくことで精一杯で、焦りの気持ちが強くなっていき、落ち着いて話が聴けなくこともしばしば。
 
 
さらに、
 
 
「僕の聴き方が良くないんだろうか?このままではいけない、なんとかしなければ」
 
 
ということが頭をよぎってしまうと余計に焦りが強くなり、相談者を受け止めきれないまま相談時間が終わってしまうこともありました。
 
 
 
多弁な相談者への対応は、いつしか自分自身のレベルアップの為にも乗り越えたい課題となっていました。
 
 
そこで、本を読んだり、先輩カウンセラーに訊いたりして、多弁な人に対応するコツを調べてみることにしました。
 
 

多弁になるには理由がある。その①

調べてわかったのは、多弁という行動の下には必ず何らかの理由があるということ。
 
 
多弁になる理由として今回調べてみたところでは、
 
 
①話したい事柄や感情が充満していて、それらを相談できる場で「発散」しようとしている。
②相談者が憤懣(ふんまん)やるかたないような状況にあり、その気持ちを聴き手に「理解」してもらおうとしている。
③混乱によって興奮した、あるいは脱線しがちな多弁の状態にある。
④話し続けることで会話を支配しコントロールしたい。
⑤苦しいことを語り続けることである種の快感状態になっている。

 

ということがわかりました。
 
 
 
対応としては、相談者が多弁になっている状態を適切に理解すること。
 
 
①や②の場合は、聴き手の傾聴と理解によって多弁がしだいに治まり、より落ち着いた自己探求へと向かう可能性が開かれるそうです。 
 
 
ただし、そうした方向性がなかなか生じない場合や、特に③のような特徴を示す相談者に対しては、その多弁の背景にある要因を慎重に見極めながら対応していく必要があるとのこと。
 
 
その結果、病的な背景、例えば躁状態などが認められる場合は、専門医や医療機関へのリファーなどの対応を考えていくことが必要になってきます。
 
 
④⑤は傾聴と理解に加えて、「話しについていけてません」と言ってを意図的に止めることも必要な場合もあるそうです。
 
 

多弁になるには理由がある。その②

また、多弁を【人間の行動】として捉えた場合に、社会心理学の考えからもそれなりの理由があることを理解することができることにも気付きました。
 
 
「レヴィンの公式」という社会心理学で有名なものがあります。
 
 
レヴィンは、「行動は人と環境との関数である」と主張した人です。
 
 
「行動は人と環境との関数である」を詳しく説明すると、
 
 

人間の行動について探求する場合に、行為者自身に属する要因(内的要因)だけでなく、その行為を行った際に、行為者をどのような環境が取り巻いていたのかということ(外的要因)も考慮に入れなければ、十分な理解は得られない。

 
 
ということです。
 
 
レヴィンの公式は、
 
 
B = f (P , E)
 
 
という式で、それぞのアルファベットの意味は以下の通りです。
 
 
B:人間のある時の行動(Behavior)
P:その人の個人特性(Person)
E:その時の環境や状況(Environment)
 
 
これに多弁を当てはめてみると、
 
 
多弁=f(相談者の個人特性 ,相談者の置かれている環境や状況)
 
 
となります。
 
 
このようにレヴィンの公式にあてはめて見てみることによっても、多弁であることには理由があるということがわかります。
 
 
そして、この公式にあてはめることで、多弁な相談者を、相談者の個人特性と、相談者が置かれている環境・状況の双方の視点から理解していくことができるようになりそうです。
 
 

感想

以上のように、多弁になる理由と対応法を知っておくだけでも、相談を受ける時の心持ちがかなり違ってくるなと感じています。
 
 
また、「その人は理由があって一方的にたくさん喋っているのだ」ということがわかれば、こちらの聴き方が100%悪いわけではないということもわかるので、全くわからない時に比べて自分の聴き方を気にし過ぎることもなくなりそうです。
 
 
そうなると、以前よりも気持ちを楽にして、落ち着いて対応ができるようになりますね。落ち着いて対応ができるようになれば、多弁への対応法を使って話を聴けるようになっていくのではと思います。
 
 
まずは、心を整えて、それから技法。
 
 
という流れですね。
 
 
意識して数をこなしていくと、きっと、できるようになると思います!
 
