心理学の父、ヴントについてわかったこと
こんにちは。どいつよしです。
2020年最初の記事は、初めに相応しく、心理学の父ウィルヘルム・ヴントについてわかったことを書きたいと思います。
ヴントは、1879年にドイツのライプチヒ大学に心理学実験室を設立しました。これが学問としての心理学の誕生と言われています。
研究対象は人間の意識
ヴントは心理学の研究対象を直接体験に規定しました。
直接体験とは、人が直接に経験していること。すなわち、自分自身の意識に上ることのみが心理学の研究対象になるということです。
そして、
「意識の問題を経験的に研究していくには、直接体験をしているその人自身で自分の意識を観察しなければならない」
ということで、自分自身で自分の意識を観察する内観法を心理学の方法として提唱しました。
また、当時、多大な成功を収めていた化学や生物学にならい、意識を心的要素の結合として理解しようとする要素論の立場をとっていました。
「人の意識ってぇのは、その人が体験している感覚やイメージ、感情とやらが結びついて1つになったもののことでぇ!」
ということを明らかにしようとしていったわけです。
具体的にどのように研究をしていったかというと、
- 実験参加者に刺激を与える
- その刺激(光や音など)を体系的に変化させる
- そこで知覚された内容を言語で報告してもらう(内観法)
というやり方で、意識の構成要素(感覚やイメージ、感情)とその統合過程を明らかにしようとしました。
心理学にもたらした影響と功績
このようなヴントの研究は、後に「心はどのような要素から構成されているのか」を追求する構成主義となり、ティチナーらによって受け継がれていきます。
しかし、構成主義はその後、実験方法の客観性への批判や、部分より全体を重視するゲシュタルト心理学の台頭により、衰退していきます。
そのため、ヴントの学問的立場そのものは、その後の心理学に長く影響することは多くはありませんでした。
それでもヴントが今でも高く評価されているのは、
- 心理学を独立した学問として確立したこと
- 多くの領域の人々によってなされてきた心理学的研究成果を集大成したこと
- 世界各地から集まった若い人々を心理学者として養成したこと
という功績があるからです。
ヴントの実験室からは、
- 教育心理学の礎を築いたモイマン。
- 精神疾患の系統的分類や作業検査法が有名なクレペリン。
- メンタルテストを考案し個人差の測定を試みたキャッテル。
- 応用心理学への道を切り開いたミュンスターベルク。
- 発達心理学の祖とされるホール。
- アメリカで初めて心理学クリニックを開設したウィトマー。
- 日本心理学の祖といわれる松本亦太郎。
などそうそうたるメンバーが輩出されています。
感想
まず、ヴントに学んだ人がそうそうたるメンバーであることに驚きました。
今、僕が学んでいる分野の偉人たちであります。ヴントが実験室を作らなければ、その分野が生まれることがなかったのかもしれないと思うと、ヴントのおかげで学ぶことができているという感謝の気持ちが湧いてきました。
ヴントが学問としての心理学を誕生させたことから、月日を経て、僕が学んできた産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの知識に繋がってきているということを知ることができ、ヴントをより身近に感じることができて良かったです。
引用・参考文献
『森 津太子・向田久美子 心理学概論 (放送大学教材)』
『梅本堯夫・大山 正 心理学への招待―こころの科学を知る (新心理学ライブラリ)』
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