ココロの皮むき

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【祝!GHC戴冠】武藤敬司のパフォーマンスの高さを発達心理学から考えてみた

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58歳1ヶ月でGHCヘビー級王者奪取!!武藤敬司

 


こんにちは。どいつよしです。

 

プロレスリング・ノアの11年ぶりの日本武道館大会をネット配信で観戦しました。

 

メインイベントは

 

GHCヘビー級選手権試合

<王者>潮崎豪 VS <挑戦者>武藤敬司

 

戦前の予想を覆すような白熱した名勝負を制したのは、天才・武藤敬司。

58歳にしてチャンピオンになるという偉業を達成!!

武藤ファンの僕も勝つとは全く予想してなくて、とてもびっくりしました。

 

しかし、少し前まで一線を退きかけていた武藤がシングルのタイトルマッチであれだけの試合ができるとは・・・!

 

試合が始まるまで、ほんとに大丈夫なんだろうかと心配していたことを、この場を借りてお詫び申し上げます。

 

ゴメンナサイ。。

 

武藤敬司と発達心理学の関係性

58歳という年齢になっても、第一線で戦えるということを証明した武藤敬司を見て思ったのは、「この人はまさに発達心理学のSOCモデルを実践していっているな」ということ。

 

SOCモデルというのは発達心理学の考え方のひとつです。特に老年期の発達において、人生をよりよく生きていくための鍵となる考え方です。

 

今日は、武藤敬司が58歳になった今でも高いパフォーマンスを維持できているはなぜなのか、についてSOCモデルから考えてみますね。

 

SOCモデルとは

生涯発達心理学を切り開いた心理学者のポール・バルテスによって提唱されました。

 

バルテスは、

「加齢に伴う能力の伸びや維持には、目標を精選し、自らの限られた資源(時間や労力)を効率的に分配し、うまくいくよう工夫するという戦略によるところが大きい」

ということを突き止め、その戦略を成り立たせる3つの要素の頭文字を取ってSOCモデルと名付けられました。

 

①選択(Selection)

②最適化(Optimization)

③補償(Compensation)

でSOC!

 

では、SOCのそれぞれについて解説しますね。

 

①選択とは

自らの持てる資源を認識し、それをどこに振り向けるか(目標)を選択すること。この選択はさらに、「喪失に基づく選択」と「喪失を見越しての選択」に分けられます。

 

②最適化とは

目標に対して資源配分の調整を行い、努力を継続することです。

 

③補償とは

今までのやり方でうまくいかなくなったときに、新しいやり方を工夫することです。

 

武藤敬司にSOCモデルをあてはめる

武藤敬司的 ①選択

武藤敬司は、膝に人工関節を入れる手術をしてから、彼の代名詞であったムーンサルトプレス(昔からのファンは、ラウンディングボディプレスと言う)を封印しました。

 

他にも飛んだり跳ねたりする技もいくつか使わなくなりました。終始スピード感のある試合もしなくなりました。

 

この辺りは、プロレスラーとして現役であり続けることへの選択であると考えられますね。

 

武藤敬司的 ②最適化

そして、若い選手に見劣りしない体作りを継続し、グラウンドのテクニックや技の綺麗さや的確さもまだまだ錆びついた印象はありません。

 

日々のトレーニングを欠かしていない証でしょう。

 

ここは、最適化にあたりますね。

 

武藤敬司的 ③補償

さらに、使う技を絞り込み、緩急をつけた試合運びで上手に休んでスタミナを温存しながら、ここぞというところで一気に畳み掛けて決めに行くというスタイルを確立しました。

 

もう、補償の真骨頂ですね。

 

解説の秋山準も、「武藤さんは休むのがうまい。動かせ続けないとダメだ。」と言っていました。

 

戦い方を工夫することで高いパフォーマンスを維持し、最年長チャンピオンになっているというわけです。

 

うーん、すばらしい!!

 

武藤敬司はSOCモデルの実践者

実は武藤敬司は、膝の状態のこともあって、若い時から少しずつ戦い方を変化させてきています。

 

それは決め技の遍歴にも見て取れます。

 

ムーンサルトプレス

足4の字固め

腕ひしぎ逆十字等のサブミッション技

シャイニング・ウィザード(この技は思いっきり膝をぶつける技なんですが 笑)

 

このように若い時からSOCモデルを実践して来ているんですよね。

 

 

もちろん、武藤に第一戦で戦う場を提供しているプロレスリング・ノアの存在も大きいですが、その期待にしっかり応えたところが凄いと思います。

 

11年ぶりの日本武道館のメインですよ。しかも団体を象徴するタイトルマッチ。

 

ここでしょうもない試合をしたら、ノアの看板とともに武藤敬司ブランドにも傷を付けることにもなります。

 

しっかりとコンディションを整えて、受けの美学を体現するノアのスタイルにも合わせて、正面から技を受けまくる武藤。

 

スーパースターとして長年プロレス界を牽引して来た人の覚悟と底力を見ました。

 

 

武藤敬司の変遷については、Amazon prime videoで配信中の『有田と週刊プロレスとF』のエピソード7でも詳しく語られていますので、ぜひ一度ご覧になってくださいね。

 

 

あとがき

スポーツ選手の選手生命は、人の寿命に比べると長くないですよね。少しでも長く現役で活躍する秘訣は、早い段階でSOCモデルを実践していくことにあるのではないかと思いました。

 

また、SOCモデルはスポーツ選手に限ったことではなく、誰にでも適応できる考え方です。歳を重ねても、高いパフォーマンスを維持したい方はぜひ取り組まれてみてはいかがでしょうか。

 

参考文献 

発達心理学概論 (放送大学教材)』向田久美子著

 

 

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