ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

【SFA】ミラクル・クエスチョンでカウンセリングの流れを変えてみた話

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕のブログの中でよく読んでもらえている記事、ミラクル・クエスチョン。
今回は、そのミラクル・クエスチョンの有効な使い方に通じることを書きます。
 
 
この使い方を覚えておくことで、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下SFAと記載)を主体にした聴き方で、プロセスが行き詰まった際の打開策となります。
 
 
ぜひ、最後まで読んでみてくださいね。
 
 
SFAとはそもそもなんですか? という人は先にこちら『ソリューションフォーカストアプローチっていったいなんなのさ?』を読んでみてくださいね。
 
 
それでは、簡単なおさらいからいってみましょう。
 
 

ミラクル・クエスチョンとは?

ミラクル・クエスチョンとは、
 
 
奇跡が起きたと仮定して問題が解決した姿やありたい姿を具体的にイメージさせる質問のこと。
 
 
クライエントが望む未来、ゴールをありありとイメージさせたい時や、
 
 
クライエントのポジティブな面を強化し、明確な未来のイメージへ向かって具体的に進んでいくきっかけにする流れを作りたい時
 
 
に使います。
 
 
ミラクル・クエスチョンは、うまく使いこなせるようになるととても効果が高い質問になります。
 
 
僕のブログでは、本家のミラクル・クエスチョン以外の発展型の質問についても記事を書いていますので、そちらも読んでみてくださいね!
 
 
 
さて、そんなミラクル・クエスチョンには、もうひとつ大きな効果を期待できる使い方があるのです。
 
 
それはなにか?
 
 
 

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カウンセリングの流れを変える時に使う
 
 
というもの。
 
 
そこに至るまでに、例外探しの質問やスケーリング・クエスチョンを使ったものの、ポジティブな面に光が当たらない時の打開策としても使えるのです。
 
 

カウンセリングの行き詰まりを変えた体験

では、実際にどのように使ったのか、僕の体験を例にしますね。
 
 
<例>
 
その相談者は、「〇〇はできたけど、〇〇ができない」という言葉をよく使う人でした。
 
 
例外探し、スケーリングの各クエスチョンを使うも、全て「〇〇はできたけど、〇〇ができない」で返されてしまいます。
 
 
できてることを増強していきたいところが、質問するたびに、できないところも増強していってるのではないかということで、不安な気持ちになっていってしまいました。
 
 
SFAの先生からは、「技法に自信を持って」と常々言われていましたが、さすがに、そう思うことができなくなって、困ってしまいました。
 
 
そんな中、頭の中にふとよぎったのが、「ミラクル・クエスチョンは他のすべての技法で効果が出ない時に使うとよい」ということ。
 
 
それまでの質問に対する回答から、イメージを浮かべることはできる人だという印象があったので、思い切って使うことにしました。
 
 
「これから想像力を使う、ちょっと変わった質問をしたいと思いますが、構いませんか」
 
 
と切り出してから、
 
 
「あなたはこの相談が終わった後、夕ご飯の支度をされますよね?その後、夕食を食べ、お風呂に入り、しばらくしたらおやすみになられますよね・・・」
 
 
という、ミラクルQへの導入のセリフを続けていきます。
 
 
そして、
 
 
「今晩あなたが眠り、家中が寝静まっているあいだに、奇跡が起こるとします。
 
 
それは、あなたの思っていらっしゃるすべてのことが解決しているという奇跡です。
 
 
でも、あなたは眠っていたので奇跡が起こったことを知りません。
 
 
明日の朝、目が覚めた時にどんなことから、奇跡が起こって問題が解決したのだとわかるでしょうか?
 
 
どこかが違うな、と感じるのはどんなところからでしょうか?」
 
 
と投げかけました。
 
 
すると、相談者は、しばらくの沈黙の後、それまでとは全く違う視点から答えを持ってこられました。
 
 
また、その答えは相談者にとって納得のいくものだったのか、「〜けど、〇〇ができない」がくっついてきませんでした。
 
 
そして、その答えが今すぐに実行できることでもあったようで、それをやってみるということで、終了になりました。
 
<例おわり>
 
 
以上のように、ミラクル・クエスチョンは、他の技法ではなかなかポジティブな側面を見ることができず、解決像が描けない状態の時に使うことができます。
 
 
そして、こういう状況での使い方というのは、ミラクル・クエスチョンの誕生とも関わりがあり、理にかなっているのです。
 
 

ミラクル・クエスチョンは絶望の状態から生まれた

実は、ミラクル・クエスチョンは、
 
 
「自分に残された唯一の解決は自殺しかない」と思うほど絶望しているクライエントと、その人を担当したインスー・キム・バーグによるやり取りから誕生しています。
 
 
当初、クライエントは自殺することがゴールになっていて、インスーとしては為す術がない状態かと思われました。
 
 
しかし、クライエントが発した言葉が、ミラクル・クエスチョンへと発展していくヒントをインスーに与えます。
 
 
「私は、自分に希望があるのかわかりません。あなたが奇跡を起こさない限り。」
 
 
これに対してインスーは、クライエントの【奇跡】と言う言葉を取り上げて言いました。
 
 
「私には残念ながら奇跡は起こせません。でも[私に奇跡が起こせる]と想像してみてください。その時、あなたにとってどんなことが違いますか?」
 
 
(このあたりの機転の効かせようは、さすが!としか言いようがありません。)
 
 
この質問の後、クライエントは、自分にとって変化が起こるものについて、いくつもいくつもアイデアを出して話し続け、自殺以外の解決の道があることに気付いていったのだそうです。
 
 
これが、ミラクル・クエスチョンの誕生の瞬間のお話しです。
 
 
だから、クライアントにポジティブな面に光が当たらない時の打開策としての使い方は、ミラクル・クエスチョンの原点回帰的な使い方でもあると言えますね。
 
 
また、この話からは、とても落ち込んでいたり、詳しく成功した結果について話し合う忍耐力を持っていなかったりするクライエントにも、ミラクル・クエスチョンが使えるというこがわかります。
 
 
ちなみに、ミラクル・クエスチョンには、短い言葉で綴る“シンプル・ミラクル”という手法もあります。
 
 

シンプル・ミラクルの使い方

ミラクル・クエスチョンを短い言葉で綴る“シンプル・ミラクル”。
 
 
この手法で、カウンセリングの流れを変えることも可能です。
 
 
「全ての問題が解決したとしたら、あなたはどんな状況になっていますか?」
 
「本当はどうなればいいと思いますか?」
 
「もし、○○があったらどうなりますか?」
 
 
という訊き方です。
 
 
例えば、例外探しの質問をしても、例外が無いという答えが返ってきた場合 ↓
 
 
「そうなんですね。そんな辛い状況の中、頑張って来られたんですね(←コンプリメント)。
 
 
ここに来られたのは、なんとかしたいという想いがあってのことだと思うのですが、本当はどうなればいいと思いますか?
 
 
という使い方になります。
 
 

奇跡は問題が解決できてなくても起こせる

いかがでしたでしょうか。
 
 
今回は、カウンセリングのプロセスが行き詰まった時や、流れを変えたい時に使うと有効な、ミラクル・クエスチョンの使い方について書きました。
 
 
クライエントの想像力によって効果は幾分か変わってくるとは思いますが、「とても落ち込んでいたり、詳しく成功した結果について話し合う忍耐力を持っていなかったりするクライエントにも使える」とインスーも言ってますので、可能性はたくさんあると言えます。
 
 
また、ミラクル・クエスチョンには、どんなに逆境であっても、どんなに暗闇であっても、必ず光はあるはずだという、SFAの信念が強く宿っているように思います。
 
 
今回この記事を書いて、困った時には奇跡を待たずに起こしにいくことができるのが、SFAのカウンセラーだということを、再認識することができて良かったです。
 
 

参考文献

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  • 作者: ピーターディヤング,インスー・キムバーグ,桐田弘江,玉真慎子,住谷祐子
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SFAについてもっと詳しく知りたい人はこちらもオススメです。

 

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赤ちゃんにとって大切なアタッチメントってどんなもの?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
今回は、社会福祉学博士で臨床ソーシャルワーカーのヘネシー澄子さんの講演会に参加した時のメモから記事を書いていこうと思います。
 
 
子育てに必要なものとしてアタッチメント(Attachment)という言葉をよく聞きますよね。
 
 
アタッチメントという言葉の響きから「赤ちゃんに触れること」なのかな、というイメージが湧きますが、本当のところは違います。
 
 
ヘネシーさんによると、
 
 
アタッチメント=生後に結ぶ赤ちゃんと保護者の愛着の絆
 
 
とのこと。
 
 
そして、この「愛着の絆」が子どもの心身の発達に大きな影響を与えてくるから、子育てに必要だと言われているのです。
 
 

乳幼児期に愛着の絆を結ぶとどうなるのか?

乳幼児期に愛着の絆を結ぶメリットととして、90年代からの脳の研究では、
 
 
脳と肉体の健常な成長と発達を促す。
↑遺伝子の持っている可能性を最大限に実現するため。
 
良心・同情・共感・愛情のやり取りができるようになる。
↑人間関係作りの能力の基礎がしっかりするため。
 
恐怖・不安・怒りを抑え、喜び・快感・興味・楽しむことができるようになる。
↑自制・自癒能力が養われるため。

 

 
ということがわかっているそうです。
 
 

愛着の絆とはどういうものなのか?

愛着の絆とは、
 
 

保護者と子どもの間に互いに結ぶ特別な、深い、恒久的な、生理的で社会的で情緒的で知的な絆

 

 
とのこと。
 
 
とにかく影響が大きいということがわかります。
 
 

愛着の絆を結ぶというのは?

愛着の絆は、
 
 
母またはその代理となる人が子どもに感じる「可愛い・いとしい・守ろう」という想いと、
 
子どもが母またはその代理人に寄せる慕情と全面的な信頼によって結ばれる

 

ということです。
 
 
母またはその代理となる人というところがミソです。
 
 
母親だけでなく、父親でも祖父母でも里親さんでも愛着の絆は結べるということです。
 
 
ちなみに、僕が働いてた乳児院では担当さんと子どもが愛着の絆を結ぶことをとても大切にしていました。
 
 
ひとつ間違えてはいけないのは、コロコロと大人が変わるような状況では愛着の絆は結びにくいということです。
 
 
同じ保護者との一貫した、愛情のこもった養育的人間関係でないと、愛着の絆は結ぶことができません。
 
 

愛着の絆を結ぶ時期はいつ?

赤ちゃんが生まれてから愛着の絆を結ぶ最適な時期はスタートします。
 
 
0〜生後3ヶ月:愛着形成に大切な時期
 
0歳〜3歳まで:愛着が脳の形成を助ける時期
 
〜5歳まで:愛着の絆を自然に結ぶ最適な時期

 

ということだそうです。
 
 
ちなみに、この時期を逃してしまっても、お互いが望むなら、何歳になっても結びなおすことはできるとのこと。
 
 
愛着の絆の結びなおしには、やはりスキンシップが鍵になるそうです。
 
 
それについては、また別の機会に記事にしたいと思います。
 
 

心の土台を作る時期にも重なる

『自分に自信をつける最高の方法』の著者で心理カウンセラーの常冨泰弘さんは、
 
 
0歳から5、6歳までに心の土台ができあがる。
 
 
と言われています。
 
 
先程書いた、愛着の絆を結ぶ時期と重なりますよね。
 
 
子どもの脳は3歳くらいまでに大人とほぼ同じくらいの大きさになり、その間に、視覚、聴覚、嗅覚など、五感をフル稼働させて外界からの情報を、判断の基準として取りこんでいきます。
 
 
親とのかかわりや遊び、食事などを通してこの時期に吸収した情報は、それ以降の人生においての「基本情報」となり、“心の土台”の強度に直結するのだそうです。
 
 
5、6歳になるころは、両親だけでなく、祖父母、幼稚園や保育園の先生、近所の親切なおばさんといった養育者たちとのコミュニケーションをもとに、自分と他人との関係性をはっきりと理解するようになる時期とのこと。
 
 
そして、同時に、「自分は愛される」「自分は頭がいい」「自分は美しい」というような、自分に対するなんらかのイメージ(セルフイメージ)が鮮明にできあがります。
 
 
この幼い頃のセルフイメージは、そのまま“心の土台”となり、その後の人生の大きな影響を与え続けることになるのだそうです。
 
 
しっかりとした“心の土台”を築くためにも、愛着の絆を結ぶことがとても大事になってくると言えますね。
 
 

愛着の絆作りに欠かせない保護者の行動とは?

