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【SFA】ミラクル・クエスチョンでカウンセリングの流れを変えてみた話

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕のブログの中でよく読んでもらえている記事、ミラクル・クエスチョン。
今回は、そのミラクル・クエスチョンの有効な使い方に通じることを書きます。
 
 
この使い方を覚えておくことで、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下SFAと記載)を主体にした聴き方で、プロセスが行き詰まった際の打開策となります。
 
 
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
 
 
SFAとはそもそもなんですか? という人は先にこちら『ソリューションフォーカストアプローチっていったいなんなのさ?』を読んでみてくださいね。
 
 
それでは、簡単なおさらいからいってみましょう。
 
 

ミラクル・クエスチョンとは?

ミラクル・クエスチョンとは、
 
 
奇跡が起きたと仮定して問題が解決した姿やありたい姿を具体的にイメージさせる質問のこと。
 
 
クライエントが望む未来、ゴールをありありとイメージさせたい時や、
 
 
クライエントのポジティブな面を強化し、明確な未来のイメージへ向かって具体的に進んでいくきっかけにする流れを作りたい時
 
 
に使います。
 
 
ミラクル・クエスチョンは、うまく使いこなせるようになるととても効果が高い質問になります。
 
 
僕のブログでは、本家のミラクル・クエスチョン以外の発展型の質問についても記事を書いていますので、そちらも読んでみてくださいね!
 
 
 
さて、そんなミラクル・クエスチョンには、もうひとつ大きな効果を期待できる使い方があるのです。
 
 
それはなにか?
 
 
 

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カウンセリングの流れを変える時に使う
 
 
というもの。
 
 
そこに至るまでに、例外探しの質問やスケーリング・クエスチョンを使ったものの、ポジティブな面に光が当たらない時の打開策としても使えるのです。
 
 

カウンセリングの行き詰まりを変えた体験

では、実際にどのように使ったのか、僕の体験を例にしますね。
 
 
<例>
 
その相談者は、「〇〇はできたけど、〇〇ができない」という言葉をよく使う人でした。
 
 
例外探し、スケーリングの各クエスチョンを使うも、全て「〇〇はできたけど、〇〇ができない」で返されてしまいます。
 
 
できてることを増強していきたいところが、質問するたびに、できないところも増強していってるのではないかということで、不安な気持ちになっていってしまいました。
 
 
SFAの先生からは、「技法に自信を持って」と常々言われていましたが、さすがに、そう思うことができなくなって、困ってしまいました。
 
 
そんな中、頭の中にふとよぎったのが、「ミラクル・クエスチョンは他のすべての技法で効果が出ない時に使うとよい」ということ。
 
 
それまでの質問に対する回答から、イメージを浮かべることはできる人だという印象があったので、思い切って使うことにしました。
 
 
「これから想像力を使う、ちょっと変わった質問をしたいと思いますが、構いませんか」
 
 
と切り出してから、
 
 
「あなたはこの相談が終わった後、夕ご飯の支度をされますよね?その後、夕食を食べ、お風呂に入り、しばらくしたらおやすみになられますよね・・・」
 
 
という、ミラクルQへの導入のセリフを続けていきます。
 
 
そして、
 
 
「今晩あなたが眠り、家中が寝静まっているあいだに、奇跡が起こるとします。
 
 
それは、あなたの思っていらっしゃるすべてのことが解決しているという奇跡です。
 
 
でも、あなたは眠っていたので奇跡が起こったことを知りません。
 
 
明日の朝、目が覚めた時にどんなことから、奇跡が起こって問題が解決したのだとわかるでしょうか?
 
