ココロの皮むき

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【傾聴力アップ】多弁な人には理由があることを知ると落ち着いて対応できるようになる

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どうして多弁なのか?を知ることで傾聴力を高められる!
こんにちは。どいつよしです。
 
 
仕事やプライペートで相談を受けると、一方的に早口で話し続ける多弁な相談者に出会ったりします。
 
 
僕はそのようなに人に対して苦手意識を持っていました。
 
 
早口で語られるストーリーについていくことで精一杯で、焦りの気持ちが強くなっていき、落ち着いて話が聴けなくこともしばしば。
 
 
さらに、
 
 
「僕の聴き方が良くないんだろうか?このままではいけない、なんとかしなければ」
 
 
ということが頭をよぎってしまうと余計に焦りが強くなり、相談者を受け止めきれないまま相談時間が終わってしまうこともありました。
 
 
 
多弁な相談者への対応は、いつしか自分自身のレベルアップの為にも乗り越えたい課題となっていました。
 
 
そこで、本を読んだり、先輩カウンセラーに訊いたりして、多弁な人に対応するコツを調べてみることにしました。
 
 

多弁になるには理由がある。その①

調べてわかったのは、多弁という行動の下には必ず何らかの理由があるということ。
 
 
多弁になる理由として今回調べてみたところでは、
 
 
①話したい事柄や感情が充満していて、それらを相談できる場で「発散」しようとしている。
②相談者が憤懣(ふんまん)やるかたないような状況にあり、その気持ちを聴き手に「理解」してもらおうとしている。
③混乱によって興奮した、あるいは脱線しがちな多弁の状態にある。
④話し続けることで会話を支配しコントロールしたい。
⑤苦しいことを語り続けることである種の快感状態になっている。

 

ということがわかりました。
 
 
 
対応としては、相談者が多弁になっている状態を適切に理解すること。
 
 
①や②の場合は、聴き手の傾聴と理解によって多弁がしだいに治まり、より落ち着いた自己探求へと向かう可能性が開かれるそうです。 
 
 
ただし、そうした方向性がなかなか生じない場合や、特に③のような特徴を示す相談者に対しては、その多弁の背景にある要因を慎重に見極めながら対応していく必要があるとのこと。
 
 
その結果、病的な背景、例えば躁状態などが認められる場合は、専門医や医療機関へのリファーなどの対応を考えていくことが必要になってきます。
 
 
④⑤は傾聴と理解に加えて、「話しについていけてません」と言ってを意図的に止めることも必要な場合もあるそうです。
 
 

多弁になるには理由がある。その②

また、多弁を【人間の行動】として捉えた場合に、社会心理学の考えからもそれなりの理由があることを理解することができることにも気付きました。
 
 
「レヴィンの公式」という社会心理学で有名なものがあります。
 
 
レヴィンは、「行動は人と環境との関数である」と主張した人です。
 
 
「行動は人と環境との関数である」を詳しく説明すると、
 
 

人間の行動について探求する場合に、行為者自身に属する要因(内的要因)だけでなく、その行為を行った際に、行為者をどのような環境が取り巻いていたのかということ(外的要因)も考慮に入れなければ、十分な理解は得られない。

 
 
ということです。
 
 
レヴィンの公式は、
 
 
B = f (P , E)
 
 
という式で、それぞのアルファベットの意味は以下の通りです。
 
 
B:人間のある時の行動(Behavior)
P:その人の個人特性(Person)
E:その時の環境や状況(Environment)
 
 
これに多弁を当てはめてみると、
 
 
多弁=f(相談者の個人特性 ,相談者の置かれている環境や状況)
 
 
となります。
 
 
このようにレヴィンの公式にあてはめて見てみることによっても、多弁であることには理由があるということがわかります。
 
 
そして、この公式にあてはめることで、多弁な相談者を、相談者の個人特性と、相談者が置かれている環境・状況の双方の視点から理解していくことができるようになりそうです。
 
 

感想

以上のように、多弁になる理由と対応法を知っておくだけでも、相談を受ける時の心持ちがかなり違ってくるなと感じています。
 
 
また、「その人は理由があって一方的にたくさん喋っているのだ」ということがわかれば、こちらの聴き方が100%悪いわけではないということもわかるので、全くわからない時に比べて自分の聴き方を気にし過ぎることもなくなりそうです。
 
 
そうなると、以前よりも気持ちを楽にして、落ち着いて対応ができるようになりますね。落ち着いて対応ができるようになれば、多弁への対応法を使って話を聴けるようになっていくのではと思います。
 
 
まずは、心を整えて、それから技法。
 
 
という流れですね。
 
 
意識して数をこなしていくと、きっと、できるようになると思います!
 
 

引用・参考文献

『森 津太子・向田久美子   心理学概論 (放送大学教材)

『一般社団法人 日本産業カウンセラー協会  産業カウンセリング  産業カウンセラー養成講座テキスト

 

 

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