ココロの皮むき

産業カウンセラーが学んできたことを書くブログ

欠けているところとは、私がネガティブな感情を抱いて勝手にそう思っているところ!?

f:id:kokoronokawamuki:20190712223350j:plain


こんにちは。どいつよしです。

 
 
前回は、欠けているところよりもできているところを見ていきましょう。という考え方について書きました。
 

 

 

その後に思い出してしまったんです。
 
 
私が「欠けているところ」だと思っているところは、他人にとってはそうではないこともある、ということを!
 
 

僕はネガティブ感情を抱き、松岡修造はポジティブ感情を抱く

例えば、僕が欠けているところとして認識していることに、「緊張しい(緊張しやすい人)」というのがあります。
 
 
心臓の鼓動が高まり、肩が凝り、お腹も痛くなるし、ひどい時には頭痛も起きるので、僕は緊張しいの自分が好きではありません。「緊張しいさえなければ、もっと自分らしく振る舞うことができるのに。」と思います。
 
 
緊張しいという事柄に「好きではない」「〜さえなければ、もっと・・・のに。」というネガティブな感情がくっついてきているというところも、欠けているところだとしてしまう要因ではないかと思います。
 
 
一方で、松岡修造さんのように、緊張しいであっても「緊張してきた!よっしゃー!」とポジティブな感情を抱く人もいます。そして、松岡さんは緊張する自分について欠けているところだと思っていません。
 
 
僕が欠けているところだと思っている「緊張しい」は、松岡さんにとってはそうではない。僕がネガティブな感情を抱いて勝手にそう思っているところであるといえます。
 
 
結局、「緊張しい」をどのように受け取ったかで、大きく違ってしまったということになりますね。
 
 
欠けているところができてしまうプロセスを整理すると、
 
 
①私に関係する事柄がある
②その事柄にネガティブな感情を抱く
③欠けているところとして認識する
 
 
ということになるだろうと考えます。
 
 
このことから、「どんな事柄に対してもネガティブな感情を抱かなければ、欠けているところはできない」となりますよね!?
 
 
でも、現実は心が傷ついたりすることで、ネガティブな感情を抱かざるを得なくて、欠けているところとして認識してしまうことが多いのではないかと思います。
 
 
そして、欠けているところについてのネガティブな感情をひきずってしまうので、それがずっと気になったり、なんとかしたいと強く思ったり、自分を責めたり、目を背けたくなったりするんですよね。
 
 
まぁ、僕もそうなってしまうひとりなのですが。汗
 
 

f:id:kokoronokawamuki:20190713104549j:plain

 
 
ただ、先述したようなプロセスがあるということを知っていれば、不用意に欠けているところだと認識してしまうことが減ってくるのではないでしょうか。
 
 
また、心理学には欠けているところを肯定的に捉えていこうというものがあって、その考え方を知っておくと、幾分か気持ちが楽になると思いますので、シェアしますね。
 
 

欠けているところもその人にとって大切なもの

ゲシュタルト療法の創始者フリッツ・パールズは、「自分の中の欠落している部分を、人にはない個性として統合すると、全体の集合である人格が輝き出す」と考えていました。
 
 
実際にゲシュタルト療法では、クライエントの中にあるものは、すべてその人にとって大切なものとして扱っていきます。
 
 
今、その人がその人らしくあるのは、できているところも欠けているところもあるからだ、と考えます。
 
 
例えば、クライエントが自分のできているところ(A)と欠けているところ(B)について、「私にはAがあります。でも、Bもあるんです。」と話した時には、「私にはAがあります。そして、Bがあります。と言い直してみてください。」と促します。
 
 
また、エンプティ・チェアという技法を使って、できているところの私と、欠けているところの私の対話を促していくこともあります。
 
 
「対決」というように勝ち負けをつけることはしません。それは、両方ともがその人にとって大切なものだという考えからです。
 
 
そして、それぞれがお互いの声と気持ちを聴き合うことで、次第に全体の集合としての私へと統合していくことになります。
 
 

欠けているところも問題を解決する資源(リソース)

ブリーフセラピーの分野では、「クライエントが欠けていると思っているところも問題解決をする資源である」と考えます。
 
 
ブリーフセラピーを学ぶと必ず出てくるのがミルトン・エリクソン。ほんとにすごい人なのですが、そんな彼の有名なエピソードを紹介しましょう。
 
 
・ひどい歯並びに悩み、何度か自殺未遂をしたこともある女性が相談にきました。
 
・エリクソンは彼女の話を聞いて「そのすきっぱで何かできませんか?」と尋ねるのです。
 
・エリクソンは「まだ死ぬの早い、どうせ死のうと考えているのなら、死ぬ前にひとつお願いがあります。」と言って、すきっぱから水を飛ばす技を練習すること、3メートル飛ばせるように的も作って当てるようにすることを提示します。
 
・女性は不信感を持ちつつも、言われたとおり、会社の給湯室で練習をするようになります。
 
・そして、それをたまたまのぞいた男性社員があらわれ、その男性に水をかけてしまいます。
 
・そんなハプニングにめげずに練習を続けていると、今度は男性が水鉄砲で女性の顔を狙ってくるようになります。
 
・そして、お互いの親交が深まり、最終的に結婚しました。

 

死にたいほどの欠けているところだった歯並びさえも使ってエリクソンは女性を支援しました。その結果、歯並びは変わらないけれど、彼女は死にたいと思わなくなったということです。
 
 
ちなみに、ブリーフセラピーは解決志向アプローチをとりますが、この解決というのは、欠けているところをきれいさっぱりなくした状態ということではなく、欠けているところを抱えながらも、今以上に生き生きと自律的に生きていける状態になることを意味するのだそうです。
 
 

まとめ

いかがでしたか?
 
 
今回は、
 
 
①欠けているところというのは、受け取り方次第で欠けているところとなるのかならないのか違ってくるということ。
 
 
②現実には欠けているところをゼロにするのは難しいが、欠けているところを認識してしまうプロセスを知っておくことで軽減させることはできるのではないかということ。
 
 
③ゲシュタルト療法やブリーフセラピーでは、欠けているところもその人にとっては大切なものであると考えるということ。
 
 
を書きました。
 
 
僕と同じように欠けているところが気になってしまう人にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
 
 

f:id:kokoronokawamuki:20190713110753j:plain

 

あわせて読んでみてください 



www.kokoronokawamuki.com