 
どこかが違うな、と感じるのはどんなところからでしょうか?」
 
 
と投げかけました。
 
 
すると、相談者は、しばらくの沈黙の後、それまでとは全く違う視点から答えを持ってこられました。
 
 
また、その答えは相談者にとって納得のいくものだったのか、「〜けど、〇〇ができない」がくっついてきませんでした。
 
 
そして、その答えが今すぐに実行できることでもあったようで、それをやってみるということで、終了になりました。
 
<例おわり>
 
 
以上のように、ミラクル・クエスチョンは、他の技法ではなかなかポジティブな側面を見ることができず、解決像が描けない状態の時に使うことができます。
 
 
そして、こういう状況での使い方というのは、ミラクル・クエスチョンの誕生とも関わりがあり、理にかなっているのです。
 
 

ミラクル・クエスチョンは絶望の状態から生まれた

実は、ミラクル・クエスチョンは、
 
 
「自分に残された唯一の解決は自殺しかない」と思うほど絶望しているクライエントと、その人を担当したインスー・キム・バーグによるやり取りから誕生しています。
 
 
当初、クライエントは自殺することがゴールになっていて、インスーとしては為す術がない状態かと思われました。
 
 
しかし、クライエントが発した言葉が、ミラクル・クエスチョンへと発展していくヒントをインスーに与えます。
 
 
「私は、自分に希望があるのかわかりません。あなたが奇跡を起こさない限り。」
 
 
これに対してインスーは、クライエントの【奇跡】と言う言葉を取り上げて言いました。
 
 
「私には残念ながら奇跡は起こせません。でも[私に奇跡が起こせる]と想像してみてください。その時、あなたにとってどんなことが違いますか?」
 
 
(このあたりの機転の効かせようは、さすが!としか言いようがありません。)
 
 
この質問の後、クライエントは、自分にとって変化が起こるものについて、いくつもいくつもアイデアを出して話し続け、自殺以外の解決の道があることに気付いていったのだそうです。
 
 
これが、ミラクル・クエスチョンの誕生の瞬間のお話しです。
 
 
だから、クライアントにポジティブな面に光が当たらない時の打開策としての使い方は、ミラクル・クエスチョンの原点回帰的な使い方でもあると言えますね。
 
 
また、この話からは、とても落ち込んでいたり、詳しく成功した結果について話し合う忍耐力を持っていなかったりするクライエントにも、ミラクル・クエスチョンが使えるというこがわかります。
 
 
ちなみに、ミラクル・クエスチョンには、短い言葉で綴る“シンプル・ミラクル”という手法もあります。
 
 

シンプル・ミラクルの使い方

ミラクル・クエスチョンを短い言葉で綴る“シンプル・ミラクル”。
 
 
この手法で、カウンセリングの流れを変えることも可能です。
 
 
「全ての問題が解決したとしたら、あなたはどんな状況になっていますか?」
 
「本当はどうなればいいと思いますか?」
 
「もし、○○があったらどうなりますか?」
 
 
という訊き方です。
 
 
例えば、例外探しの質問をしても、例外が無いという答えが返ってきた場合 ↓
 
 
「そうなんですね。そんな辛い状況の中、頑張って来られたんですね(←コンプリメント)。
 
 
ここに来られたのは、なんとかしたいという想いがあってのことだと思うのですが、本当はどうなればいいと思いますか?
 
 
という使い方になります。
 
 

奇跡は問題が解決できてなくても起こせる

いかがでしたでしょうか。
 
 
今回は、カウンセリングのプロセスが行き詰まった時や、流れを変えたい時に使うと有効な、ミラクル・クエスチョンの使い方について書きました。
 
 
クライエントの想像力によって効果は幾分か変わってくるとは思いますが、「とても落ち込んでいたり、詳しく成功した結果について話し合う忍耐力を持っていなかったりするクライエントにも使える」とインスーも言ってますので、可能性はたくさんあると言えます。
 
 
また、ミラクル・クエスチョンには、どんなに逆境であっても、どんなに暗闇であっても、必ず光はあるはずだという、SFAの信念が強く宿っているように思います。
 
 
今回この記事を書いて、困った時には奇跡を待たずに起こしにいくことができるのが、SFAのカウンセラーだということを、再認識することができて良かったです。
 
 

参考文献

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  • 作者: ピーターディヤング,インスー・キムバーグ,桐田弘江,玉真慎子,住谷祐子
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