 

引用・参考文献

『森 津太子・向田久美子   心理学概論 (放送大学教材)

『一般社団法人 日本産業カウンセラー協会  産業カウンセリング  産業カウンセラー養成講座テキスト

 

 

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乳幼児揺さぶられ症候群は科学的根拠がなかったとしても保護者には知っておいてほしい

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乳幼児揺さぶられ症候群は科学的根拠がないと言われても知っておいてほしいと思います。
 
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
諸事情があり、ブログの更新が途絶えてました。
 
 
前回は、赤ちゃんがなにをやっても泣きまくる、理解困難な泣きの時期「パープルクライエング期」について書きました。
 
 

 
 
その中で、パープルクライング期の激しい泣きは、乳幼児揺さぶられ症候群へと繋がる危険性があるということも書きました。 
 
 
今年、揺さぶり虐待疑われた祖母に逆転無罪! 他の乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)裁判にも大きな影響』のニュースが大きく報道され、少なからず「乳幼児揺さぶられ症候群」という言葉が世間に広く知れ渡ることになりました。
 
 
現在、日本においては、日本小児学会が乳幼児揺さぶられ症候群(以下、SBSと記載)への啓発活動をしていますが、一方で、外国人医師を中心にSBSを否定する動きもあります。
 
 
そんな困った状態になってるSBSなのですが、SBSを発症させると言われている接し方は、SBSに関係あろうがなかろうが、赤ちゃんにとっては危険であることには変わりないので、本当にあるのかないのかはっきりしない状況でも、知っておく必要があるのではと思います。
 
 
そこで、今回は、僕が小児科の先生から学んだSBSについての知識をシェアすることにしますね。
 
 

乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)とは?

周りから見たら「あんなことをしたら、子どもが危険だ」と誰もが思うくらいに激しく、乳幼児が揺さぶられた時に起こる重症の頭部損傷です。
 
 
頭が重たく、くびの筋肉が弱い赤ちゃんは、揺さぶられた時に自分の頭を支えることができません。
 
 
胸部を手で掴まれて前後に激しく揺さぶられることにより、赤ちゃんの頭部は回転性加速度減速度運動を起こし、遠心力と慣性力が発生します。
 
 
そうなると、頭蓋骨と脳の間に強引にすきまができます。それによって、脳表と硬膜をつなぐ橋静脈(下図参照)が引きちぎられ出血し、硬膜下出血やくも膜下出血が発生します。
 
 

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参照元『ナースフル』

 
合わせて、頭蓋骨の内側に脳が何度も打ちつけられることにもなるので、損傷が大きくなります。
 
 
それによって、急激な心停止、呼吸停止、意識障害、痙攣などの死に至る危険性を伴う重度の症状から、不機嫌、嘔吐、ミルクの飲みの低下などの風邪やウイルス感染と間違われる軽度な症状のいずれかを発症します。
 
 
軽度な症状は、繰り返されることで重症に発展するので、 症状が軽いからといって、安心できるものではありません。
 
 
また、危険なくらいに体を揺さぶるということは、かなりの力で赤ちゃんを掴んでいるということになるので、助骨骨折などの骨折や、胸部の内出血などの合併症が同時に起きていることが多いそうです。
 
 

SBSが乳幼児に多い理由

SBSが乳幼児に多い理由は5つあるとのこと。
 
  1. 大人が簡単に抱き上げて激しく揺さぶることができる大きさである。

  2. 乳幼児の頭部は年長児に比べ相対的に重い。

  3. 他の年齢に比べて頸部の筋力が弱い。

  4. 生理的に頭蓋骨内の硬膜下腔、くも膜下腔が広いことで、橋静脈が破綻しやすい。

  5. 脳の髄鞘化が不十分で、水分含量が多いため、脳実質障害を起こし易く脆弱である。

 

4と5は専門的になりますが、頭蓋骨内部も未発達でデリケートな状態であるということで捉えておけばいいのではと思います。

 

 

SBSを予防するためには

SBSは、一般的に子どもをなだめようと努力しても泣き止まないときに苛立って激しく揺さぶってしまうことによって起きることが多く、それ以外にも、揺さぶりによって泣き止むことを繰り返していく中で、徐々にエスカレートしてSBSに発展していってしまうこともあるそうです。
 