ヘネシーさんによると、愛着の絆を作るためには「安心・安全感を与える行動」と「あかちゃんと波長を合わせる行動」が必要とのこと。
 
 
安心・安全感を与える行動
・アイコンタクト
・保護者の優しい表情、特に微笑
・保護者の優しいタッチと愛撫
・抱擁やおんぶ(保護者との密着の大切さ)
 
 
赤ちゃんと波長を合わせる行動
・赤ちゃんのニーズに即座に応える
・赤ちゃんの微笑に微笑で応答する
・赤ちゃんの表情や出す声を真似る
 
 
この中で、抱擁(抱っこ)は特に大事とのこと。
 
 
乳幼児期に抱かないで放置していると、抱かれたいのに抱いてもらえないことを「自分が悪いからだ」と捉えてしまい、保護者を信頼できなくなってしまうからだそうです。
 
 
また、赤ちゃんの出す声を真似ることは、赤ちゃんと会話をすることを意味し、コミュニケーション能力の発達にも影響します。
 
 
このような保護者と赤ちゃんの相互作用で、赤ちゃんは自分が「仕掛け人」であり、それにより「効果を引き出す」ことができると自覚できるそうです。
 
 
これは、「自分には能力がある」という、自尊心と自信の最初の段階にもなります。
 
 

愛着の絆作りにもスキンシップを

愛着の絆作りに欠かせない保護者の行動の中にも、スキンシップを意味するものが入っていましたが、そのメリットとして以下のことがあります。
 
 
母親と父親共通
・赤ちゃんとの皮膚と皮膚を合わせた接触は赤ちゃんの気持ちを鎮めるので、余り泣かず、よく眠る。
 
 
・健全な親子関係の構築。
 
 
・赤ちゃんの泣き声ひとつで、何を欲しがっているのかがわかる。
 
 
母親
・母親はストレスを減少し、オキシトシンの分泌を高め、産後うつになる度合いも低い。
 
 
・母子関係が良好に育ち、母親は子育てを楽しく行うことができる。
 
 
・赤ちゃんの出生後3ヶ月くらいまでは、母親の胸のあたりの体温が他の部分に比べて1〜2度高く、新生児を温めることができる。新生児の体温が上がると、母親の胸の体温は下がり、新生児にとってちょうどよい温かさを維持することができる。
 
 
父親
・父親は赤ちゃんを抱くとオキシトシンが出る。
 
 
・乳児期は母親の補助役(哺乳、おむつ交換、抱いてあやす、入浴の手伝い、夜泣きへの対応など)として赤ちゃんと接することで愛着の絆を深められる。
 
 
・赤ちゃんと触れ合い、男性ホルモンの匂いをかがせることも安心感につながる。
 
 
ちなみに、
 
 
1歳過ぎの男の子は攻撃性を高める時期に入るので、父親はそれを調整する役割を担います。
 
 
2歳ぐらいからは、娘にとって最初の恋人、息子にとって役割モデルとして、なくてはならない大切な存在になるそうです。
 
 
父親は1歳以降に子育てにおける役割や存在が大きくなるので、それまでに我が子との愛着の絆を結んでおくと、子育てしやすくなりそうだということがわかりますよね。
 
 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
 
 
今回は、アタッチメントがどのようなものなのか、愛着の絆を結ぶことの重要性、愛着の絆作りについて書きました。
 
 
アタッチメントとは、生後に結ぶ赤ちゃんと保護者の愛着の絆である。
 
愛着の絆を結ぶことが、赤ちゃんと保護者の双方にとってもメリットがある。
 
愛着の絆を結ぶことが、赤ちゃんの心身の成長発達に大きな影響力をもつ。
 
愛着の絆作りにはスキンシップが欠かせない。
 
愛着の絆は母親だけでなく、父親にも必要である。

 

 
ということがおわかりいただけたかと思います。
 
 
僕もヘネシーさんのお話しを聴くことで、アタッチメントの本当の意味がわかりました。
 
 
そして、愛着の絆作りの7つの項目は、赤ちゃんとスキンシップを取る時にすべて含まれてくるということに気付きました。
 
 
逆に言うと、スキンシップがないところには愛着の絆は結べないということも言えますよね。
 
 
スキンシップには、赤ちゃんだけでなく保護者の側にもメリットが多くあります。
 
 
忙しい中でもあやす時、哺乳時、おむつ交換時などに合わせてやっていくことはできますし、やり過ぎてダメなものでもないので、積極的にあかちゃんに触れる時間をもって愛着の絆を結んでいくことが大切だと改めて思いました。
 
 

あわせて読んでみてくださいね

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自己肯定感は人間にとってなくてはならないものだった話

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こんにちは。どいつよしです。

 

ついにアメブロデビューしました!

 

友人のブログ「自己肯定感とフェルトセンス | 【大阪・梅田】不妊カウンセリングルーム with(ウィズ)」にて

 

フォーカシングになくてはならないフェルトセンスってどんなもの? 」を紹介していただきました。

 

ご自身のカウンセリング現場での体験を踏まえて、自己肯定感とフェルトセンスの関係性という切り口で、僕の書いたことをさらにわかりやすく、深めてくださってます。

 

ぜひ、僕の記事とあわせてよんでくださいね!

 


そして、友人のブログを読んで、

 

そもそも、自己肯定感があるときって、どんなときなんだろうか?

 

という、興味が湧いてきました。

 

自己肯定感という言葉は、「わたしは自己肯定感があまりないので、、、」というように、自分の自信のなさをフォローするような時によく出てくるように思います。

 

でも、551蓬莱のCMのように「自己肯定感があるとき〜!」「ないとき〜!」って、はっきり区別できるようなものでもないように思うんですよね。
 

 


551蓬莱CM ある時ない時おかげ様で70年編 2015年

 

元気ハツラツにオロナミンCをグイッと飲んでいるイメージが、自己肯定感があるときとするならば、元気ハツラツしてない人は、みんな自己肯定感がない人になってしまいます。

 

自己肯定感というのは、何かを基準にして「ある」とか「ない」とか「高い」とか「低い」とかが決まるものなのか、そうではないものなのか。

 

今回は、そのあたりをはっきりさせたいと思っていろいろ調べてみたことを、書いていきますね。

 

自己肯定感について驚愕の事実!

今回は、参考図書に、この本を使わせていただきました。

 

 

その本によると、自己肯定感について驚愕の事実が判明したのです!

 

その事実とは!?



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自己肯定感は空気のようなもの〜



なぜ空気のようなものなのか!?

それは、自己肯定感が、


空気のように、

 

具体的に感じられるものではなく、

 

普段はその存在を意識しないで過ごしている、

 

心地よく温かく、自分をぽかぽかと満たしてくれるもの

 

だから。

 

空気は、私達が生きていくにはなくてはならないものですが、あまりに当たり前のものなので、その恩恵を感じることがほとんどありません。

 

しかし、ひとたび空気が足りなくなっているとなると、致命的な問題になり、空気の存在の重要性に気付くことになりますよね。

 

自己肯定感もそんな感じのものなのだそうです。

 

当たり前にあるけれど、なくなってくると困る大事なものということですね。

 

自己肯定感とはどんな気持ち!?

自己肯定感が、空気のようなもので、普段はその存在を意識して過ごしてはいないけれど、私たちにとって大事なものであるということはわかりました。

 

では、自己肯定感とはどんな気持ちのことなのでしょうか。

 

水島先生によると、

 

「自己肯定感」とは、「優れた自分」を誇りに思うことではありません。「ありのままの自分」をこれでよいと思える気持ちです。

 

とのこと。

 

自己肯定感=自分を大切にする気持ち

 

という表現も使われています。

 

その気持ちがあることで、 ネガティブな思考にとらわれずに、のびのびと温かい人生を歩むことができるのだそうです。

 

では、どんな状態の時に自己肯定感が「ある」とか「ない」とか「高い」とか「低い」とかになるのでしょうか。 

 

自己肯定感がある(高い)とき〜!

自己肯定感が高い時というのは、自分のダメなところ探しをすることもなく、自分らしい人生を生きていくことができ、自分や身の回りの人や物事、景色を、明るい目でみていくことができるのだそうです。

 

だから、普段の生活において、少なくとも自分のダメなところ探しをしないで過ごしている時間は、自己肯定感がある状態とか自己肯定感が高い状態ということが言えますね。

 

そして、そういう時というのは、「今、わたし、自己肯定感ある!」なんて意識することもあまりないですよね。

 

自己肯定感がない(低い)とき〜!

自己肯定感が低いと、「こんな自分はダメだ」と自己否定的になったり、「こんな自分が、どうやって生きていけるのだろうか」と不安になったり、「何をやってもどうせ意味がない」と無力感を覚えたりするそうです。

 

また、自己肯定感が低い人は、「自己肯定感が低い」ということについても、自分をネガティブな目で見ているとのこと。

 

「私は、自己肯定感が低いから、ダメだ」「どうしてこんなに自己肯定感が低いのだろう」というように。

 

そうなると、自己肯定感が低いということを証明する結果ばかりが目につくようになっていきます。

 

自己肯定感が低下自分はダメなやつダメな結果自己肯定感が低下自分はダメなやつダメな結果以後繰り返し

 

という、無限ループを経ていくことになり、結果として自己肯定感はどんどん下がっていってしまいます。

 

いつも自分に対して「こんなんじゃダメだ」「どうせできないよ」という評価を下していくことは、自分を傷つけ続けるようなもの。

 

自分を大切にできないため、結果として、心を病んでしまったり、心身を傷つけるようなことをしたり、絶望感の中、問題行動を起こしたりする場合もあります。

 

僕の友人も書いてありましたが、カウンセリングに訪れる人や、医療機関で治療に入る人には、自己肯定感がとても低い人が多いのだそうです。


自己肯定感を自分で回復させるには?

自己肯定感は低くなりすぎると、カウンセリングや医療機関にかからないといけなくなる場合がありますが、

 

心を病んでしまったり、心身を傷つけるようなことをしたり、絶望感の中、問題行動を起こしたりするところまで至っていない場合は、自分で回復させることも可能なようです。

 

水島先生は、「他人をリスペクトしてみる」という手法をすすめられています。

 

ここでのリスペクトは、

 

ありのままの相手に敬意を持ち、尊重する

 

という意味なのだそうです。

 

「自分の好きなところ探しをする」ことからではないところが斬新です。

 

さて、どのようなやり方でおこなっていくのかは、ぜひ、本を手にとってもらえたらと思います。

  

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?

 

今回は、「フォーカシングになくてはならないフェルトセンスってどんなもの?」が友人のブログに紹介され、自己肯定感とフェルトセンスの関係性について書かれていたことから、僕も自己肯定感をテーマに書いてみました。

 

今回調べてわかったことは、

 

自己肯定感は、空気とおなじような、私たちが生きていくにあたって、とても大事なものである。

 

自己肯定感とは「自分を大事にする気持ち」のことである。

 

自己肯定感が高いと私たちは自分らしく人生を歩んでいける。

 

自己肯定感が低くなると、自分を傷つけてどんどん低くなっていくことがあり、健康面や行動面でいろいろな問題が出てくる。

 

ある・なし・高・低のはっきりとした基準があるわけではない。

 

自分で回復する手法もある。 

 

ということでした。

 

個人的には、「空気のようなもの」ということを知ることができたことが一番の収穫でした。

 

また、自己肯定感が低い人がどんどん低くなっていくプロセスは、僕自身もはまってしまった経験があるので、その苦しさを思い出して、胸が痛くなりました。

 

仕事などで失敗を怖れるあまり、つい「僕は自己肯定感が低いので」を口にしてしまうことがあるので、気をつけたいと思います。

 

あと、水島先生は、自分で自己肯定感を回復していく手法として、「他人をリスペクトする」を提案されていますが、

 

僕は、SFAの例外探しの手法を使った、【「自己肯定感がない」と思わない時がどんな時かを探して、そこを長くしていくようにする】、というのも役に立つのではないかと思います。

 

最後に、僕のブログを紹介してくださり、自己肯定感について興味を持つきっかけもくださった「自己肯定感とフェルトセンス | 【大阪・梅田】不妊カウンセリングルーム with(ウィズ)」の ほりたたかこ さん。

 

ほんとうに、ありがとうございました!

