ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

生後3ヶ月までの関わりが愛着の絆を結ぶのに大切な理由

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こんにちは。どいつよしです。
 
 
以前、『赤ちゃんにとって大切なアタッチメントってどんなもの? 』の記事にて、愛着の絆を結ぶことについて書きました。
 
 
今回はその続きで、質の良い愛着の絆を結ぶには、生後3ヶ月までの保護者の関わり方が大切だということをシェアしたいと思います。
 
 

なぜ生後3ヶ月までが大切なのか!?

社会福祉学博のヘネシー澄子さんによると、生後3ヶ月までの赤ちゃんは、まだ胎児なのだそうです。
 
 
第4胎児期としての認識で、実際に母親の胎内での状態を再現すると安心して泣き止むという研究結果があるそうです。
 
 
へその緒は切れても、まだ母親と繋がっている感覚が必要だということですね。
 
 
この状態をうまく説明しているのが、哲学者のエーリッヒ・フロムです。フロムはこう述べています。
 
 

胎児から人間へとかなり急激に変化し、臍の緒が断ち切られると、幼児ははっきり母親の肉体からは独立する。

 

しかし、この独立は、たんに二つの肉体が分離したという素朴な意味においてである。機能的には、幼児は依然として母親の一部である。

 

 
ということです。
 
 
では、なぜ出生から3ヶ月が大切なのでしょうか。
 
 
それは、今までの研究で、出生から3ヶ月までに、保護者の細やかな関わりのプロセスがあるかないかで、愛着の深さと質が異なることがわかっているからなのだそうです。
 
 
その関わりとは以下の通りです。
 
 
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<その1>
 
生まれたばかりの赤ちゃんは体の不快感だけに反応します。不快感というのは、空腹、痛み、眠い、といったもので、それを感じると泣きます。
 
保護者がその不快感を取り除いてくれるたびに、赤ちゃんは、安心感・安全感と快感を味わいます。
 
 
<その2>
 
お乳の味・保護者の肌の匂いなどが、快感を呼び起こすようになり、保護者への深い欲求が生まれます。
 
 
<その3>
 
出生から3ヶ月までに何百回と繰り返された哺乳・入浴・抱擁・保護者の優しい声・アイコンタクト、などが保護者への依存症となり、愛着を深めることにつながります。
 
 
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そして、この関わりのプロセスが、出産のトラウマ(産道を通る際、頭を締め付けられて、死にそうなくらいの恐怖体験を赤ちゃんはしている)を和らげるということや、
 
 
脳の視床と扁桃体に深い安心感と安全感が埋め込まれ、安全基地が確立されることにも役だっているとのことです。
 
 
安全基地が確立されることにより、他者への肯定的な信頼感を獲得していけるようになります。
 
 
また、不安が低く、仮に不安に陥ったとしても回復が早く、柔軟性もある子どもに成長していけるのだそうです。
 
 
出生後すぐの赤ちゃんは、四六時中一緒だった母親から肉体的に分離させられ、しかも産まれる時に死にそうなくらいの恐怖を味わい、不安でいっぱいであることを考えると、できるだけ早期に保護者との愛着の絆を結ぶことが良いことには間違いないということですね。
 
 
ちなみに、出生後すぐから1歳ごろまでは、「この世界は安心できるところだ。私はここにいていい」という感覚を得て、心の土台の最下層である「私には生きる価値があるの層」が作られる時期です。
 
 
3ヶ月までの関わりが、この部分をより強固にするということも言えますね。
 
 

おわりに

いかがでしたでしょうか。
 
 
今回は生後3ヶ月までの関わりが愛着の絆を深めるにあたって大切であることについて書きました。
 
 
生後3ヶ月まではまだ胎児であるということ。
 
 
生後3ヶ月までの関わりの3つのプロセスがあると
 
質が良くて深い愛着が結ばれること、
 
早い時期に出産のトラウマの緩和と安全基地の確立がなされること、
 
心の土台の最下層「私には生きる価値があるの層」が強固になること。
 
 
がおわかりいただけたのなら嬉しいです。