 
そこで、激しく揺さぶることの危険性を知り、子どもが泣いた時に揺さぶること以外の対処法を学ぶことによって予防できると考えられているとのことです。
 
 
アメリカのSBS予防のためのホームページには、「もし赤ちゃんが泣き止まないときは」というタイトルで、以下のような対処行動を挙げています。
 
  1. ミルクをあげる
  2. おしゃぶりを与える
  3. おむつをチェックする
  4. 赤ちゃんを胸の前で抱いてゆっくりと一緒に歩く
  5. ベビーカーに乗せて散歩、車に乗せてドライブする
  6. 歌を歌ったり、心地よい音楽を聞かせる
  7. 信頼できる人にしばらくの間見てもらって気分転換をする
 
4や5は、僕の両親も僕が夜泣きがひどい時にやっていたようで、僕の友人たちからもやっているという声を聞きます。
 
 
赤ちゃんが泣き止まないときの参考にしてみてくださいね。
 
 

SBSは育児に追い詰められた時に起きやすい

小児科の先生によると、SBSは育児に追い詰められた時に起きやすいとのことでした。赤ちゃんを育てることにおいての知識が不足していることや、周囲の助けが不足していることも、追い詰められてしまう要因になるとも言われていました。
 
 
SBSの加害者には男性が多く、これから男性の育児参加が多くなって来る中で、知識不足によって追い詰められた父親が、加害者になってしまう数が増えることを懸念しているそうです。
 
 
知識不足は、先述したような7つの対処法を知っておくだけでも全然違いますし、最近は男性向けの育児入門書もたくさん出ていますので、自分に合うものを手元に置いておくことで解消できるのではと思います。
 
 
身近な人に助けを求めることができない場合は、地域の支援機関に相談することで解決できることも多いので、保護者さんだけで抱え込まずに、外部の専門家に頼ってみてください。(最後に地域の支援機関へのリンクを貼っておきます)
 
 

不慮の事故からSBSに近い症状が出ることも

SBSを疑われるような症状が赤ちゃんに出てしまったケースには、育児疲れで赤ちゃんを抱っこしたまま居眠りをしてしまい、赤ちゃんを床に落としてしまったというものもあるということも聞きました。
 
 
献身的に子育てをしていたのに、こういうことで保護者も赤ちゃんの双方が不幸になってしまうのはとても悲しいです。
 
 
繰り返しになりますが、自分たちで抱え込んで追い詰められる前に、誰かに助けを求めてほしいと思います。
 

 

追い詰められる前に一度相談を!

こちらに、僕が知っている限りの支援機関を載せておきますので、気軽に相談されてみるとよいと思います。
 
 
地域の子育てサークル、子育て広場に参加する
お住いの地域に子育てサークルや、子育て広場がないか調べてみてください。
 
 
その地域の民生委員や保健師経験者、保育士経験者などが主催して、週に数回開催して場合があります。
 
 
そこに参加していろいろと相談にのってもらうと良いと思います。場所によっては、訪問支援へ繋げてもらえることもあるかと思います。
 
 
 
児童家庭支援センターに相談する
1997(平成9)年の児童福祉法改正によって新たに制度化された児童家庭福祉に関する地域相談機関であり、2019(令和元)年9月1日現在、全国132センターが協議会に加盟しています。
 
 
民間の児童福祉法人が運営しているところが多く、専門的知識をもった職員さんが支援してくれます。
 
 
電話かメールでコンタクトを取り、必要であれば訪問支援をしてくれます。困ったら、気軽に電話かメールをしてみてはいかがでしょうか。
 
 
 
行政の母子保健課などの機関を使う
もちろん、各地域の行政機関にも保健師さんが常駐しており、子育てに関する相談にのってくれます。
 
 
「こんなことで相談していいのだろうか」と相談をためらう人も多いと聞きますが、ひとりで抱え込む期間が長くなればなるほど、辛さも増しますし、疲労も蓄積されていきます。
 
 
支援機関には育児のプロフェッショナルが多いので、気軽に電話やメールで相談してみてくださいね。
 
 

参考にしたもの 

 
 
■日本小児科学会『赤ちゃんを揺さぶらないで』PDF 

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/070815_shaken.pdf

 