 

あわせて読んでみてくださいね

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『ヨチヨチ父』はこれから父親になる人、なったばかりの人に読んでもらいたい本

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
今日は、新しく父親になった人、なる予定の人に読んでもらいたい本を紹介します。
 
 
この本は僕も乳児院で働いている時に参考にさせてもらっていた本です。
 
 
その本とは?
 
 
 

です。
 
 
『りんごかもしれない』『おしっこちょっぴりもれたろう』などのヒット作を数多くお持ちの絵本作家ヨシタケシンスケさんが、実際に父親になってわかったことを書いたイラストエッセイです。
 
 
育児本は母親目線で書かれているものがほとんどですが、この本は父親目線で書かれた育児本です。
 
 
なので、先輩パパのヨシタケさんから、新米パパへのアドバイス的な要素も多く含まれています。
 
 
全55話という豊富なエピソードからは以下のようなことを楽しく学べます。
 
 
・あかちゃんとの関わり方
・母親となった奥さんとの関わり方
・育児における立ち位置や心構え
・知っておくと役に立つ“育児あるある”
・知っておくと役に立つ“トラブル解消法”

 

などです。
 
 
ヨシタケさんの長男さんが生まれて、子育てに一番大変な時のことのエピソードが中心になっています。
 
 
ヨシタケさんの経験から語られるエピソードの数々は、知っておくとほんの少しかもしれませんが、心に余裕を持たせてくれると思います。
 
 
そして、なんといっても、この本にはヨシタケさんのおもしろかわいいイラストが満載!
 
 
すこし文字の多い絵本を見ているような感じでとても癒やされます。
 
 
また、この本はママにもオススメです。
 
 
パパの考えていることや行動の意味がなんとなくわかり、パパに対するイライラや不信感が軽くなるという効果が期待できるからです。
 
 
ちなみに、僕は乳児院で働きはじめの、右も左も分からない状態で子ども達に向き合っていた時に、この本を読んで、共感できるところがいくつかあり、すごく救われました。
 
 
エピソード19は、そのひとつです。
 
 

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この本と出会ったことで、子ども達と接する時や、他の女性職員さんとコミュニケーションを取る時に、肩の力を抜いてできるようになりました。
 
 
ヨシタケシンスケ著 / ヨチヨチ父 とまどう日々』は、子育てが大変な時期に入っているパパには安心と癒やしを与えてくれ、これから子育てに入るパパには知っておくと良い未来の姿を教示してくれる良書です。
 
 
ほんとに読みやすいし、オススメなので、ぜひ、読んでみてくださいね。
 

 

ヨチヨチ父 とまどう日々

ヨチヨチ父 とまどう日々

 



あわせて読んでみてくださいね 

www.kokoronokawamuki.com

 

フォーカシングになくてはならないフェルトセンスってどんなもの?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
フォーカシングについて3本目の記事です。
 
 
フォーカシングってなに? 食べれるの?って思った方はこちらを先に読んでみてください。

 
今回は、フォーカシングを学ぶと必ず出てくる言葉、というか、なくてはならない「フェルトセンス」について、僕が理解していることをアウトプットします。
 
 
では、さっそくいってみましょー!!
 
 

フェルトセンスの生い立ち

これまでの記事で、「フォーカシングの創始者のユージン・ジェンドリンは、カウンセリングの中でプロセスが進み、成功する人たちの特徴について、ある共通点があることを見出した」ということを書いてきました。
 
 
その共通点とは、「面接の過程で直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付きがあり、それを確かめながら言葉を探っている」ということでしたよね。
 
 
この「直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付き」にジェンドリンが付けた名前がフェルトセンスです。
 
 
日本語では「からだの感じ」「気になる感じ」などにあたります。
 
 
そして、ゆっくりと丁寧にフェルトセンスを確かめながら言葉を探って、表現する行為がフォーカシングです。
 
 

フェルトセンスってどんなもの?

関西大学の池見陽先生の言葉を引用させていただくと、
 
 
はっきりとした感情ではないが、なんとなく<からだ>に感じられていて、そこには意味が含まれているもの。
 
 
です。
 
 
喉・胸・お腹といった、カラダの真ん中で感じることが多いです。
 
 
「いま、何を感じていますか?」と訊かれて、喉・胸・お腹あたりに注意を向けていくと気がつく、「イライラした感じ」「落ち着かない感じ」「ソワソワした感じ」「喉が詰まる感じ」などがそうです。
 
 
また、日本語には「腹が立つ」「胸に刺さる」「胸がしめつけられる」という言葉に代表されるように、体の部分が言葉がたくさんありますが、これらはフェルトセンスを表現しているものといえるそうです。
 
 
ちなみに、ワークショップに参加すると、フェルトセンスを体験的に理解するワークがあります。
 
 
僕は、「好きな人と嫌いな人を思い浮かべるワーク」を体験しました。
 
 
「好きな人を思い浮かべてください」と言われて、 喉・胸・お腹あたりに注意を向けていくと、「胸のあたりがあたたかくなる感じ」「下腹部が軽くなった感じ」に気付き、
 
 
「嫌いな人を思い浮かべてください」と言われて、 喉・胸・お腹あたりに注意を向けていくと、「下腹部がギューッと絞られるような感じ」「胸がキュッと締め付けられるような感じ」に気付きました。
 
 
このように、ワークショップに参加すると「フェルトセンスってこういうものなんだ」というのが体験的に理解できて面白いです。
 
 

私たちは常にフェルトセンスとともにある

池見先生によると、私達は普段からうっすらとしたフェルトセンスを感じながら生活しているとのことです。
 
 
例えば、服を着る時。最初に来た服が「なんか違う」という感じがして、着替えてみたところ、次着た服のほうが「しっくりくる」感じだった、ということ。
 
 
電車の中で音楽を聴こうとする時に、ロックが流れてくると「なんか合わない」感じがして、クラシックに変えてみると「しっくりくる」感じでそのままクラシックを聴くことにした。というようなこと。
 
 
レストランで食べ物を選ぶ時に、こってりしたものは「なんか違う」感じがして、あっさりしたものが「しっくりくる」感じがして、そちらを選ぶというようなことです。
 
 
このように、私達が行動する時には、その裏側にフェルトセンスがあり、フェルトセンスに合わないと違和感がおきます
 
 
服でも音楽でも食事でも、どれにするか決めて行動する時には、一旦、カラダにあるフェルトセンスに照らし合わせて、しっくりくるかどうかを確認する作業をほぼ意識することなくしているということになります。
 
 
普段、私達はフェルトセンスとともにあるにもかかわらず、フェルトセンスに気づくことがほとんどないままに生活をしていっているということなのです。
 
 

フェルトセンスは知恵の源泉

ジェンドリンは、カウンセリングに来るクライエントみんなが、じっくりゆっくりフェルトセンスに触れることができないものかと考えて、意図的にフェルトセンスに触れていく手法を世に送り出しました。(この手法が一般的にフォーカシングと言われているものになります。)
 
 
カウンセリングにおいてとても大事な存在のフェルトセンスは、「非言語的な知恵の源泉」とか「内側に秘めている宝の場所」などとも言われます。
 
 
カウンセリングに限らず、フェルトセンスに気づくことができれば、いろいろなよい効果があると言われています。
 
 
・学び方や考え方、意思決定の仕方や何かを創り出す仕方を変える。
 
 
・主体的でありつつ、他者とのよりよい関係を築けるようになる。
 
 
・回復力や洞察力を強め、生産性を高める。
 
 
・自分の気持ちに触れるのが難しい人には触れる方法を、強い気持ちに圧倒されてしまいがちな人には圧倒されず麻痺しないための方法を手に入れられる。
 
 
・エクササイズやボディ・ワーク、瞑想などの個人的成長や健康的な生き方を促す方法がより効果的なものになっていく。
 
 
などです。
 
 
フェルトセンスに気づき、それに触れていくことは、私たちの人生をも良い方向に変えていくことになるということが言えますね。
 
 

フェルトセンスに気づくのは難しい

先述したように、フェルトセンスに気付くことは、魔法が使えるようになるような素晴らしいことに見えます。
 
 
しかし、それは、今までの生活の中で、ほとんど無視されてきた能力です。
 
 
ですので、その能力を利用する方法を学ぶには時間がかかると言われています。
 
 
僕がフォーカシングを教わった日笠摩子先生も、使いこなせるようになるまでに3年かかったと仰っておられたと記憶しています。
 
 
今はフォーカシングの講座や、フォーカシング・トレーナーの方がたくさんいるので、それほど長い時間をかけずに、フェルトセンスに気づける能力を目覚めさせることができるのではないかと思います。
 
 
ただ、フェルトセンスに気づけたとしても、すぐに解決をもたらすというものでもないので、余裕をもって、かつ、真剣に取り組むことが必要になります。
 
 
また、自分の中にある不快な部分を突きつけられることもありますので、そういったことをあらかじめ知っておくことも必要です。
 
 
ここまでのことを踏まえて、フェルトセンスに気付いて、ゆっくり触れていくプロセスを体験するのであれば、やはり、フォーカシング・トレーナーによるワークショップに参加されることをオススメします。
 
 
フォーカシングについての書籍はたくさん出ていますが、ひとりではなかなか難しいのと、安心安全な場の確保ができないということが理由です。
 
 
フォーカシングのワークショップの情報については、日本フォーカシング協会のホームページで公開されていますので、ぜひ、ご覧になってみてください。
 
 

おわりに

今回は、フォーカシングになくてはならない存在のフェルトセンスについて書きました。
 
 
「答えはクライエントの中にある。」というのは、心理療法の壁を越えて言われる言葉でありますが、それはまさにフェルトセンスのことを言っているのだと思います。
 
 
フェルトセンスという言葉を使っているかいないかだけの違いで、最終的には、どの心理療法もフェルトセンスに気付くことを目指していくようになっているのではないかと思います。
 
 
その中でも、フォーカシングは、誰もが意図的にフェルトセンスに気づけるようにすることを目指した手法です。
 
 
できるようになるまでには、少々時間がかかりますが(お金もかかります。笑)、やっぱりできるようになって僕は良かったと思っています。
 
 
少しでも、フォーカシングの魅力をお伝えできるように、今後もフォーカシングに関する記事をできるだけわかりやすい内容で書いていくようにしますね。
 
 

参考文献

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

  • 作者: アン・ワイザーコーネル,Ann Weiser Cornell,大沢美枝子,日笠摩子
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 6人 クリック: 19回
  • この商品を含むブログ (13件) を見る
 

誰もがフォーカシングをできるようになるための方法がわかりやすく書かれている教示法の本です。


産業カウンセラー仲間には、この本でフォーカシングを体験し、カウンセリングに役立てられるようになったという人もいます。


自分でフォーカシングができるようになりたい人にオススメです。



傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

 

ジェンドリンのフォーカシングについてはもちろんのこと、ロジャーズの理論についての誤解を解く内容が書かれていたり、来談者中心療法以外の療法についても、池見先生が解説をされています。


ロジャーズをきちんと理解した上で、ジェンドリンを知ることができる、一石二鳥以上のお得な本でもあります。

 

マインドフル・フォーカシング:身体は答えを知っている

マインドフル・フォーカシング:身体は答えを知っている

 

ジェンドリンのフォーカシングの方法と、仏教の瞑想の知恵を統合した、「マインドフル・フォーカシング」についての本。フォーカシングとマインドフルネスのそれぞれの理論について学べます。

マインドフルネスの考え方を応用した、フェルトセンスに気付きやすくする準備の方法「GAPの3ステップ」を習得すると、ひとりでもフォーカシングができやすくなりそうです。

 

ただ、フォーカシングの入門書としては少々難しい内容になっています。

 

合わせて読んでみてください

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父親のスキンシップは母親とは違う効果がある!?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕が働いていた乳児院は、子ども1人に対して1人の職員さんが養育を担当するという「担当養育制」に取り組んでいました。
 
 
血の繋がっていない子どもと担当さんが、愛着関係を築いて、親子に近いような関係になっていくには、スキンシップが必要不可欠でした。
 
 
僕も何人かの子どもの担当さんになったので、子ども達と関わっていく中で、抱っこやおんぶといったスキンシップの効果を実感してきました。
 
 
例えば、1歳を越えてから乳児院にやってきた子どもに対して、毎日抱っことおんぶをして接していくと、日に日に顔つきが穏やかになっていき、他児に対して暴力を奮ってしまうことや、大人の顔色を伺いながら問題行動をすることが減っていったことがありました。
 
 
なぜ、スキンシップにはこれだけの効果があるのでしょうか。
 
 
それにはオキシトシンという脳内物質が関係しているそうなのです。
 
 
オキシトシンは「愛情ホルモン」と呼ばれ、温かいスキンシップをとることによってたくさん分泌されることがわかっています。
 
 
オキシトシンの効果はかなり多岐にわたるそうですが、代表的なものとしては、
 
 
「親子の愛着関係を深める」「ストレスに強くなる」「セロトニンを活性化させる」「記憶力がよくなり学習効果が高まる」「体の成長をうながす」
 
 
という効果があります。
 
 
血の繋がっていない子どもと大人でも愛着関係を築くことができるくらいの効果をもたらすスキンシップ。
 
 
母親は赤ちゃんが生まれた時から抱っこしたり、授乳したりとスキンシップをとることが自然と多くなりますが、父親にも積極的に子どもと触れ合うことでオキシトシンを出してきずなを深めていってほしいと僕は思うわけです。
 
 
それはなぜか?
 
