赤ちゃんが泣きまくるパープルクライング期は家族みんなが知っておいて欲しい
こんにちは。どいつよしです。
「赤ちゃんは泣くのが仕事」と言われることがあります。
しかし、赤ちゃんの泣きは、頻度や強度によって、母親にとって大きな負担になっていきます。(父親が育児参加している時は父親にもあてはまります。)
心身ともに疲れて果ててしまったり、育児の苦労なんてわからない人から心無い言葉を投げられたり、ひどい時は虐待通告をされたりもします。
さらに、家族からも「泣き止ませるのはお前がちゃんとできないからだ。」という冷たい言葉を浴びせられて追い詰められていく人が少なくありません。
もちろん、母親が関わることにより泣き止むことも多いですが、それとは別に、親との関わりに関係なく泣きまくる時期があります。
そういう時期があるということを、母親だけじゃなく、その家族にはぜひ知っておいて頂きたい。
特に最近増えてきている、育児参加することに前向きな男性には、適切なフォローができるように必須の知識として知っておいて頂きたいです。
その時期とは??
パープルクライング期
今回は、乳児院で働いている時に小児科のお医者さんに教えてもらった、赤ちゃんが泣きまくる時期、パープルクライング期について書きます。
パープルクライング期とは?
生後2ヶ月くらいをピークに5ヶ月くらいまで続くといわれている、理解するのが難しく、なにをやっても泣きまくる時期のことです。
泣きの特徴を6つに分類して、その言葉の頭文字を取ってパープル(PURPLE)と言われます。
P(Peak of Crying)
生後2週間ごろから現れ2ヶ月ごろにピークを迎え、そのあとは徐々に和らいでいく。
U(Unexpected)
泣いている理由を予想できない。
R(Resists soothing)
なだめることができない。
P(Pain−Iike face)
たとえ痛くなくても痛そうな表情で泣く。
L(Long lasting)
長く続くといわれトータルで1日5時間、泣くこともある。
E(Evening)
とくに午後から夕方にかけてよく泣くといわれている。
これらの泣きは、関わり方に関係なく現れるとのことです。
虐待につながる危険性がある
パープルクライング期の泣きは、保護者側にとっては理解困難な泣きです。
どうやっても泣き止まないことに追い詰められ、無理やり泣き止まそうとして、乳幼児揺さぶられ症候群をはじめとする身体的虐待をしてしまう危険があるといわれています。
そして、虐待をしてしまうのは男性が多いとのこと。
正しい知識を持たず、間違った成功体験をもとに育児に参加しようとすると、最悪の結末になってしまうのだそうです。
誰も責めないことも大切
パープルクライング期は、ほとんどの赤ちゃんに見られる現象で、誰も責めることはできません。
母親を責めることはもちろん、父親はじめ、他の保護者が関わる時も同じです。
自分自身を責めないようにすることも大切です。
育児に参加している誰かが、赤ちゃんが泣き止まなくて自分を責めてしまっていたら、まわりの大人が温かい言葉や行動でフォローしてあげてほしいと思います。
愛着の絆を結ぶ時期と被る
以前の記事にて、生徒3ヶ月までの関わりが愛着の絆を結ぶのに大切であることを書きました。
まさに、パープルクライング期と被ります。
赤ちゃんとの関わりが難しく思えてしまう時期が、一番愛着の絆を結ぶのに大切な時期でもあるわけなんですね。
そして、心の土台の最下層「私には生きる価値があるの層」が強固になる時期でもあります。
パープルクライング期に理解困難ながらも試行錯誤をして赤ちゃんと向き合うことが、結果的に愛着の絆を結ぶことに繋がっていくということが言えます。
母親が疲れ果ててしまわないように
僕が乳児院で働きだして1から乳幼児の保育について教わった先輩も、このパープルクライング期に育児ノイローゼになってしまったと言っていました。
また、親しい友人は、自分の父親から「泣き止ますことができないのは、お前のやり方が悪いからだ」と繰り返し言われて、育児ノイローゼになってしまいました。
他にも、乳児院で働いている時には、このパープルクライング期で責任を負いすぎて育児ノイローゼになってしまったお母さんを何人も見ました。
男性の育児参加が少しずつ増えているとはいえ、やっぱり育児の中心は母親であるのが実状です。
愛着の絆を結ぶ大切な時期でもある時に、母親が疲れ果ててしまわないように、家族みんなが知識をもって、協力し合って乗り越えていってほしいと願います。
以下の動画も参考になりますので、ぜひご覧になってみて下さい。
家族のサポートを期待できない場合は
いろいろな事情があって、家族みんなで協力しあえない場合はどうすればいいのか。
こちらに、僕が知っている限りの支援機関を載せておきますので、気軽に相談されてみるとよいと思います。
地域の子育てサークル、子育て広場に参加する
お住いの地域に子育てサークルや、子育て広場がないか調べてみてください。
その地域の民生委員や保健師経験者、保育士経験者などが主催して、週に数回開催して場合があります。
そこに参加していろいろと相談にのってもらうと良いと思います。場所によっては、訪問支援へ繋げてもらえることもあるかと思います。
児童家庭支援センターに相談する
1997(平成9)年の児童福祉法改正によって新たに制度化された児童家庭福祉に関する地域相談機関であり、2019(令和元)年9月1日現在、全国132センターが協議会に加盟しています。
民間の児童福祉法人が運営しているところが多く、専門的知識をもった職員さんが支援してくれます。
電話かメールでコンタクトを取り、必要であれば訪問支援をしてくれます。困ったら、気軽に電話かメールをしてみてはいかがでしょうか。
行政の母子保健課などの機関を使う
もちろん、各地域の行政機関にも保健師さんが常駐しており、子育てに関する相談にのってくれます。
「こんなことで相談していいのだろうか」と相談をためらう人も多いと聞きますが、ひとりで抱え込む期間が長くなればなるほど、辛さも増しますし、疲労も蓄積されていきます。
支援機関には育児のプロフェッショナルが多いので、気軽に電話やメールで相談してみてくださいね。
公共の場で泣き止まない赤ちゃんを見かけたら
今の日本は、赤ちゃんの泣き声に対して厳しい視線や声が向けられる、冷たい世の中になってしまいました。
親御さんがなんとかあやしていても泣き止まない様子だったら、「もしかしたらパープルクライング期なのかもしれないな。」と思って、温かく見守ってあげてほしいです。
子育てされてきた年配の女性などは、気軽に声をかけることができやすいようですが、そうでない人にとっては、どう声をかけたらいいのかわからないと思います。
僕も「赤ちゃんと関わる仕事をしてましたので、お手伝いしましょうか?」となかなか言う勇気が出ないことのほうが多いです。
でも、「パープルクライング期かもしれないな。お母さん(お父さん)大変だな。」と思うので、「うるせぇな!」という思いはこれっぽっちも出ません。
むしろ、「なにも助けてあげられなくてごめんなさい。」っていう思いの方が強かったりします。^^;
日本国民みんなが、パープルクライング期というものがあるということを知って、せめて、赤ちゃんの泣きに対して、温かく見守ってあげられるようになるとほんと素敵な世の中になると思います。