 

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なにをやっても泣きまくる、親には理解困難な泣きの時期があるんです。
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
「赤ちゃんは泣くのが仕事」と言われることがあります。
 
 
しかし、赤ちゃんの泣きは、頻度や強度によって、母親にとって大きな負担になっていきます。(父親が育児参加している時は父親にもあてはまります。)
 
 
心身ともに疲れて果ててしまったり、育児の苦労なんてわからない人から心無い言葉を投げられたり、ひどい時は虐待通告をされたりもします。
 
 
さらに、家族からも「泣き止ませるのはお前がちゃんとできないからだ。」という冷たい言葉を浴びせられて追い詰められていく人が少なくありません。
 
 
もちろん、母親が関わることにより泣き止むことも多いですが、それとは別に、親との関わりに関係なく泣きまくる時期があります。
 
 
そういう時期があるということを、母親だけじゃなく、その家族にはぜひ知っておいて頂きたい。
 
 
特に最近増えてきている、育児参加することに前向きな男性には、適切なフォローができるように必須の知識として知っておいて頂きたいです。
 
 
その時期とは??
 
 

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パープルクライング期
 
 
今回は、乳児院で働いている時に小児科のお医者さんに教えてもらった、赤ちゃんが泣きまくる時期、パープルクライング期について書きます。
 
 

パープルクライング期とは?

生後2ヶ月くらいをピークに5ヶ月くらいまで続くといわれている、理解するのが難しく、なにをやっても泣きまくる時期のことです。
 
 
泣きの特徴を6つに分類して、その言葉の頭文字を取ってパープル(PURPLE)と言われます。
 
P(Peak of Crying)
生後2週間ごろから現れ2ヶ月ごろにピークを迎え、そのあとは徐々に和らいでいく。
 
 
U(Unexpected)
泣いている理由を予想できない。
 
 
R(Resists soothing)
なだめることができない。
 
 
P(Pain−Iike face)
たとえ痛くなくても痛そうな表情で泣く。
 
 
L(Long lasting)
長く続くといわれトータルで1日5時間、泣くこともある。
 
 
E(Evening)
とくに午後から夕方にかけてよく泣くといわれている。
 
 
これらの泣きは、関わり方に関係なく現れるとのことです。
 
 

虐待につながる危険性がある

パープルクライング期の泣きは、保護者側にとっては理解困難な泣きです。
 
 
どうやっても泣き止まないことに追い詰められ、無理やり泣き止まそうとして、乳幼児揺さぶられ症候群をはじめとする身体的虐待をしてしまう危険があるといわれています。
 
 
そして、虐待をしてしまうのは男性が多いとのこと。
 
 
正しい知識を持たず、間違った成功体験をもとに育児に参加しようとすると、最悪の結末になってしまうのだそうです。
 
 

誰も責めないことも大切

パープルクライング期は、ほとんどの赤ちゃんに見られる現象で、誰も責めることはできません。
 
 
母親を責めることはもちろん、父親はじめ、他の保護者が関わる時も同じです。
 
 
自分自身を責めないようにすることも大切です。
 
 
育児に参加している誰かが、赤ちゃんが泣き止まなくて自分を責めてしまっていたら、まわりの大人が温かい言葉や行動でフォローしてあげてほしいと思います。
 
 

愛着の絆を結ぶ時期と被る

以前の記事にて、生徒3ヶ月までの関わりが愛着の絆を結ぶのに大切であることを書きました。
 

 

 

まさに、パープルクライング期と被ります。
 
 
赤ちゃんとの関わりが難しく思えてしまう時期が、一番愛着の絆を結ぶのに大切な時期でもあるわけなんですね。
 
 
そして、心の土台の最下層「私には生きる価値があるの層」が強固になる時期でもあります。
 
 
パープルクライング期に理解困難ながらも試行錯誤をして赤ちゃんと向き合うことが、結果的に愛着の絆を結ぶことに繋がっていくということが言えます。
 
 