 

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父親のスキンシップは母親のスキンシップとは違う効果があるから。
 
 

父親と母親のスキンシップの効果の違いとは

身体心理学者の山口創先生の研究によると、母親のスキンシップは子どもの情緒を安定させる役割があり、父親のスキンシップは子どもの社会性と関わっているということがわかっています。
 
 
大学生を対象に調査をしたところ、母親のスキンシップが多かった学生は、「情緒が安定していて、自分に自身をもち、他人を信頼できる傾向」があり、
 
 
父親のスキンシップが多かった学生は、「世の中に目を向け、人と協調して何かをしていく能力が高い傾向」があったとのことです。
 
 

父親にオススメのスキンシップ

抱っこやおんぶももちろんですが、首がすわってきたら「たかいたかい」や「くすぐり遊び」のような少し刺激的な遊びを通してのスキンシップの方が、子どもに対するスキンシップの効果が高くなるそうです。
 
 
子どもも「たかいたかい」や「くすぐり遊び」は大好きです。何度も何度も「もう一回やってー」となるので、こちらがヘトヘトになってしまうくらいです。
 
 
また、父親の筋肉質で広い背中でするおんぶは、力強さとともにしっかりと守られている安心感を得るといわれ、母親のおんぶとはまた違うものとして感じ取られるそうです。
 
 

オキシトシンが出るのも父親と母親で違う

子どもに触れることで父親と母親にもオキシトシンが出ます。そこにも違いがあるとのことです。
 
 
母親は、子どもに優しく触れたり、だっこをしてあげたりすると出やすくなり、
 
 
父親は、「くすぐり遊び」のような刺激的な遊びによって出やすくなるそうです。
 
 
また、オキシトシンは、心にやすらぎや満足感などを感じさせる脳内物質であるセロトニンを活発に働くようにさせるともいわれます。
 
 
子どもとスキンシップをとることが心のバランスを安定的に保つことにもなりますので、大人にとってもメリットが大きいです。
 
 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
 
 
今回は、父親のスキンシップが母親とは違う効果があるということについて書きました。
 
 
首がすわるまでは、「ちょい撫で」から抱っこでスキンシップをとり、触れることに慣れていっていれば、首がすわってからの「たかいたかい」や「くすぐり遊び」などの少し刺激的な遊びへ移行しやすいのではないかと思います。
 

 

 


あと、勘違いしてほしくないのは、オキシトシンが出るからスキンシップをとるのではないということです。
 
 
スキンシップをとった結果、オキシトシンが出るということなので、はじめに温かいスキンシップありきだということは覚えておいていただきたいと思います。
 
 
ぜひ、一日に少しの時間でもいいので、温かいスキンシップをとってあげてほしいと思います。
 
 

参考文献

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

 

 

僕の乳児院時代のバイブルといえる本のひとつです。抱っこをはじめとするスキンシップの重要性をデータをもとに伝えてくれます。

 
また、忙しい時でもスキンシップがとれる方法や、スキンシップを嫌がる子どもへの対応法など、様々なスキンシップの取り方も書かれていてオススメです。

フォーカシングをしている状態について話し方と視線解析から考えてみた

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
フォーカシングについて2回目の記事です。
 
 
フォーカシングってなに?BBキングの親戚!?
 
 
と思われた方は、こちらを先にお読みください。

 

 

さて、フォーカシングの創始者である、ユージン・ジェンドリンは、カウンセリングの中でプロセスが進み成功する人たちの特徴について、何百という心理治療場面の録音テープを検討し、以下のような共通点を見出しました。
 
 
成功するクライエントは、面接の過程で直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付きがあり、それを確かめながら言葉を探っている。
 
 
この、
 
 
「自分の内側にある言葉やイメージにならない[感じ]に注意を向けていき、その感じに触れながら、それを言葉や文章、動作やイメージなどで表現して[感じ]に秘められた意味を明らかにしようとするプロセス」
 
 
を、どんなクライエントでもできるようにしたいとジェンドリンは考え、彼の情熱がフォーカシングという手法を世に送り出しました。
 
 
先述した「自分の内側にある〜<中略>〜しようとするプロセス」に入っている状態を、フォーカシングをしている状態といいます。
 
 
そして、フォーカシングをしている状態というのは、ジェンドリンが提唱した手法を使って話を聴いていない時でも、クライエントによってはそれが起きることがあります。
 
 
ソリューション・フォーカスト・アプローチの手法を使って話を聴く時にも表れますし、産業カウンセラー養成講座で学ぶ傾聴で話を聴く時にも表れます。
 
 
ですので、フォーカシングを専門とするカウンセラーではなくても、クライエントがフォーカシングをしはじめたことがわかれば、カウンセリングのプロセスが進んでいるということもわかりますし、クライエントが内側に注意を向けていくことを妨げない聴き方に変えていくことができるのではないかと思うのです。
 
 
そこで、今回は、カウンセラー側からクライエントがフォーカシングをしている状態はどう見えるのかを考えてみることにします。
 
 

フォーカシングしている状態はどう見える?

繰り返しになりますが、フォーカシングしている状態とは、
 

「自分の内側にある言葉やイメージにならない[感じ]に注意を向けていき、その感じに触れながら、それを言葉や文章、動作やイメージなどで表現して[感じ]に秘められた意味を明らかにしようとするプロセス」
 
 
をクライエントがおこなっている状態です。
 
 
では、クライエントが、フォーカシングをしている状態は、カウンセリングをする側からはどのように見えるのでしょうか。
 
 
今回は、「クライエントの話し方や視線がどのようになったら、フォーカシングをしている状態になっていると考えられるのか」について、考察してみました。
 
 

フォーカシングをしている状態の話し方

まず、話し方について考えてみます。
 
 
「うーん、どう言ったらいいんでしょう。ちょうど、ここのところにあるんだけど。それは……あのー……それは……怒りっていうのとはちょっと違うし……うーん。」
 
 
というように、面接のどこかで話し方がゆっくりになって、言葉の歯切れが悪くなり、その時に感じていることを言い表す言葉を探し始める。
 
 
あるいは、
 
 
「それは胸のここのところにあるんです」
 
とか
 
「胃のあたりが、こう、なにか変な感じがするんです」
 
 
というように、その感じをカラダで感じている発言が出てくる。
 
 
全体的に声は低く、ゆっくりと間を置く話し方になると、フォーカシングをしている状態になっていると考えられます。
 
 

フォーカシングをしている状態の視線

次に視覚的に見分ける例を上げると、
 
 
こんな感じ
 
 
 

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まさに、ポール・セザンヌが描いた奥様の肖像画のような眼差しで語ることが多くなる。笑
 
 
もう少し詳しく眼差しについて、視線解析の手法を用いてみます。
 
 

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上の図のように、カウンセラー側から見て、右下もしくは左下に視線が向くことが多くなってきたら、フォーカシングをしている状態になっていると考えられます。
 
 

おわりに

今回は、フォーカシングをしている状態について、カウンセリングをする側からはどのように見えるのかについて、話し方と視線解析から考えてみました。
 
 
必ずしもすべてのクライエントや相談者にあてはまるというわけではないとうことはご理解頂きたいのですが、知識として頭にあると、カウンセリング時だけでなく、誰かの相談にのった時にも役に立つことができると思います。
 
 
話し手が<からだ>の内側の[感じ]に注意を向けていくのを極力邪魔しないように、ゆったりとした気持ちで話を聴いていくことができれば、やがて、話し手自身で気付きを得て解決に向かっていくことが期待できます。
 
 
SFAだったら、あまり質問はしない方がいいです。質問をしてしまうと、頭で考える方に注意が向いてしまうからです。
 
 
僕もSFAがだいぶ染み付いてきているので、ついつい質問をしてしまいそうになると思うので、気をつけたいと思います。
 
 
カウンセリングが成功するクライエントに見られる状態を、話し方と視線をヒントに感じ取って、それに寄り添っていけるようにしたいものです。
 
 

参考文献

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

  • 作者: アン・ワイザーコーネル,Ann Weiser Cornell,大沢美枝子,日笠摩子
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 単行本
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誰もがフォーカシングをできるようになるための方法がわかりやすく書かれている教示法の本です。


産業カウンセラー仲間には、この本でフォーカシングを体験し、カウンセリングに役立てられるようになったという人もいます。


自分でフォーカシングができるようになりたい人にオススメです。

こころの天気を感じてごらん―子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本

こころの天気を感じてごらん―子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本

  • 作者: 土江正司,ますいゆうこ
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 2008/10/01
  • メディア: 単行本
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気持ちやからだの感じを天気で表現することで、自分の気持ちや感情をじょうずに相手に伝える力を養うことを目的とした「こころの天気」を使って、教育現場でフォーカシングを活用できるようになる本です。


フォーカシングを知らない人でもすぐに実践しやすいように書かれてあります。


また、後半部分は、子どもの成長・発達と甘えの関連性について書かれており、子育て支援や家庭支援にも役に立つ内容になっています。

 

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

 

ジェンドリンのフォーカシングについてはもちろんのこと、ロジャーズの理論についての誤解を解く内容が書かれていたり、来談者中心療法以外の療法についても、池見先生が解説をされています。


ロジャーズをきちんと理解した上で、ジェンドリンを知ることができる、一石二鳥以上のお得な本でもあります。

 

アドラー心理学「嫌われる勇気」は、嫌われる(かもしれない)恐怖にあらがうこと!?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
今日は久しぶりにアドラー心理学について書きます。
 
 
アドラー心理学について書かれた本といえば、大ヒットした『岸見一郎著 / 嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』が有名ですよね。アドラーを世間一般に認知させるきっかけになったと言って間違いない本です。
 
 
ですが、ソクラテス以来の哲学的な伝統を踏まえた、哲人と青年が対話する形で話が進んでいく内容が合わなかった人からは、「結局読んだけどよくわからなかった」という感想もよく聞かれます。恥ずかしながら、僕もその1人でした。
 
 
そして、本の内容をちゃんと理解できなかった人や、本のタイトルだけを見て読んだつもりになっている人によって、「嫌われる勇気」という衝撃的な言葉だけが独り歩きをしていってしまったんですよね。
 
 
「自分らしく生きるためには嫌われなさい」とか「嫌われることを前提に行動したらいいんだ」という誤った解釈をされていることが多かったように思います。
 
 
2015年に岸見先生の講演会に参加した際には、先生の口からも「嫌われる勇気という言葉だけが独り歩きしていってしまっている」という言葉が出ていました。
 
 
岸見先生が伝えたかった「嫌われる勇気」とは何だったんだろう?という思いが強くなったので、再び『岸見一郎著 / 嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』を読んで、わかったことを今回はシェアしたいと思います。
 
 

「嫌われる勇気」の誤解を解く!

まずはじめに、世間に誤った解釈で知られてしまっている点について書きます。
 
 
本の中で、それについて触れられている箇所があります。本のP163の哲人と青年のやり取りです。
 
 
青年「先生は、わたしに【他者から嫌われろ】と?
 
