ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

赤ちゃんにとって大切なアタッチメントってどんなもの?

f:id:kokoronokawamuki:20190822111514j:plain


こんにちは。どいつよしです。
 
 
今回は、社会福祉学博士で臨床ソーシャルワーカーのヘネシー澄子さんの講演会に参加した時のメモから記事を書いていこうと思います。
 
 
子育てに必要なものとしてアタッチメント(Attachment)という言葉をよく聞きますよね。
 
 
アタッチメントという言葉の響きから「赤ちゃんに触れること」なのかな、というイメージが湧きますが、本当のところは違います。
 
 
ヘネシーさんによると、
 
 
アタッチメント=生後に結ぶ赤ちゃんと保護者の愛着の絆
 
 
とのこと。
 
 
そして、この「愛着の絆」が子どもの心身の発達に大きな影響を与えてくるから、子育てに必要だと言われているのです。
 
 

乳幼児期に愛着の絆を結ぶとどうなるのか?

乳幼児期に愛着の絆を結ぶメリットととして、90年代からの脳の研究では、
 
 
脳と肉体の健常な成長と発達を促す。
↑遺伝子の持っている可能性を最大限に実現するため。
 
良心・同情・共感・愛情のやり取りができるようになる。
↑人間関係作りの能力の基礎がしっかりするため。
 
恐怖・不安・怒りを抑え、喜び・快感・興味・楽しむことができるようになる。
↑自制・自癒能力が養われるため。

 

 
ということがわかっているそうです。
 
 

愛着の絆とはどういうものなのか?

愛着の絆とは、
 
 

保護者と子どもの間に互いに結ぶ特別な、深い、恒久的な、生理的で社会的で情緒的で知的な絆

 

 
とのこと。
 
 
とにかく影響が大きいということがわかります。
 
 

愛着の絆を結ぶというのは?

愛着の絆は、
 
 
母またはその代理となる人が子どもに感じる「可愛い・いとしい・守ろう」という想いと、
 
子どもが母またはその代理人に寄せる慕情と全面的な信頼によって結ばれる

 

ということです。
 
 
母またはその代理となる人というところがミソです。
 
 
母親だけでなく、父親でも祖父母でも里親さんでも愛着の絆は結べるということです。
 
 
ちなみに、僕が働いてた乳児院では担当さんと子どもが愛着の絆を結ぶことをとても大切にしていました。
 
 
ひとつ間違えてはいけないのは、コロコロと大人が変わるような状況では愛着の絆は結びにくいということです。
 
 
同じ保護者との一貫した、愛情のこもった養育的人間関係でないと、愛着の絆は結ぶことができません。
 
 

愛着の絆を結ぶ時期はいつ?

赤ちゃんが生まれてから愛着の絆を結ぶ最適な時期はスタートします。
 
 
0〜生後3ヶ月:愛着形成に大切な時期
 
0歳〜3歳まで:愛着が脳の形成を助ける時期
 
〜5歳まで:愛着の絆を自然に結ぶ最適な時期

 

ということだそうです。
 
 
ちなみに、この時期を逃してしまっても、お互いが望むなら、何歳になっても結びなおすことはできるとのこと。
 
 
愛着の絆の結びなおしには、やはりスキンシップが鍵になるそうです。
 
 
それについては、また別の機会に記事にしたいと思います。
 
 

心の土台を作る時期にも重なる

『自分に自信をつける最高の方法』の著者で心理カウンセラーの常冨泰弘さんは、
 
 
0歳から5、6歳までに心の土台ができあがる。
 
 
と言われています。
 
 
先程書いた、愛着の絆を結ぶ時期と重なりますよね。
 
 
子どもの脳は3歳くらいまでに大人とほぼ同じくらいの大きさになり、その間に、視覚、聴覚、嗅覚など、五感をフル稼働させて外界からの情報を、判断の基準として取りこんでいきます。
 
 
親とのかかわりや遊び、食事などを通してこの時期に吸収した情報は、それ以降の人生においての「基本情報」となり、“心の土台”の強度に直結するのだそうです。
 
 
5、6歳になるころは、両親だけでなく、祖父母、幼稚園や保育園の先生、近所の親切なおばさんといった養育者たちとのコミュニケーションをもとに、自分と他人との関係性をはっきりと理解するようになる時期とのこと。
 
 
そして、同時に、「自分は愛される」「自分は頭がいい」「自分は美しい」というような、自分に対するなんらかのイメージ(セルフイメージ)が鮮明にできあがります。
 
 
この幼い頃のセルフイメージは、そのまま“心の土台”となり、その後の人生の大きな影響を与え続けることになるのだそうです。
 
 
しっかりとした“心の土台”を築くためにも、愛着の絆を結ぶことがとても大事になってくると言えますね。
 
 

愛着の絆作りに欠かせない保護者の行動とは?

