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心理学の領域についてわかったこと

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心理学の領域を知るとさらに知的好奇心が刺激されます。笑

 

こんにちは。どいつよしです。

 

心理学といっても、実際に学んでみると、それはそれはたくさんの領域に分かれていることがわかります。

 

心理学の領域は大きく分けて、基礎心理学、応用心理学に分かれています

 

そして、そこから枝分かれして、たくさんの〇〇心理学が存在しています。

 

基礎心理学とは?

人間の行動や心の働きの原理を解明しようとするのが基礎心理学です。

 

知覚心理学

学習心理学

生理心理学

比較心理学

発達心理学

パーソナリティ心理学

社会心理学

 

などがあげられます。

 

知覚心理学

人の知覚のあり方を研究するのが知覚心理学です。

 

私たちが目・鼻・口といった感覚器官を通じて、外界からの情報を取り入れた後、脳にその情報が伝えられて解釈が加えられる、その過程を知覚といいます。

 

知覚には視覚(色覚、光覚)、聴覚、嗅覚、味覚、触覚(皮膚感覚)、深部感覚、内臓感覚(有機感覚)、運動感覚、平衡感覚、時間知覚(time perception)などがあり、この中で最も研究の対象とされてきたのは視覚でした。

 

学習心理学

ヒトを含む動物が経験を通して行動を変容させていく過程を研究するのが学習心理学です。

 

心理学でいう学習は、「経験によって生じる一時的でない心理的機能に関わる行動の変化」などと定義されています。

 

ちなみに、この場合の行動とは、「何度か練習したら自転車に乗れるようになった」といった外から見えるものだけでなく、知識の増加や価値観の変化のような、外からは観察できないものも含まれます。

 

生理心理学

生理学的な手法を用いて、人間の行動の仕組みやその背景にある心の働きを解明しようとするのが生理心理学です。

 

人間の心の働きの生物学的な基盤を探求する学問ということもでき、生理学的な反応と心理学的な現象との間には関連性があることを前提としています。

 

「心の働きを知るには神経学の知識が不可欠」だと説いた、アメリカ心理学の父、ウィリアム・ジェームズの言葉にあるように、脳神経系の基本的なしくみを理解しながら、心と脳の関係を探っていきます。

 

比較心理学

人間と他の動物の行動との比較を通じて、人間の心の働きを明らかにしようとするのが比較心理学です。

 

人間に比べ、取り扱いが容易な動物を使って実験することで、人間にも共通する心の働きの基本的な特徴を明らかにしようとすることと、

 

人間と他の動物で異なる部分を洗い出すことで、人間の心の働きに見られる特長を明らかにしようとすることの、

 

大きな2つの目的があります。

 

発達心理学

人の生涯にわたる心身の変化とそれが生じるしくみを研究するのが発達心理学です。

 

発達の研究対象は、かつては子どもだけでしたが、現在は大人も含むようになり、発達を多次元的・多方向的に見るようになっています。

 

エリク・エリクソンのライフサイクル論や、ブロンフェンブレンナーの生態学的発達理論は、心理カウンセラーが知っておくとクライエントのアセスメントに役立ちますし、キャリアコンサルタントにも関係する分野でもあります。

 

パーソナリティ心理学

主に人の性格について研究するのがパーソナリティ心理学です。

 

心理学は、人間の行動についての一般的な法則や原理を見出すことを目的としています。一方で、人には個人差や個性というものがあるのも事実です。

 

外見、体質、性格、能力、行動といったさまざまな個人差のうち、主に性格に関する側面をパーソナリティと呼びます。

 

一人ひとりが環境に適応するやり方(行動や考え方、感じ方)は異なっており、そうした個人差を追求しようとします。

 

社会心理学

人間の行動は、想像以上に私たちを取り巻く環境、とくに社会的な環境から影響を受けるということを研究するのが社会心理学です。

 

例えば、怒っている人を見ると、私たちはすぐにその原因を、その人のパーソナリティや行動傾向に求めがちですが、社会心理学では、その人の行動には、その人が置かれている状況や環境も影響を与えていると考えます。

 

日常生活の中で起こる、人の心と行動の不思議と仕組みについて考えていくので、「私たちの暮らしの中の心理学」とも言われます。

 