母親が疲れ果ててしまわないように

僕が乳児院で働きだして1から乳幼児の保育について教わった先輩も、このパープルクライング期に育児ノイローゼになってしまったと言っていました。
 
 
また、親しい友人は、自分の父親から「泣き止ますことができないのは、お前のやり方が悪いからだ」と繰り返し言われて、育児ノイローゼになってしまいました。
 
 
他にも、乳児院で働いている時には、このパープルクライング期で責任を負いすぎて育児ノイローゼになってしまったお母さんを何人も見ました。
 
 
男性の育児参加が少しずつ増えているとはいえ、やっぱり育児の中心は母親であるのが実状です。
 
 
愛着の絆を結ぶ大切な時期でもある時に、母親が疲れ果ててしまわないように、家族みんなが知識をもって、協力し合って乗り越えていってほしいと願います。
 
 
以下の動画も参考になりますので、ぜひご覧になってみて下さい。
 
 
 
 

家族のサポートを期待できない場合は

いろいろな事情があって、家族みんなで協力しあえない場合はどうすればいいのか。
 
 
こちらに、僕が知っている限りの支援機関を載せておきますので、気軽に相談されてみるとよいと思います。
 
 
地域の子育てサークル、子育て広場に参加する
お住いの地域に子育てサークルや、子育て広場がないか調べてみてください。
 
 
その地域の民生委員や保健師経験者、保育士経験者などが主催して、週に数回開催して場合があります。
 
 
そこに参加していろいろと相談にのってもらうと良いと思います。場所によっては、訪問支援へ繋げてもらえることもあるかと思います。
 
 
 
児童家庭支援センターに相談する
1997(平成9)年の児童福祉法改正によって新たに制度化された児童家庭福祉に関する地域相談機関であり、2019(令和元)年9月1日現在、全国132センターが協議会に加盟しています。
 
 
民間の児童福祉法人が運営しているところが多く、専門的知識をもった職員さんが支援してくれます。
 
 
電話かメールでコンタクトを取り、必要であれば訪問支援をしてくれます。困ったら、気軽に電話かメールをしてみてはいかがでしょうか。
 
 
 
行政の母子保健課などの機関を使う
もちろん、各地域の行政機関にも保健師さんが常駐しており、子育てに関する相談にのってくれます。
 
 
「こんなことで相談していいのだろうか」と相談をためらう人も多いと聞きますが、ひとりで抱え込む期間が長くなればなるほど、辛さも増しますし、疲労も蓄積されていきます。
 
 
支援機関には育児のプロフェッショナルが多いので、気軽に電話やメールで相談してみてくださいね。
 
 

公共の場で泣き止まない赤ちゃんを見かけたら

今の日本は、赤ちゃんの泣き声に対して厳しい視線や声が向けられる、冷たい世の中になってしまいました。
 
 
親御さんがなんとかあやしていても泣き止まない様子だったら、「もしかしたらパープルクライング期なのかもしれないな。」と思って、温かく見守ってあげてほしいです。
 
 
子育てされてきた年配の女性などは、気軽に声をかけることができやすいようですが、そうでない人にとっては、どう声をかけたらいいのかわからないと思います。
 
 
僕も「赤ちゃんと関わる仕事をしてましたので、お手伝いしましょうか?」となかなか言う勇気が出ないことのほうが多いです。
 
 
でも、「パープルクライング期かもしれないな。お母さん(お父さん)大変だな。」と思うので、「うるせぇな!」という思いはこれっぽっちも出ません。
 
 
むしろ、「なにも助けてあげられなくてごめんなさい。」っていう思いの方が強かったりします。^^;
 
 
日本国民みんなが、パープルクライング期というものがあるということを知って、せめて、赤ちゃんの泣きに対して、温かく見守ってあげられるようになるとほんと素敵な世の中になると思います。
 
 

乳幼児に関する他の記事

スマホの見過ぎで子どもの目が内斜視になる可能性がある!?