哲人「嫌われることを恐れるな、といっているのです。」
 
青年「しかしそれは・・・。」
 
哲人「わざわざ嫌われるような生き方をしろとか、悪行を働けといっているのではありません。そこは誤解しないでください。」

 

このように、哲人も「嫌われる」という言葉に対して誤解しないよう説いています。
 
 

「嫌われる勇気」を正しく理解してみる!

では、ここから「嫌われる勇気」を正しく理解しようと頑張っていきます!
 
 
嫌われる勇気の必要性について本書では、以下のように書かれています。
 
 
「すべての悩みは、対人関係の悩みである」とアドラー心理学では考え、「嫌われる勇気」をもつことで、対人関係は一気に軽いものへと変わる。
 
 
そこで、対人関係の悩みにはいろんな種類があるので、「どんな対人関係の悩みを持っている人に、嫌われる勇気が必要なのか?」という切り口で考えてみることにしました。
 
 

嫌われる勇気が必要な人はどんな人?

嫌われる勇気が必要な人は、
 
  • 他者からどう思われているかを気にすることにより、何らかの悩みや問題を抱えている人
  • 絶えず人に合わせて生きていくことに辛くなっている人。
  • 自分よりもいつも他者を優先してしまうことに悩んでいる人。
  • 自分が望んだ人生の選択をしてこれなかったと思っている人。
  • 自分の立ち位置がわからなくなって困っている人。
  • 自意識が過剰なために外へ出ることへのストレスが大きい人
 
などが考えられます。
 

対人関係の悩みや問題の黒幕は本能にあり!

このような悩みや問題が発生する背景には、「他者から嫌われたくないと思う」人間の本能的な欲望であり衝動が影響しているとのこと。
 
 
わたしたちはほぼ誰もが他者に嫌われることを望んでいないし、わざわざ嫌われたいと願う人もほとんどいない。程度の大小はあるかとは思いますが、わたしたちは皆、本能レベルで嫌われることを望んでいないということです。
 
 
本能的に他者から嫌われたくないと思っているので、誰かから嫌われた時、または嫌われているのではないかと感じた時に、辛い気分を味わいます。
 
 
だから、他者に好かれようと頑張ったり、認めてもらおうとしたり、はじめから嫌われることを避けるような行動をとろうとしたりします。
 
 
他者から嫌われたくないと思う程度が大きいと、いつも自分よりも他者や周りのことが気になるので、このような行動を選びがちになり、先に述べたような悩みや問題を抱えやすくなるということです。
 
 
他者からどう思われているかを気にして、絶えず人に合わせて生きるのは不自由ですしとても疲れます。また、辛い思いをするのを怖れて、他者との関わりを断ってしまっては、3大欲求のひとつの集団欲が満たされないので幸せにはなれません。
 
 
そこで、嫌われる勇気を持つことができれば、悩みや問題は軽くなるよってことですよね。
 

悩みや問題が軽くなった状態とは?

悩みや問題が軽くなった状態とはどのような状態なのでしょうか。
 
 
他者からどう思われているかを気にしない状態、絶えず人に合わせて生きていない状態です。
 
 
それは、他者の目、評価などから自由になるということです。そういうものを気にせずに自由に自分の人生をデザインして生きていくようにするということです。自分の立ち位置をしっかりと確立していくということもできると思います。
 

「嫌われる勇気」の正しい意味とは?

他者の目、評価などを気にせずに、自由に自分の人生をデザインして生きていくようにしていこうとすると、必ずくっついてくるのが「嫌われる(かもしれない)恐怖」です。
 
 
何度も書いていますが、本能レベルの、あって仕方のないものです。ここで、本能的な欲望に負けてしまわずに、あらがって、自由に生きていく方を選んでいきましょう!というのが「嫌われる勇気」なのです。
 
 
「嫌われる勇気」とは、 嫌われる(かもしれない)恐怖にあらがうこと。
 
 
自由に自分の人生をデザインして生きていくようにしていこうとするには、必要不可欠なものであるということが、ここでわかりました。
 

嫌われる勇気を持つには?

本能的な欲望である「嫌われたくないと思う」ことにあらがっていくのは、長らく「嫌われたくないと思う」ことを優先してやってきた人にとっては、なかなか一筋縄ではいかないものだと思います。
 
 
そこで、役に立つのが「課題の分離」です。
 
 
本のP164にこのような哲人のセリフがあります。
 
 
「どんなに自分が努力をしても10人いて何をしても好きでいてくれるのはせいぜい2人程度。1人は何をしても嫌われる。残りの7人はその時その時で態度を変える。どんなに頑張ってもどうしようもない部分があることに、エネルギーを費やすくらいなら、何をしても好いてくれる2人と仲良くして、あとは自分のためにエネルギーを使ったほうがよい。」
 
 
このように、どんなに努力を重ねたとしても、それに関係なく、わたしのことを嫌う人はいるというのが事実です。
 
 
結局、「好きか嫌いかを決める」のは他者の課題であり、わたしにはどうすることもできないのです。
 
 
「好きか嫌いか」は他者の課題。自分の課題は「嫌われたくないけど、嫌われること怖れずに自分を貫けるかどうか」です。
 
 
このように、自分の課題と他者の課題をはっきり区別することが「課題の分離」です。
 
 
ここで注意することは、「他者の課題は切り捨てるが、他者を切り捨てることではない」ということです。
 
 
アドラー心理学では、人は対人関係の中でしか幸せを感じることができないと考えます。「課題の分離」は、他者との関わり方を考え直して行動を変えていくこととも言えます。他者を切り捨ててしまうと、幸せを感じることができなくなるそうなので気をつけてください。
 
 
この「課題の分離」を知っておくことで、嫌われる勇気を実行しやすくなると思います。「課題の分離」については、こちらも読んでみるとより理解が深まると思います。

 

 

少しずつ自分でデザインする生き方へ変えていく

「課題の分離」をしながら、少しずつ他者との関わり方を変えていくようにすると、嫌われる(かもしれない)恐怖を大きく感じることなく、自分の人生をデザインしていけるようになるのではないかと考えます。

 

そういう場合には、できるところまでを繰り返して慣れながら、徐々にできる範囲を広げていく、認知行動療法の考え方が役に立ちそうです。

 

また、「課題の分離」はできるようになったけれど、それをどう言葉で伝えたらいいのかわからないという場合には、相手を傷つけずに自分の主張を伝えるアサーション・トレーニングの手法を取り入れることも、役に立つのではないかと思います。

 

 

おわりに

いかがでしたでしょうか?
 
 
今回、この記事を書こうと思ったのは、2015年に開かれた岸見先生の講演会に参加したときのノートに、「嫌われる勇気という言葉だけが独り歩きしている」というメモを残してあったのを見つけたからです。
 
 
アドラーは僕の好きな心理学のひとつなので、僕なりに「嫌われる勇気」に対する誤解を解きたいという気持ちが強くなり、記事にしようと決めました。
 
 
そこで、記事を書くにあたり『岸見一郎著 / 嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』をもう一度読み直しましたが、それを咀嚼して自分の言葉でブログにアウトプットするというのは、とても難しい作業でした。
 
 
そこで、どういう悩みや問題を抱えている人に「嫌われる勇気」が必要なのか、という切り口から書いていけば理解しやすいのではないかと思いつき、なんとか書き終えることはできました。
 
 
ただ、そういう切り口から書いたことで、「もしかしたら、岸見先生が伝えたかったこととは違うことを書いてしまったかもしれない」という不安は残りました。それでも、おさえるところはおさえられていると思います。
 
 
「嫌われる勇気」は、嫌われる(かもしれない)恐怖にあらがうこと、自分の生き方を貫くためには必要不可欠なものだということがおわかりいただけたなら嬉しいです。
 
 

参考文献

この本をモデルにしたドラマもあった、アドラーの名前を世に知らしめた岸見一郎先生によるベストセラー。
 

アドラー心理学の哲人と、人生を変えたくて相談に訪れた若者の対話形式で書かれているというのが、他の心理学の本にはない新しさがあります。 
 
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 

 


もし、『嫌われる勇気』の書き方が合わないという人は、こちらをどうぞ。


書かれているアドラー心理学の考え方は同じですが、対話形式ではない、一般的な新書の書き方で書かれていますので、こちらの方が理解しやすいかもしれません。


僕もこちらから先に読みました。

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

 

 

赤ちゃんに慣れるスキンシップ「ちょい撫で」のススメ

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
僕は、子育ての経験が全くない状態から乳児院で働き始めました。
 
 
その時の心配ごとのひとつに、「赤ちゃんをちゃんと抱っこできるだろうか」というのがありました。
 
 
先輩職員さんたちがやっているように、優しく丸く包み込むようにできるのだろうか、力加減を間違って壊してしまわないだろうか、という不安がありました。
 
 
赤ちゃんを抱っこすることにも慣れた頃、僕の友人の新米パパに、「赤ちゃんをどういうふうに扱ったらいいのかわからなくてなかなか抱っこできない」、と相談されたこともありました。
 
 
赤ちゃんを抱っこすることへのハードルが高いと感じていたのは、僕だけではないんだなと思ったことでした。
 
 
僕や僕の友人のように、はじめての赤ちゃんを前にして、どう触れたらいいのかわからなくて戸惑ってしまう男性は意外に多そうです。
 
 
そこで今日は、僕も実践していた、行動療法の考え方を応用した、安心してできるところから赤ちゃんに触れて慣れていくスキンシップの方法をお伝えすることにします。
 
 
そのスキンシップの方法とは?
 
 

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「ちょい撫で」です。
 
 
 

ちょい撫でとは?

その名の通り、「ちょいと撫でる」ことです。
 
 
抱っこをすることに対するハードルが高い場合は、安心してできるところから赤ちゃんに触れていくことがオススメです。
 
 
ちょい撫でをして慣れたら、徐々に触れる範囲を広げていく。そして、そのプロセスの中で赤ちゃんの体の柔らかさや質感を知っていくことができます。
 
 
赤ちゃんの体の柔らかさや質感がわかれば、「だいたいこのくらいの力加減で大丈夫そうだな」というイメージが湧きます。
 
 
イメージが湧いてくると、赤ちゃんを抱っこすることへのハードルは低くなっていきます。
 
 
また、ちょい撫でをしながら、赤ちゃんとアイコンタクトをとったり、話しかけていくことで、赤ちゃんとの信頼関係も結ばれていきます。
 
 
言葉での意思疎通はないけれど、心で繋がっているような温かさを感じるようになっていきます。
 
 
赤ちゃんとの信頼関係が深まっていくともうひとつの心配事としてよく出てくる「抱っこすると泣かれてしまう」ということがなくなっていきます。
 
 
ぜひ、ちょい撫でをする時は、赤ちゃんとアイコンタクトをとりながら、話しかけながら、赤ちゃんの反応を見ながらやっていってください。
 
 

ちょい撫での流れの例

まずは、リラックス。深呼吸をして、ゆったりした気持ちになりましょう。
 
 
次に、赤ちゃんに挨拶をします。
 
 
「〇〇ちゃん、ちょっと撫でさせてね」
 
 
というように、目を見て優しくひと声かけると赤ちゃんは安心します。
 
 
人差し指で軽くタッチ。ゆっくりトントンとやってみて、赤ちゃんの皮膚の柔らかさを感じます。次に人差し指の腹を使って、触れるか触れないかの軽さでやさし〜く撫でていきます。
 
 
人差し指で慣れたら、中指を追加して二本で撫でます。
 
 
撫でることに慣れたら、親指と人差し指で軽く挟んで、プニプニ、プニプニと柔らかさを感じてください。
 
 
触れながら「気持ちいいね〜」「柔らかいね〜」と目を見て声をかけてあげることで、赤ちゃんとの信頼関係も作られていきます。
 
 
触れる部位ですが、僕のオススメは手と腕と脚と足
 
 
心臓から遠いところでもあり、肌が直接外気に触れている時間が長く刺激に慣れているところでもあるので、赤ちゃんにとっても安心してスキンシップをとれる部位です。
 
 
触れることに慣れてきて、赤ちゃんの方もこちらに慣れてきたら、お腹や脇腹、頰、耳にも触れてみましょう。
 
 
ただし、頭は、頭蓋骨にまだ隙間があって発達途上にあるので、完全に慣れきっていないこの段階では触らない方がいいです。
 
 