応用心理学

基礎心理学で解明された原理を各分野での問題解決に活かすのが応用心理学です。

 

教育心理学

臨床心理学

産業・組織心理学

犯罪心理学

 

などがあげられます。

 

教育心理学

教育に関わる様々な問題について、心理学的な観点から客観的に検討するのが教育心理学です。

 

学校教育で子ども達が学ぶものは、大きく2つに分けられます。1つは教科の内容に関する知識や技能。もうひとつは、集団で過ごすことで獲得される社会性です。

 

教育心理学は、その2つにそれぞれ関わっていきます。

 

「教科の内容に関する知識や技能」については、「教科の教授・学習過程」と「学習を支える動機づけ」の問題について考えます。

 

「集団で過ごすことで獲得される社会性」については、「社会性の学習の場としての学級の特徴」と「円滑な交友関係を結べるようにするための教育方法」の問題について考えます。

 

臨床心理学

心理学の中でも特に実践との結びつきの強い領域であり、心の問題を抱えている人の支援を主な目的としているのが臨床心理学です。

 

他の心理学の分野と違い、実践なくしては学問が成り立たないところに特徴があります。さらに、実践にあたっては専門的な知識や技能が必要とされます。

 

心理カウンセラーの存在が身近になったこともあり、心理学と聞くと、すぐに臨床心理学のことを思い浮かべる人も多いと思います。

 

公認心理師がスタートしたことで、俄然注目されることになっている心理学です。

 

産業・組織心理学

基礎心理学の知見を職場に応用するのが産業・組織心理学です。

 

ワークモチベーションや意思決定、チームワークなどを研究する「組織行動」、 採用や選抜方法、キャリア発達支援、人事評価などを研究する「人事」、 ヒューマンエラーや安全工学、職務ストレスを研究する「安全衛生」、 購買行動、広告効果、心理的会計などを研究する「消費者行動」の4領域に大別されます。

 

この4領域の研究を通して、組織全体が持続して目標を達成し、組織の中で働く人が効率よく、成功を収めながら、生き生きと自己成長しながら、他の人と協働して、安全に働くことの実現を目指します。

 

産業カウンセラーやキャリアコンサルタントが知っておくべき知識が多い分野です。

 

犯罪心理学

犯罪者の特性や環境要因の解明を通して、犯罪予防や犯罪捜査、また犯罪者の更生に役に立つことを目的としたのが犯罪心理学です。

 

平穏に暮らす人たちを困らせ、悲しませる行為、犯罪や非行。しかし、実はその加害者も、それまでの人生で苦しみ、傷ついてきた人が多い、という事実があります。

 

犯罪心理学は、そのような加害者に立ち向かい、心の闇を解き明かそうとします。なぜ、事件を起こしたのか、という謎解きに挑みます。

 

そのうえで、もう二度と罪を犯さないように改心し、新たな人生を歩むことができるように支援します。

 

 

感想

僕のような産業カウンセラーは、養成講座において、臨床心理学の中にあるカウンセリング理論(技法も含む)を中心に学びます。

 

最近、基礎心理学の知識も学んでいくなかで、目の前の相談者の問題を把握したり、アセスメントしたりする時に、多角的に観ていくことができるようになってきたと思うことがあります。

 

【傾聴力アップ】多弁な人には理由があることを知ると落ち着いて対応できるようになる 』の記事にも社会心理学のレヴィンの公式について触れましたが、あれがまさにそうです。

 

また、発達心理学のエリク・エリクソンのライフサイクル論を知識としてもっておくことで、相談者が直面している課題について理解ができやすくなることもあると聞きました。

 

このように、産業カウンセラーとしてレベルアップしていくために、基礎心理学を学ぶことはとても有効であると思います。

 

引用・参考文献

『森 津太子・向田久美子   心理学概論 (放送大学教材)

『梅本堯夫・大山 正 心理学への招待―こころの科学を知る (新心理学ライブラリ)

『心理学総合案内こころの散歩道 社会心理学とは

『山口奈緒美 東北福祉大学  産業心理学  教科概要

『半沢 利一 夢ナビTALK 犯罪の謎を解く~心の闇に迫る犯罪心理学| 東北福祉大学』 

 

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