ヘネシーさんによると、愛着の絆を作るためには「安心・安全感を与える行動」と「あかちゃんと波長を合わせる行動」が必要とのこと。
 
 
安心・安全感を与える行動
・アイコンタクト
・保護者の優しい表情、特に微笑
・保護者の優しいタッチと愛撫
・抱擁やおんぶ(保護者との密着の大切さ)
 
 
赤ちゃんと波長を合わせる行動
・赤ちゃんのニーズに即座に応える
・赤ちゃんの微笑に微笑で応答する
・赤ちゃんの表情や出す声を真似る
 
 
この中で、抱擁(抱っこ)は特に大事とのこと。
 
 
乳幼児期に抱かないで放置していると、抱かれたいのに抱いてもらえないことを「自分が悪いからだ」と捉えてしまい、保護者を信頼できなくなってしまうからだそうです。
 
 
また、赤ちゃんの出す声を真似ることは、赤ちゃんと会話をすることを意味し、コミュニケーション能力の発達にも影響します。
 
 
このような保護者と赤ちゃんの相互作用で、赤ちゃんは自分が「仕掛け人」であり、それにより「効果を引き出す」ことができると自覚できるそうです。
 
 
これは、「自分には能力がある」という、自尊心と自信の最初の段階にもなります。
 
 

愛着の絆作りにもスキンシップを

愛着の絆作りに欠かせない保護者の行動の中にも、スキンシップを意味するものが入っていましたが、そのメリットとして以下のことがあります。
 
 
母親と父親共通
・赤ちゃんとの皮膚と皮膚を合わせた接触は赤ちゃんの気持ちを鎮めるので、余り泣かず、よく眠る。
 
 
・健全な親子関係の構築。
 
 
・赤ちゃんの泣き声ひとつで、何を欲しがっているのかがわかる。
 
 
母親
・母親はストレスを減少し、オキシトシンの分泌を高め、産後うつになる度合いも低い。
 
 
・母子関係が良好に育ち、母親は子育てを楽しく行うことができる。
 
 
・赤ちゃんの出生後3ヶ月くらいまでは、母親の胸のあたりの体温が他の部分に比べて1〜2度高く、新生児を温めることができる。新生児の体温が上がると、母親の胸の体温は下がり、新生児にとってちょうどよい温かさを維持することができる。
 
 
父親
・父親は赤ちゃんを抱くとオキシトシンが出る。
 
 
・乳児期は母親の補助役(哺乳、おむつ交換、抱いてあやす、入浴の手伝い、夜泣きへの対応など)として赤ちゃんと接することで愛着の絆を深められる。
 
 
・赤ちゃんと触れ合い、男性ホルモンの匂いをかがせることも安心感につながる。
 
 
ちなみに、
 
 
1歳過ぎの男の子は攻撃性を高める時期に入るので、父親はそれを調整する役割を担います。
 
 
2歳ぐらいからは、娘にとって最初の恋人、息子にとって役割モデルとして、なくてはならない大切な存在になるそうです。
 
 
父親は1歳以降に子育てにおける役割や存在が大きくなるので、それまでに我が子との愛着の絆を結んでおくと、子育てしやすくなりそうだということがわかりますよね。
 
 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
 
 
今回は、アタッチメントがどのようなものなのか、愛着の絆を結ぶことの重要性、愛着の絆作りについて書きました。
 
 
アタッチメントとは、生後に結ぶ赤ちゃんと保護者の愛着の絆である。
 
愛着の絆を結ぶことが、赤ちゃんと保護者の双方にとってもメリットがある。
 
愛着の絆を結ぶことが、赤ちゃんの心身の成長発達に大きな影響力をもつ。
 
愛着の絆作りにはスキンシップが欠かせない。
 
愛着の絆は母親だけでなく、父親にも必要である。

 

 
ということがおわかりいただけたかと思います。
 
 
僕もヘネシーさんのお話しを聴くことで、アタッチメントの本当の意味がわかりました。
 
 
そして、愛着の絆作りの7つの項目は、赤ちゃんとスキンシップを取る時にすべて含まれてくるということに気付きました。
 
 
逆に言うと、スキンシップがないところには愛着の絆は結べないということも言えますよね。
 
 
スキンシップには、赤ちゃんだけでなく保護者の側にもメリットが多くあります。
 
 
忙しい中でもあやす時、哺乳時、おむつ交換時などに合わせてやっていくことはできますし、やり過ぎてダメなものでもないので、積極的にあかちゃんに触れる時間をもって愛着の絆を結んでいくことが大切だと改めて思いました。
 
 

あわせて読んでみてくださいね

www.kokoronokawamuki.com