ちょい撫では安心してできる状況で

ちょい撫では、赤ちゃんの機嫌が良い時にすると泣かれることも少ないです。
 
 
また、慣れるまではママに一緒にそばにいてもらい、赤ちゃんが泣いてしまってもすぐに対応してもらえるようにしておくと、泣かれた時にオロオロしないですみます。ママに抱っこされている状態で行ってみるのもよいと思います。
 
 
また改めて書きたいと思いますが、赤ちゃんに慣れていない人にとって、赤ちゃんに泣かれることは大きな不安になっていることがあります。
 
 
ただ、赤ちゃんにとっては母親が安全基地であり、母親以外の人との触れ合いに不安を感じて泣くのは健康的な反応です。
 
 
だから、泣かれるということを不安に思うことはないとお伝えしたいです。
 
 

ちょい撫ではほんとにちょいとした時間でもできる

ちょい撫でのメリットは、赤ちゃんに慣れることができるというだけではありません。
 
 
仕事に疲れて帰宅し、すぐには抱っこすることができないような時でも、ちょいとした時間で、ちょいとした労力で、スキンシップをとることができます
 
 
以前、書いたように、抱っこをはじめとするスキンシップは、赤ちゃんにとってなくてはならないものなのですが、働きながら子育てをしている人などは、いつもじっくり抱っこができる体調でいられるとは限りません。そんな時にちょい撫でがあれば助けになります。
 
 
ぜひ、ちょい撫でを子育てに取り入れていってほしいと思います。
 
 

参考文献

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

 

 

僕の乳児院時代のバイブルといえる本のひとつです。抱っこをはじめとするスキンシップの重要性をデータをもとに伝えてくれます。

 
また、忙しい時でもスキンシップがとれる方法や、スキンシップを嫌がる子どもへの対応法など、様々なスキンシップの取り方も書かれていてオススメです。

精神の統一と安定を図る呼吸法「数息観」を教わってきた

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
先日、先祖代々お世話になっている真言宗のお寺にて祈祷をしてきました。
 
 
その時にお寺の住職さんから「数息観」という呼吸法を教わりました。
 
 
それを毎朝続けてみたところ、頭がスッキリして穏やかな気持になって、なかなか良い感じなので今日はその「数息観」についてシェアすることにしますね。
 
 

数息観とは?

 
読み方は【すそくかん】で【しゅそくかん】と言う人もいます。
 
 
呼吸を数えて精神の統一と安定を図る方法で、座禅の初心者の修行法に用いられます。
 
 

数息観の方法

姿勢を作ります。
①座布団を二つ折にし、その上に腰を下ろします。(座布団の厚さに応じて2枚にしたり、調整は自由です)
 
 
②脚を半跏趺坐(はんかふざ)に組みます。
 
半跏趺坐は、あぐらをかいた状態から右脚を持ち上げて、右脚の甲の部分を左脚太ももあたりにのせるによって完成します。左右逆のパターンになっても良いそうなので、居心地の良い法を選んでください。以下の画像を参考に。
 
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③手を組みます。
 
右の手のひらを上向きにして組んだ足の上にのせ、その上に左手を重ねます。指と指が重なるようにするのがポイント。
 
こちらも左右逆になってもよくて、手を組んでみて具合の良い方で構わないようです。
 
そして、両手の親指の先を軽く合わせ、泡玉を包み込むような感じで楕円形を作ります。組んだ手は体の近くに持ってくると姿勢が崩れにくいです。以下の画像を参考に。
 

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④体を前後左右にゆっくり揺らしてみて、一番しっくりくる場所で静かに止めます。
 
 
⑤姿勢をよくして、顎を軽くひき、肩の力を抜きます。
 
肩の力を抜くと猫背になってしまわないように気をつけます。
 
 
⑥視線を自分の鼻の延長線上にもっていきます。
 
 
⑦瞼を半眼の状態にします。半眼とは完全に瞼を閉じない状態です。仏像の眼を思い出していただくとわかりやすいかと思います。
 

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また、仕事中などで睡魔に襲われた時になんとか目を開けようとして白目を剥いている人っていますよね。極端に言うとあれに近い感じです。笑
 
 
呼吸をしていきます。
①体に残っている息を吐き切ります。
 
 
②心の中で「いち、に、さん、よん、ご」と数えながら、息を吸います。
 
 
③「ご」で吸い終えて「いち」止めます。
 
 
④心の中で「いち、に、さん、よん、ご、ろく」と数えながら、息を吐いていきます。「ろく」で吐き切るようにします。
 
 
⑤吐き切ったら、また数を数えながら吸っていきます。
 
数を数えながら吸う→いち止める→数を数えながら吐く。これを10分間繰り返します。
 
 
⑥10分たったら頭と胸を軽くさすります。
 
 
これで終了です。
 
 
 
慣れないうちは、いろいろな雑念が意識にあがってきますが、それは当たり前のことなので、「そういうものがあるんだな」と気付いておくだけで良いそうです。
 
 
数息観を繰り返していくことで、体の中の悪い気が外に出て、良い気で満たされていくようになるとのことです。
 
 
真面目な人ほど、体の中にいろいろと溜めてしまいがちになるので、毎朝10分のルーティーンにすることで、メンタルを健康に保つことができるようになるのではないかと思います。
 
 

アンカリングで強化する

数息観をした後は頭がとてもスッキリして穏やかな気持ちになります。
 
 
僕はこの感じを、場所を問わずに出せるようにしたいと思いました。
 
 
そこで、思いついたのがNLPで有名なアンカリング。
 
 
アンカリングとは、自分の良い心理状態を体に記憶させ、必要がある時に蘇らせることができるようにする手法です。
 
 
僕は、両手を組んで姿勢をよくすると、数息観で得たスッキリ感と穏やかさを得られるようにしてみました。
 
 
おかげで、日常の生活の中で、心がざわつくことがあってもそれをすることにより、落ち着きを取り戻すことができるようになっています。
 
 
数息観とアンカリングの組み合わせはオススメです。
 
 

良いこと尽くしの呼吸法を日常に取り入れよう!

今回は、「数息観」という呼吸法を紹介しましたが、世の中には様々な呼吸法があります。
 
 
呼吸法には、集中力やストレス耐性をアップさせることをはじめ、メリットがたくさんあることが知られてます。
 
 
あのメンタリストDaigoも呼吸法に注目しており、彼の本には頻繁に呼吸法が登場してきます。
 
 
また、世界ナンバーワンのカリスマコーチ、アンソニー・ロビンズも、呼吸法をとても大切にしていたことが知られています。
 
 
名だたる人たちが注目し、実践している呼吸法。生活に取り入れていかないわけにはいきませんよね。
 
 
僕は「数息観」に出会うことができてラッキーでした。毎朝10分の数息観を続けていく中で、僕自身もどう変化していくのか楽しみです。
 
 
ぜひ、このブログを読んでくださった後に、数息観を一度でもいいので試してみてくださいね!

赤ちゃんには抱っこが必要だとわかる有名な心理学者の研究とは?

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こんにちは。どいつよしです。

 
 
2019年7月20日のブログにも書いたように、乳児院時代に学んだこともアウトプットしていくことにしました。
 
 
今回は、僕が子育て経験ゼロの状態から乳児院に就職して最初に教わり、その後、子ども達と関わる中でも一番大事にしていた抱っこについてです。
 
 
赤ちゃんにとって抱っこは、一番身近な大人を直接肌で感じて安心できる、大切なスキンシップのかたちです。
 
 
そして、毎日抱っこされ、話しかけられることで「自分は無条件で愛されている」という自己肯定感を育んでいくことになります。
 
 
抱っこは僕たち大人が思っている以上に、赤ちゃんにとって、なくてはならないものなのです。
 
 
今回は、抱っこの必要性を裏付ける有名な心理学者による実験を紹介しますね。
 
 
それではいってみましょー!
 
 

ワトソンの触れない子育て

アメリカの心理学者にジョン・ワトソンという人がいます。心理学を学ぶと必ずといっていいくらい名前が出てくるお人です。動物や人の発達は経験による条件付けにより成り立つという考えから、行動主義を提唱し、彼のおこなった実験は心理学に大きな影響を与えています。
 
 
「健康な1ダースの乳児と、育てる事のできる適切な環境さえ整えれば、才能、好み、適正、先祖、民族など遺伝的といわれるものとは関係なしに、医者、芸術家から、どろぼう、乞食までの様々な人間に育て上げることができる」
 
とか、
 
生後11ヶ月の男の子に恐怖の条件付けを施し、おとなが抱く不安や恐怖の多くは幼年期の体験に由来しているとした、「アルバート坊やの条件付けの実験」
 
が特に有名です。
 
 
そんなワトソンが提唱した子育て法がありました。それは、「子どもに触れない育児」です。
 
 
子どもに触れない育児とは、「子どもに抱っこやキスをしないこと、子どもに触れることは子どもを甘やかしダメにする」として、泣いてもできるだけ放っておくやり方です。
 
 
そして、当時はそれが合理的なやり方として子育ての主流になっていったんです。
 
 
お母さんたちは、
 
 
赤ちゃんが泣いてミルクを欲しがっても、決められた時間までベッドに入れて、抱っこしない。
 
 
かわいがりたい気持ちをグッとこらえて、なるべく触れないようにする。
 
 
ということを徹底しました。
 
 
子どものためを思って。
 
 
そしてどうなったか?
 
 
その影響が現れはじめたのが10年後。アメリカの心理学者プレスコットが、その子たちが成長してから多くの問題を抱えるようになったと指摘しました。
 
 
・常に不安感が強い
 
・人とよい人間関係が作れない
 
・周囲のことに関心がもてない
 
 
といった問題を次々と引き起こす人が増えたということでした。
 
 
また、触れない育児を積極的に取り入れたアメリカのある養護施設では、1年間に9割もの乳児が死亡しました。
 
 
栄養状態をよくし、高い医療を施すなど、生活環境の改善に努めたものの、子ども死亡率は高いままでした。
 
 
スキンシップがないことのストレスによって、成長ホルモンの分泌が止まってしまったのが大きな原因ではないかといわれています。
 
 
ちなみに、僕がフォーカシングを教わっている日本の心理学者の池見陽先生は、著書の中で行動主義の学習理論に触れ、「動物実験で得られた理論で、人間を人間らしくしている性質、たとえば[愛]ということには何も語られない」と述べています。
 
 
たしかに、ワトソンの提唱した子育てには、池見先生の仰るように[愛]が感じられませんし、人間を人間らしくしている性質を否定したもののように感じます。
 
 

ハーロウのサルの愛着実験

もう1人有名な心理学者を紹介しましよう。ハリー・ハーロウです。
 
 
ハーロウも心理学の教科書によく出てきます。
 
 
ハーロウといえば「アカゲザルのあかちゃんの愛着実験」です。
 
 
これは、サルの赤ちゃんがいる檻に、母親代わりのミルクが出る針金の人形と、ミルクが出ないやわらかい布の人形を入れ、赤ちゃんがどういう行動をするかを観察するものです。
 
 
そしてどうなったか?
 
 
赤ちゃんはミルクを飲むときだけ針金の人形のところへ行き、あとは布の人形にずっとしがみついていたのです。
 
 
このことから、サルの赤ちゃんはたとえミルクが出ていようとも針金の人形には愛着をしめさず、やわらかい布の人形に触れたがり、愛着を示すことがわかりました。
 
 
その後、「布製の母親で子どもは育つのか?」ということで研究は続けられますが、布製の母親でも正常には育たないことがわかっています。
 
 
体は大きくなりますが、社会性に乏しく、サルの集団の中で問題を起こして孤立したり、自傷行為をしたりする子どもになってしまいました。
 
 
針金製または布製の母親で育ったサル達を解剖すると、正常な脳と比べて発達が悪かったそうです。
 
 
セロトニンやノルアドレナリンなどのホルモンが非常に少なかったこともわかっています。
 
 
人間の場合、セロトニンやノルアドレナリンなどの働きが不調に陥ると、脳の機能不全が引き起こされます。
 
 
そして、意欲の低下、不安やイライラ、不眠などの症状が現れるといった、いわゆる、うつ病になってしまいます。
 
 
もしかすると、サルの子どももうつ病に近い状態になっていたのかもしれませんね。
 
 
このハーロウの実験からわかることは、針金よりも布。布よりも人肌。ということで、生身の人間の温かいスキンシップは代わりになるものがなく、子どもの心身の育ちに、ときには命に関わるほどの大きな影響をおよぼすということですね。
 
 

おわりに

いかがでしたか?
 