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こんにちは。どいつよしです。

 

2014年に日本小児科医会が「スマホに子守りをさせないで!」という啓発ポスターを発表して賛否両論を巻き起こしたことがありました。

 

 

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今回は日本弱視斜視学会をはじめとする眼科のお医者さん達からの報告でした。

 

はっきりと証明されていないとは言え、少ながらず、スマホの長時間利用は人体に悪影響を与えるということを認識しておいた方が良いのではと思いました。

 

ちなみに、スマホと同じように小さい画面を見ることになる携帯ゲーム機も30㎝以上、タブレットは40㎝以上、ノートパソコンは50㎝以上離すことが望ましいそうです。

 

急性内斜視は大人でも発症するそうですが、心身ともに発達途中である子どもが特に要注意とのこと。

 

一日中ゲームをやっていた小学生が重度の内斜視になって手術を受けたという事例も報告されているとのことです。

 

僕は乳児院で働いてましたので、乳幼児への影響を考えてしまうのですが、乳幼児はルールを理解し自分で責任をもって守れる年齢ではないので、大人が管理してあげなければいけません。

 

いろいろな事情があって、スマホを見せざるを得なかったとしても、長時間見せっぱなしにするのはやっぱり避けるべきだと思います。

 

スマホはとても便利な道具です。道具であるということは、使い方を誤れば人を傷つけてしまうということを頭の片隅に入れておくことが大切ですね。

 

 

僕自身、中心性網脈絡膜症という目の病気になっていて、その後遺症が残ってしまったことで目の大切さを痛感しています。

 

 

目がちゃんと見えなくなるのは、ほんとに辛いです。メンタルもけっこうやられます。

 

そういう経験を、未来のある子ども達にはできるだけしてほしくないと思います。

 

参考にしたサイト

子どものスマホ「内斜視」に要注意 高知県内で小学生手術例も|高知新聞

 

乳幼児に関する他の記事

 

 

 

 

 

アドラー心理学では「怒りは相手を支配するために創り出されるもの」と考える

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あなたの怒りは相手を支配するために創り出したものかもしれない!?
 
こんにちは。どいつよしです。
 
 
前回の記事では、怒りの感情が湧き起こるのは相手に対する期待があり、その期待が裏切られたことによることが多いということを書きました。
 

 

 
 
その記事を書いた後、アドラー心理学でも怒りについて取り上げられていたことを思い出しました。
 
 
『小倉広 著 アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』には、こう書かれています。
 
 
あなたはカッときて自分を見失い怒鳴った、のではない。相手を「支配」するために「怒り」という感情を作り出して利用したのだ。
 
 
『岸見一郎 著 嫌われる勇気』には、こう書かれています。
 
 
あなたは「怒りに駆られて、大声を出した」のではない。ひとえに「大声を出すために、怒った」わけです。つまり、大声を出すという目的をかなえるために、怒りの感情をつくりあげたのです。<中略> すなわち、大声を出すことによって、ミスを犯したウェイターを屈服させ、自分のいうことをきかせたかった。その手段として、怒りという感情を捏造したのです。
 
 
アドラー心理学では、怒りも含めた感情は決して自動的にわいてくるものではなく、目的を達成する為の手段として創り出されるものと考えます。
 
 
これを、【使用の心理学】と言います。
 
 
とりわけ、怒りについては、相手を支配するという目的を達成するために創り出されることが多いそうです。
 
 
前回からの続きで、期待を裏切られることで怒りが湧き起こることと繋いでみると、
 
 
期待を裏切られた→怒りの感情を使って相手を攻撃する→相手は期待された通りにせざるを得なくなる
 
 
という流れになり、
 
 
怒りによって自分の期待通りに動いてもらう目的が達成される、ということがわかります。
 
 
自分の期待通りに動いてもらうということは、相手のことはお構いなしですので、一時的に相手を支配することと言えます。
 
 
この流れが日常的に頻繁に繰り返されることで、相手の人生さえも支配することが可能になります。
 
 
DVや虐待、パワハラ、悪質なクレーマーなどを思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。
 
 

アンガーマネジメントにも一役買う!?

アンガーマネジメントは、「怒らないことを目的とするのではなく、怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らないようになる」ことを目指します。
 
 
アドラーの【使用の心理学】の考えから怒りをとらえてみることは、それの実現に一役買ってくれると思います。
 
 
『人生の迷いが消えるアドラー心理学のススメ』の著者、向後千春さんは「感情は自分の目的のために使っている道具」だと言っています。道具は適切に使えば私たちを豊かにしますが、間違った使い方をすると傷つけるものになりますよね。
 
 
「道具としての怒りを適切に使えるようになる」ということと、「怒る必要のあることは上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らないようになる」ということは結ぶことができると僕は考えます。
 
 
【使用の心理学】という考え方から怒りをみていくと、「私のこの怒りっぽい性格は、なにかを成し遂げようとして私が使っているものだ」とか「部下が失敗すると厳しく叱責してしまうのは、どういう目的を達成したいからなのだろうか」と振り返ることができます。
 
 
振り返って目的が明らかになったら、「その目的を達成するために他にどんなことができるだろうか?」などと改善策を考えることができるようになります。
 
 
もし、その改善策が見つかり実行に移せたなら、「怒る必要のないことは怒らないようになる」ことの実現に繋がっていくのではないでしょうか。
 
 
一方で、相手から怒りを顕にされた時にも、【使用の心理学】の考え方は役に立ちます。
 
 
「ああ、この人は、私を支配しようとしているな。」とか「この人は、なにかを達成するために怒りをこちらに向けてきているな。」と少し間を置いて対応することができるようになります。
 
 
怒りをぶつけられることは辛いですが、ダメージを最小限に食い止めることができると思います。クレーム処理のプロフェッショナルには、この考え方を役立てている人も多いとか。
 
 

感想

今回は、アドラー心理学の「怒りは相手を支配するために創り出されるもの」という考え方をもとに、これまで書いてきた怒りについての記事との関連性を見つけながら書いてきました。
 
 
「私たちは怒りの感情を目的を達成するための道具として創り出している」ということから僕自身のことを振り返ってみると、たしかにあてはまることがあり、「何の目的のために自分は怒りの感情を発動したのだろう」と考えると、その時の本当の自分の気持ちに気づくことができました。
 
 
ただ、その時は結果として、怒りの感情を顕にしても僕の本当の気持ちをわかってもらうことはできませんでしたし、相手が自分の思い通りになることもありませんでした。
 
 
怒りの感情を使ったとしても、本当の気持ちが伝わるわけではない。自分の思い通りに相手が動いてくれるわけでもない。ということを改めて認識するよい機会にもなりました。
 
 
対人関係の中で怒りを感じた時に、そのまま怒りを顕にするのではなく、「何の目的のために自分は怒りの感情を発動したのだろう、本当にわかってほしい気持ちがあるのではないだろうか」と考えることは、アンガーマネジメントになるだけでなく、自分の本当の気持ちを大事にすることにもなると思いました。
 
 
ちなみに、僕が読者になっている、はてなブロガーの志田恵さんも、最近の記事で怒りについて書かれていましたが、このマンガに出てくる志田さんの行動を【使用の心理学】の視点でみてみるとすごく納得がいきました。
 
 
志田さんのブログはこちらです。まず普通に読んでみて、それから、【使用の心理学】の視点でもう一度読んでみて下さい。とても理解が深まりますよ!
 

[期待を制する者は怒りを制す!?]怒りは期待が裏切られた時に湧いてくることがわかるとコントロールしやすくなるという話

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怒りは期待が裏切られた時に湧いてくる!?

 

こんにちは。どいつよしです。

 

怒りの感情が湧いてくる時って、どんな時が多いですか。

 

お腹が空いた時、疲れている時、子どもがグズグズいうとき、パートナーが話をちゃんと聞いてくれなかった時、駅で後ろの人にかかとを踏まれた時、好きな芸能人が結婚してしまった時、何時間もかけて並んだのに目の前でスープが切れて絶品ラーメンにありつけなかった時、etc...

 

枚挙にいとまがないですよね。

 

その怒りの感情が湧いてくる時に、私たちの心の中に存在しているある感情が影響していると言われていますが、何だと思いますか?

 

それは、

 

 

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期待〜!!

 

 

なんか面白そうですよね!?

 

では、さっそくいってみましょう!