 
今回は、赤ちゃんにとってなくてはならない抱っこの重要性について、有名な心理学者の実験を用いてお伝えしました。
 
 
彼らの実験は、今の時代からは問題視されるような内容ですが、それがあったからこそ、生身の人間による抱っこやスキンシップが大事だということがわかったと考えると意味のあるものだったんだなと思います。
 
 
今回のブログで、抱っこの大切さが少しでもお分かりいただけたら幸いです。
 
 

参考文献

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

幸せになる脳はだっこで育つ。-強いやさしい賢い子にするスキンシップの魔法-

 

 

僕の乳児院時代のバイブルといえる本のひとつです。抱っこをはじめとするスキンシップの重要性をデータをもとに伝えてくれます。

 
また、忙しい時でもスキンシップがとれる方法や、スキンシップを嫌がる子どもへの対応法など、様々なスキンシップの取り方も書かれていてオススメです。

フォーカシングってなに?どんな生い立ちでどんな効果があるの?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
ソリューションフォーカストアプローチ(以下SFAと記載)と同じ2017年から学び始めたのがフォーカシング。
 
 
2017年1月に高知に来られたフォーカシングの第一人者、池見陽先生の講座に参加してから、その魅力に取り憑かれてしまいました。
 
 
それから、日笠摩子先生、デヴィッド・I・ローム氏、と他の先生方の講座に参加したり、書籍を読み漁ったり、発展型のインタラクティブ・フォーカシングの講座にも通ってきました。
 
 
SFAと同じくらい大好きなフォーカシングですが、いざ、誰かに説明しようとするとじょうずにできないことが多いなぁと思うことが多くなりましたので、一旦学んだことをアウトプットして整理してみることにしました。
 
 
まずは、フォーカシングの一般的な説明と生い立ち、そして、得られる効果についてを書いていきます。
 
 
ではさっそく、いってみましょー!!
 
 

フォーカシングとは?

哲学者のユージン・ジェンドリンが提唱した心理学の理論と実践の名称です。
 
 
その説明については、研究者によって書き方がいろいろとありますが、僕はそれらを咀嚼した結果、
 
 
「自分の内側にある言葉やイメージにならない[感じ]に注意を向けていき、
 
 
その[感じ]に触れながら、それを言葉やイメージなどで表現して、
 
 
[感じ]に秘められた意味を明らかにしようとするプロセス」
 
 
を誰でもできるようにする方法。

 

 
と理解しています。
 
 
ちなみに、簡潔にフォーカシングを説明しているものには、
 
 
「やさしい思いやりをもって先入観なしに自分の<からだ>に耳を傾けるもの」by アン・ワイザー・コーネル
 
 
静かに、心に感じられた「実感」に触れ、そこから意味を見いだす方法by 日本フォーカシング協会HP
 
 
などがありました。
 
 
フォーカシングの理解がすすんでくると、これくらい短くてもわかりそうです。
 
 

フォーカシングの生い立ち

創始者はユージン・ジェンドリン。哲学者ですが、来談者中心療法を考案したカール・ロジャーズに学び、共同研究者となりました。
 
 
ジェンドリンは、カウンセリングの中でプロセスが進み成功する人たちの特徴について、何百という心理治療場面の録音テープを検討し、以下のような共通点を見出しました。
 
 
成功するクライエントは、面接の過程で直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付きがあり、それを確かめながら言葉を探っている。
 
 
例えば、
 
 
「うーん、どう言ったらいいんでしょう。ちょうど、ここのところにあるんだけど。それは……あのー……それは……寂しさというのとはちょっと違うし……うーん。」
 
 
というように、面接のどこかで話し方がゆっくりになって、言葉の歯切れが悪くなり、その時に感じていることを言い表す言葉を探し始める。
 
 
あるいは、
 
 
「それは喉元のここのところにあるんです」
 
とか
 
「みぞおちのあたりが、こう、なにか変な感じがするんです」
 
 
というように、その感じを<からだ>で感じている発言をすることです。
 
 
そして、まだ言葉やイメージにならない感じを確かめながら、言葉を探り、ぴったりな表現が見つかると、クライエントには、緊張の解消やホッとするなどの感覚的な変化が感じられ、問題に対する気づきも生まれたのだそうです。
 
 
一方で、カウンセリングがうまくいかなかったクライエントたちは、面接の間ずっと言いよどむことなくすらすらと話していて、<からだ>で感じることがありませんでした。
 
 
「頭で考えるレベル」にとどまっていて、問題について、いくらいろいろと分析しても、説明しても、考えても、あるいは涙を流しても、うまくいくことはなかったそうです。
 
 
このことから、カウンセリングが成功することについて大事なのは、クライエントが何を話すかという内容ではなく、言葉では表現しにくい<からだ>の[感じ]に気付き、それを直接感じて言語化できるかどうかであるいうことがわかったのです。
 
 
しかも、<からだ>で感じることができてカウンセリングが成功したクライエントは、カウンセリングを受けにやってきた時から、すでにそれができていたのです。
 
 
そこで、ジェンドリンは、成功したクライエントに共通して見られた「直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付きがあり、それを確かめながら言葉を探っていくプロセス」を、誰もができるようにすれば、カウンセリングを受けに来たクライエントが、うまくいく人といかなかった人に分かれてしまうことは無くなるだろうと考えました。
 
 
そして、見事に技法化することに成功し、フォーカシングと名付けました。
 
 
また、「直接<からだ>で感じている、漠然とした、言葉では表現しにくい身体的な気付き」のことを、すでに言葉にされている感情や経験とは区別して、フェルトセンスと名付けました。
 
 
日本語では、「からだの感じ」「気になる感じ」などにあたり、「違和感」や「痛み」として感じられることもあります。
 
 
フォーカシングはフェルトセンスに触れていくプロセスを誰もができるようになる手法ということです。
 
 
フェルトセンスについてはこちらに詳しく書いています。 
 

 

 

 

フォーカシングの効果

フォーカシングは、心理療法がうまく進むために役立つ方法だけにとどまらず、以下のようなことに役に立つといわれています。
 
 
・自分がどう感じているか何が欲しいかをもっとわかるようになりたい時に、納得できる答えを自分で導き出すことができるようになる。
 
・押さえきれないくらいのネガティブな感情に巻き込まれそうな時、適度な距離を保って付き合えるようになる。
 
・「できない病」とか「やめられない病」といった行き詰まり状態を解消できる。
 
・自己批判などの自分自身に対する否定的な思いを緩和できるようになる。
 
・自分の心を整理したり、軽くしたりできるようになる。
 
・自分が納得のできる正しい選択をできるようになる。
 
・ストレス性の身体症状を自分で緩和できるようになる。
 
・トラウマに対してやさしく触れることができるようになり、自分で癒せるようになる。

 

などがあります。
 
 
この他にも、教育やスポーツ、芸術などの分野での活用事例について世界中で研究がすすめられているそうです。
 
 
そういえば、宇多田ヒカルの作曲方法もまさにフォーカシングなんですよね。そのことについても今度ブログにしますね。
 
 

フォーカシングを学んでよかったこと

僕がフォーカシングを学んで良かったことはたくさんありますが、その中からベスト3(2019年7月現在)を選んでみました。
 
 
・自分自身がネガティブな感情にガッツリ巻き込まれる前に、「僕の心の中にネガティブな感情がある」と気付いて、適度な距離をおけるようになったこと。
 
・クライエントの話を追体験できるようになって、伝え返しのクオリティがあがったこと。(追体験はまた改めてブログで書きます)
 
・クライエントの話の内容以外の非言語の部分にも注意して話を聴けるようになったこと。

 

です。

 
 

学びは続くよどこまでも

今回は、フォーカシングの一般的な説明と生い立ち、そして得られる効果について書きました。
 
 
フォーカシングの学びを深めていくには、「フェルトセンス」や「体験過程」といった用語や、「傾聴の中でのフォーカシング」や「教示法のフォーカシング」についてなども理解する必要があります。
 
 
これから次回以降、一つずつ確認していきますね。
 
 
大好きな理論と技法であるだけに、しっかりアウトプットして自分のものにしていきたいと思っています。
 
 
とりあえず、今回はこのへんで。今回もお読みくださりありがとうございます!
 
 

参考文献

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

やさしいフォーカシング―自分でできるこころの処方

  • 作者: アン・ワイザーコーネル,Ann Weiser Cornell,大沢美枝子,日笠摩子
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 1999/09/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 6人 クリック: 19回
  • この商品を含むブログ (13件) を見る
 

誰もがフォーカシングをできるようになるための方法がわかりやすく書かれている教示法の本です。


産業カウンセラー仲間には、この本でフォーカシングを体験し、カウンセリングに役立てられるようになったという人もいます。


自分でフォーカシングができるようになりたい人にオススメです。

こころの天気を感じてごらん―子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本

こころの天気を感じてごらん―子どもと親と先生に贈るフォーカシングと「甘え」の本

  • 作者: 土江正司,ますいゆうこ
  • 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
  • 発売日: 2008/10/01
  • メディア: 単行本
  • 購入: 1人 クリック: 1回
  • この商品を含むブログを見る
 

気持ちや<からだ>の感じを天気で表現することで、自分の気持ちや感情をじょうずに相手に伝える力を養うことを目的とした「こころの天気」を使って、教育現場でフォーカシングを活用できるようになる本です。


フォーカシングを知らない人でもすぐに実践しやすいように書かれてあります。


また、後半部分は、子どもの成長・発達と甘えの関連性について書かれており、子育て支援や家庭支援にも役に立つ内容になっています。

 

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

傾聴・心理臨床学アップデートとフォーカシング―感じる・話す・聴くの基本

 

ジェンドリンのフォーカシングについてはもちろんのこと、ロジャーズの理論についての誤解を解く内容が書かれていたり、来談者中心療法以外の療法についても、池見先生が解説をされています。


ロジャーズをきちんと理解した上で、ジェンドリンを知ることができる、一石二鳥以上のお得な本でもあります。

ココロの皮むきブログの今後の展開について

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こんにちは。どいつよしです。

 

今日は大安+一粒万倍日という、何かを始めるにはとても縁起の良い日だということなので、このブログの今後の展開でも書いてみようと思います。

 

 

まず、心理学の勉強について。

 

ここのところ、ソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下SFAと記載)に関する記事が多くなっていますが、それ以外に学んだ分野のものも書いていくようにしていきます。

 

フォーカシング、認知行動療法、ゲシュタルト療法、シニア産業カウンセラー講座など、まだまだアウトプットできていないものがあります。

 

これらの学びをアウトプットすることで、点と点だったものが繋がっていき、僕の中で大きな学びの輪ができると、またワンランク上のレベルでの学びに進めるのではないかと考えています。

 

また、心理学のたくさんの可能性を、このブログを通して、読んでくださっている人に知っていただけたらという気持ちもあります。

 

 

そして新たに、乳幼児の子育てに役立つ情報をお伝えしていくようにします。

 

僕は、保育や子育ての経験がゼロ、全くのど素人から乳児院に就職しました。それはそれは最初は驚きと戸惑いの日々でしたので、新米パパの気持ちがよくわかります。

 

TwitterのCM(パパがあかちゃんの泣き止ませ方をTwitterで探すもの)のように右往左往してしまうのもよくわかります。

 

でも、あのCMのようなやり方は、僕はどちらかというと賛成しかねる部分もあります。

 

ちゃんとした最低限のことを知っていれば、もっと落ち着いてあかちゃんと過ごせる、あかちゃんと信頼関係を早く築くことができるのになぁと思います。

 

そこで、僕が驚きと戸惑いの日々の中で学んだたくさんのことから、新しくパパになる人や、育児に興味をもっている男性にとって、役に立つ情報をお伝えしていくことに決めました。

 

また、僕はアタッチメント・ベビーマッサージ・インストラクターの資格ももっているので、忙しい時でも簡単にできるベビーマッサージやスキンシップを取りながらの遊びについても、あわせて書ければと考えています。

 

少しでも知識があると育児参加へのハードルが低くなります。そして、男性の育児参加が促されて、女性の負担が軽くなってほしい、育児に行き詰まっての悲しい結末が少しでもなくなってほしい、そういう願いもあります。

 

 

それと、実はね、乳幼児の子育てと心理学ってけっこう繋がりがあるんですよ。キャリアコンサルティングにも繋がっていくとも思っています。

 

だから、乳幼児の育児をアウトプットすることも、僕にとっては心理学の学びを深めることになるんですよね。

 

 

・・・ということで、ここまで書いて、かなり風呂敷を広げてしまったなという感じはしますが(^_^;)

 

ブログにアウトプットしたいことがたくさんあるので、僕の自由に使える時間をいかに有効に活用できるかが勝負になってきますが、できるだけ間隔を開けずに書いていければと思います。

 

今日書いたことが自分自身への良いプレッシャーになればいいなと思います。

 

今後とも『ココロの皮むき』ブログをよろしくお願いします。

【SFA】気持ちの程度を知るためにスケーリング・クエスチョンを使ってみたらどうなったか

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
今日もソリューション・フォーカスト・アプローチ(以下SFAと記載)についての書きます。
 
 
SFAってなに? 韓国の新しいボーカルグループ!?
 