 

 

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ということです。

 

 

期待する内容の変更にスケーリングを応用する

上のマンガの中で、「期待する内容を変えてみる」ということを書きました。これは、言い換えると「期待の大きいものから小さいものへ変えてみる」ということでもあります。

 

僕が取り入れているやり方は、紙に0〜10のスケールを書いて、「最低限このくらいの値は期待したい」という数値を選びます。そして、その数値の下に、期待する内容を書くというものです。

 

その後、プロセスが進んでわかった結果を、再びそのスケールに書き込みます。期待通りだったのか、裏切られたのか。裏切られた時は怒りを感じたかどうかを記録します。

 

怒りを感じたとしても、以前と比べて強さは違うかどうかを記録します。怒りが弱くなっていれば効果ありです。

 

上のマンガで出てきたジャイアンツの試合は自分でコントロールできるものではないので、試合結果の受け止め方を変えていく必要があります。

 

「絶対勝つ」が10だったら、少し数値を下げてみて「最低限、全カード勝ち越す」ということにしてみることで、負けを受け入れることができる心の準備ができるのではないでしょうか。

 

怒りが湧きにくくなる期待内容にいきつくまで、ある程度の試行錯誤は必要ですが、「これだ!」というものが見つかると、強い怒りを感じることが減っていくと思います。

 

 

期待を手放すにはどうすればいいか?

例えば「脱いだ服は脱いだ人が片付けて欲しい」という期待を手放すにはどうすればいいでしょうか。

 

期待を手放す鍵は、こちら側の価値観や信念にあります。

 

「脱いだ服は脱いだ人が片付けるべきだ」という信念があるので、相手にもそれを期待してしまうのです。

 

その期待は身近な人にほど強くなります。「言わなくてもやってくれるはず」という期待とともに。

 

どんなに身近な人であっても、価値観や信念は違います。

 

わたしは「脱いだ服は脱いだ人が片付けるものだ」であっても、相手は「脱いだ服は母親かそれに代わる人が片付けるものだ」かもしれません。

 

相手への期待に、「同じ価値観や信念であること」を求めていないかを疑い、価値観や信念の違いを認めることが、期待を手放すことへと繋がっていくと思います。

 

期待を手放すことができたら、「脱いだ服はわたしが全部片付ける」のか、「わたしが声がけをして片付けてもらうようにする」のかというような、「言わなくてもやってくれるはず」以外の行動を考えることができます。

 

ただし、相手もこちら側に同じ価値観や信念であることを求めてくることもあるので、声がけをしても相手が難色を示す場合もあります。

 

もし、「脱いだ服は脱いだ人が片付ける」ということにしたいのであれば、価値観や信念の違いを認めた上で、お互いが納得してすることができるやり方を建設的に議論していく必要があります。

 

その際には、ブレスト(ブレインストーミング)もひとつの手段として役に立つと思います。

 

 

感想

アンガーマネジメントでも、怒りは期待が裏切られた時に湧いてくるということを学びましたが、時同じくして「プルチックの感情の輪」を知り、それが「怒り」と「期待」の関係性を説明するのにピッタリだったことから、この記事を書くことにしました。

 

「プルチックの感情の輪」における怒りは、期待や恐れや悲しみといった他の感情と同じレベルで定義されていて、アンガーマネジメントの本や講座で学ぶ、「第2感情」の定義とは少し違いますが、様々な視点から怒りの感情について考えてみるきっかけになると思いました。

 

怒りの感情は、期待をコントロールすることによって軽減させることはできますが、完全に無くすことは不可能です。それは、以前から書いてきたように、怒りは人間にとって必要なものであるものということや、期待以外の要素もあるからです。

 

しかし、「プルチックの感情の輪」を見るとわかるように、怒りと期待があることによって攻撃が生み出されてくるということは、期待の影響の大きさを裏付けるものであると思います。

 

怒りの感情が湧いてきた時に、自分の中に期待の感情がなかったどうか振り返ってみることは、アンガーマネジメントを実践してくにあたって大切なことのひとつだと言えそうです。

 

 

参考文献・HP

『安藤俊介 著 アンガーマネジメント入門 (朝日文庫)

『戸田久実 著 アンガーマネジメント 怒らない伝え方

『嶋津良智 著 怒らない技術 (フォレスト2545新書)

『水島広子 著 「他人の目」が気になる人へ 自分らしくのびのび生きるヒント (光文社知恵の森文庫)

◆ビジネスのためのWeb活用術。『人間の感情は色で分類すると関連性がわかる?プルチックの感情の輪 https://swingroot.com/plutchik-emotion/

◆シックスセカンズジャパン『感情のリテラシーを高める プルチックの感情の輪 https://6seconds.co.jp/eq-articles/plutchiks-model-of-emotions

 

 

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