 
って思った人はこちらを読んでみてくださいね。

 

 

さて、SFAの技法のひとつに「スケーリング・クエスチョン」というものがあります。少しおさらいをしましょう。

 
 

スケーリング・クエスチョンのおさらい

1から10のスケール(尺度)で、クライエントに今現在の状態を評価してもらう質問です。
 
 
今現在の状態を数値に置き換えることにより、クライエントとカウンセラーの双方が理解しやすくなるとともに、問題の解決についての具体的なリソース(資源)を探していきやすくするというメリットがあります。
 
 
【自己評価、面接前の変化、自信、変化への意欲、望みを実現しようとする意志、問題の優先順位、見通し、進歩の評価を知るため 等】に用いることができます。
 
 
例えば、
 
 
「1から10までのスケールで、1があなたにとって問題が最悪だった時、10があなたがもうそのことで悩まなくていい状態としたら、今日はいくつでしょうか?」
 
 
というように使います。
 
 
また、近所の整骨院では、
 
 
「1から10までのスケールで、1がほとんど痛みがない状態、10がかなり痛みがあ
る状態としたら、今日はいくつでしょうか?」
 
 
というように使っているのを知りました。
 
 
医療現場では、10を最も状態が悪い状態として扱うことが多いそうです。
 
 
 
 
先述したように便利な使い方ができるスケーリング・クエスチョンですが、この技法を覚えたての頃、電話相談を受けた時に使ってみて効果があったことをシェアしたいと思います。
 
 

「傷ついた」と繰り返す相談者にスケーリング・クエスチョンを使う

相談者の方は何度も「傷ついた」という言葉を使う方でした。ただ、電話の声だけではどのくらいその方が傷ついたのかがどうしてもわかりませんでした。
 
 
このままでは、相談者を理解することができない。。。
 
 
そこで、思い切ってスケーリング・クエスチョンを使ってみることにしました。
 
 
会話の一部はこんな感じでした。
 
 
ーーーー
 
相談者「世の中に出たら、いろんな人に傷つけられて。わたし、傷ついたんです。」 
 
 
僕「すみませんが、あなたのことを理解したいので、少し変わった質問をさせてくださいね。」
 
 
相談者「はい」
 
 
僕「1から10までのあいだで、あなたが全く傷ついていないのを0として、ひどく傷ついたのを10としたら、今日はどのくらいですか?」
 
 
相談者「う〜ん、6か7ですね。」
 
 
僕「6か7なんですね。10までではないということですね。」
 
 
相談者「そうですね。」
 
ーーーー
 
 
このやり取りを通じて相談者の「傷ついた」という気持ちの程度がわかり、内心ホッとしたことを覚えています。
 
 
その後、「10ではなくて6か7とお答えになったのはどんなことで?」という質問を続けてみたところ、「よいこともありました。」という言葉とともに例外の部分に焦点があたり、そこから具体的なリソースを探していくことになりました。
 
 
結果的に、この時はスケーリング・クエスチョンが効果を発揮して、相談者の気持ちの程度を知ることができ、話を前に進めていくことができました。
 
 
また、気持ちの程度をスケーリングすることで、相談を受けた側も安心して話が聴けるし、相談者の今の状態を尊重しながら話を進めていくことができやすくなる、ということがわかりました。
 
 
このことがきっかけで、僕は電話相談でもSFAの技法を織り交ぜていくようになりました。
 
 

さらに、もっとよい言い回しのスケーリング・クエスチョンがあった!

SFAの勉強を続けていく中で、もっとよいスケーリング・クエスチョンの言い回しに出会いましたのでそちらもシェアしたいと思います。
 
 
先程の事例にあった、相談者が頻繁に使っていた「傷ついた」という言葉をそのままスケーリング・クエスチョンに使った場合、その言葉にひっぱられてしまって相談者がしんどくなってしまう状況も考えられたということがわかりました。
 
 
「傷ついた」という言葉を使わずにスケーリング・クエスチョンをするなら、
 
 
今まで生きてこられた中で、どうしようもなくしんどかった時を0、そこそこましだったという時を10としたら今日のあなたはどのくらいですか?
 
 
という言い回しをした方が、より一層よいそうです。
 
 
この言い回しは「傷ついた」に限らず、相談者やクライエントの問題に関わるネガティブな事柄についてスケーリングをしたいときに応用できるので、覚えておこうと思っています。
 
 

おわりに

いかがでしたか?



今日は、SFAの技法のひとつであるスケーリング・クエスチョンをクライエントの気持ちの程度を知るために使ってみたことについて書きました。

 
 
スケーリング・クエスチョンは、クライエントとカウンセラーがひとつの数字を共有することで問題が扱いやすくなるので、習得すると便利な技法です。
 
 
ただ、使い始めると、どのような言葉を使って質問を作るのかが難しいという部分もあります。
 
 
学んで終わりではなく、積極的に使ってみて、クライエントの反応を見ながら磨いていくことが大切だなと改めて思いました。
 
 

参考文献 

解決のための面接技法[第4版]―ソリューション・フォーカストアプローチの手引き

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  • 作者: ピーター・ディヤング,インスー・キム・バーグ,桐田弘江,玉真慎子,住谷祐子
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  • 発売日: 2016/02/05
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解決のための面接技法―ソリューション・フォーカスト・アプローチの手引き

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コンプリメントについて専門的に学んでみたい人、SFAについてもっと詳しく知りたい人はこちらがオススメです。SFAの開発者、インスー・キム・バーグによる、SFAの技法がみっちり詰まった一冊です。

 

最新の第4版は事例が増えて、とても濃い内容になっています。本はかなりデカイです。もはやこれは図鑑です。本を持ち歩く人はオススメしません。本を持ち歩くことが多い人は、単行本サイズの第3版がオススメです。

 

ちなみに、僕は、第4版を持っています。本気なので(笑)。

【SFA】コンプリメントはギャンブルで大当たりしたときと同じ脳が活動している!?

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
ここのところ連続してソリューションフォーカストアプローチ(以下SFAと記載)について書いています。
 
 
SFAってなに? DA PUMPの新曲? って思った方はこちらを読んでみてくださいね。

 

 

今日は、SFAの技法の「コンプリメント」についてです。
 
 
繰り返しになりますがコンプリメントには、ほめる・ねぎらうという意味があり、相手が元気になる言葉ややる気になる言葉をかけることです。
 
 
そして、自己評価を高めることを促します。また、相手の存在を肯定することにもなり、よい関係性をつくることに繋がります。
 
 
さらに、コンプリメントはカウンセリングの時だけでなく、普段の人間関係を良好にすることもできるので、知っておくととても役に立つ技法です。
 
 
もっと詳しくコンプリメントについて知りたい方は、こちらの記事もご覧くださいね。

 

 

「褒める」は脳科学的にも重要である

さて、本題に入りますね。

 
 
今、柿木隆介さんという神経内科のお医者さんが書いた『どうでもいいことで悩まない技術』という本を読んでいます。
 
 
この本には、悩むほどでもないことを必要以上に気にせず、悩まずにいられるようになるための、脳の力を活かした31のトレーニングが載っています。
 
 
その中に「褒める」ことの重要さについて書かれてあるところがありました。
 
 
褒める!!!
 
 
そうです!「褒める」ときたら身体が無意識にビビッと反応してしまいます。笑
 
 
「褒める」ときたら、コンプリメントですよね。もう、何回もこのブログでは書かせてもらっています。
 
 
そして、この「褒める」について驚愕の事実があることがわかったんです!
 
 
それは!?
 
 
 

f:id:kokoronokawamuki:20180923094840j:plain

 
 
ギャンブルで大当たりしたときと同じ脳が活動している!
 
 
ということ。
 

柿木さんによると、褒められるというのは、人間にとって快感の一つとのこと。しかも、その快感は強烈な長期記憶として貯蔵され、忘れることはないのだそうです。
 
 
ちなみに、褒められた時に脳がどうなっているのかというと、「報酬系」や「快楽中枢」と呼ばれる部分の活動が活発になっているのだそうです。その中でも大脳基底核の線条体という部分と中脳が主に活動しているそうです。
 
 
そして、おもしろいことにこの場所は、パチンコや競馬、カジノといったギャンブルで大当たりをしたときにも活動するとのこと。
 
 
だから、SFAのコンプリメントもそのくらいの大きな力をもっているのだということがいえますね。これは、もっともっと使っていかないともったいない!
 
 

コンプリメントの効果をもっと高めるには?

脳科学的にも効果があるとわかったコンプリメントですが、効果をあげるにはやはり、上手なコンプリメントをすることが大切だと考えます。
 
 
上手なコンプリメントとは、相手の心に響くものであることです。
 
 
そのためには、
 
・眼の前の人をよく観察する
・自分が感じていることにもしっかり目を向ける
・どのタイミングでどういう言葉でもって伝えると相手を最高に光らせることができるのかを考える
 
というプロセスが必要です。
 
 
上手なコンプリメントをするプロセスを実現していくには、以前 、普段の人間関係にも使える!コンプリメント(ほめる・ねぎらう)の効果を最大にするためにできることとは? において紹介した、映画監督の山田洋次さんの姿勢、
 
・相手のどこがすばらしいのか
・相手のどこに自分の心が動かされたのか
・どのように自分が関われば、さらにすばらしさを引き出すことができるのか
 
を参考にするとよいと思います。
 
 

まとめ

いかがでしたか?
 
 
今回はコンプリメントについて、「ギャンブルで大当たりしたときと同じ脳の部分が活動している」「コンプリメントで得た快感は強烈な長期記憶として残る」ということで、脳科学的にも効果があると言われていることを書きました。
 
 
また、効果を上げるための上手なコンプリメントを行うプロセスについてもおさらいをしました。
 
 
今回の学びを通じて、今まで以上にコンプリメントを大切に、かつ、積極的に使っていこうという気持ちになりました。
 
 
また、ひとりでも多くの人が、「コンプリメント」や「褒める」ということを普段の生活の中において、身近な人や自分自身に対しても実践していくことで、元気な世の中になっていくといいなぁと思いました。
 
 

参考文献 

どうでもいいことで悩まない技術

どうでもいいことで悩まない技術

 

この本には、悩むほどでもないことを必要以上に気にせず、悩まずにいられるようになるための、脳の力を活かした31のトレーニングが載っています。

 

脳の働きをまじえながら解説してくれているので、トレーニング方法に説得力があります。科学的に根拠があるストレス解消法を身につけたい方にもオススメです。

 
 
誰といても疲れない自分になる本

誰といても疲れない自分になる本

 

ビジネス心理コンサルティング株式会社の代表取締役をされている林恭弘先生の本。山田洋次監督の褒める姿勢のセピソードはこちらに載ってあります。

 

また、この本には、人間関係で疲れてしまいがちな人に向けて、疲れるメカニズムと苦手な人間関係から解放され、ラクになる考え方や接し方のコツが紹介されています。

 

心理学にあまり馴染みがない人にもわかりやすいように、専門用語は少なめに、事例は多めに書かれているという点でもオススメの一冊です。 

 

 

解決のための面接技法[第4版]―ソリューション・フォーカストアプローチの手引き

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