『おしっこちょっぴりもれたろう』には対人関係を良くするヒントが書かれてある!?
こんにちは。どいつよしです。
僕が大好きな絵本『おしっこちょっぴりもれたろう』。
第11回MOE絵本屋さん大賞2018において、並み居る素晴らしい絵本たちを抑えて輝く第1位となった、今もっとも世間から注目を浴びている絵本です。
今回は、この『おしっこちょっぴりもれたろう』を読んで、僕が気づいたことをシェアしますね!
『おしっこちょっぴりもれたろう』とは!?
この絵本の主人公はタイトルにある通り、ちょっぴりもれたろうくん。
彼には、いつも用を足す前か後にパンツにおしっこをちょっぴりもらしてしまうという習慣があり、それによって母親からいつも怒られています。
そんな彼がズボンをはいたら、パンツにおしっこがちょっぴりもれていることがわからなくなる、ということに気づきます。
自分と同じように、外からはわからないけれど、実はパンツにおしっこがちょっぴりもれている人がいるのではないか、という仮設を立てて、もれたろうくんは街に繰り出していきます。物語はこんな感じではじまります。
その後、街に繰り出した彼は、パンツにおしっこがちょっぴりもれていそうな人にインタビューをしていきます。
「アー ユー チョッピリモレタロウ?」
↑本当はこんな言い方ではない。↑
↑本当はこんな言い方ではない。↑
大した度胸です。
断られても断られてもめげることなくインタビューをしていきますが、ある人は奥歯にものが挟まっていたり、ある人は鼻の奥のハナクソがピロピロしていたりと、パンツにおしっこがちょっぴりもれている人はひとりも見つけることができません。
そして、彼はあることに気づくのですが、その気づきがまさに対人関係を良くするヒントそのものなんです。
その気づきとは?
そとからみたらわかんないけど、みんなそれぞれそのひとにしかわかんないこまったことがあるんだな・・・
です。
言い換えると「人は誰もがその人にしかわからない事情をもっている」ということに気づいたということです。
なぜ対人関係を良くするヒントなのか!?
「人は誰もがその人にしかわからない事情をもっている」ということに気づくということが、なぜ対人関係を良くするヒントになるのか。
これは対人関係療法の水島広子先生の考え方に由来します。
まず、事情というのは、持って生まれたものや育った環境、現在置かれている状況や今日の気分など、まさにその人にしかわからない事情のことを言います。
これらの事情に基づく、自分にしか分からない領域を"自分の領域"であると考え、相手にしかわからない領域を"相手の領域"であると考えます。
対人関係の多くの問題が、相手の領域に土足で入り込んだり、自分の領域について責任を持たなかったりする(土足で入り込ませることも含む)結果として起こります。
相手の領域に入り込む例え
相手の領域に土足で入り込むというのは、相手の事情も知らずに何かを決めつけたり、価値観を押し付けたりすることです。
例えば、ちょっぴりもれたろうくんが、出会った人に「あなたはパンツにおしっこをちょっぴりもらしてますか?」と尋ねたとします。
相手から「違います!」と言われた時に、「いやいやウソをおっしゃい!そんなに困った素振りをしているのは、パンツにおしっこをちょっぴりもらしているからに違いない!いいからパンツを見せなさい!」と返したとします。
こうなると困った問題に発展する可能性が高いですよね。
あと、日常でよくある、「あなたのためを思って。。。」っていうアレ。
あれも相手の領域に入り込んでしまう行為。よくトラブルになります。笑
自分の領域について責任を持たない例え
一方で、自分の領域について責任を持たないというのは、「言わなくてもわかるはず」と何も言わずに自分の顔色をよませようとしたりすることです。
例えば、もれたろうくんがトイレに行こうとするたび、母親は「またパンツにおしっこをちょっぴりもらすのではないだろうか。」と思って機嫌が悪くなります。
この時に、「パンツにおしっこをちょっぴりもらさないように気を付けてね。」とひと言添えることができれば、母親にとっての最悪な事態は回避されるかもしれませんが、それを言わずに顔色をよませようとします。すると、どうなるか?
その後、もれたろうくんが母親の顔色をよむことなく、いつものようにパンツにおしっこをちょっぴりもらしてしまうと、「私が嫌がるとわかってるくせに、なんでそんなことするのよ!」ということになって怒り出すという結末が待っていると考えられます。
これが繰り返されると、親子間での困った深刻な問題になっていきそうですよね。
<例えはここまで>
しかし、「人は誰もがその人にしかわからない事情をもっている」ということを知っておくことで、自分の領域と相手の領域をしっかり区別することができるようになっていきます。
自分の領域と相手の領域をしっかり区別することができるようになれば、相手の領域に土足で入り込みこむことはなくなり、自分の領域に責任をもつこともできるようになっていきます。
それによって、先述した例えのような対人関係の問題が起きにくくなると、お互いの事情を尊重したコミュニケーションが増えて、相対的に対人関係が良くなっていく、ということが考えられるわけです。
お互いの事情を尊重したコミュニケーションには、アサーション・トレーニングや、アイ・メッセージなどが役に立ちますので、また改めてそれらについて学んだことをシェアしたいと思います。
自分の領域を知ることで対人関係を良くしていくことについては、こちらの記事にも詳しく書いてありますので、あわせて読んでみてくださいね。
親子で読んでみるのがオススメ!
『おしっこちょっぴりもれたろう』は、素直に可愛らしさやストーリーの面白さを楽しむのも良いですが、親子で人との関わり方について学べるよい教材でもあります。
「みんなそれぞれにその人にしかわからない事情があるんだ」ということを、小さい頃から知っていれば、少なくともLINEの返信がすぐに返ってこなかっただけで相手を嫌いになったり、逆に嫌われたんじゃないかと不安になったりということにはならないのではないかと思いますし、大人になって対人関係で苦労することもかなり少なくなるのではないかと思います。
また、これからの日本社会はどんどん多様化が進み、いろんな価値観、人種、性別、年齢、職業などなど、自分とは違う人と接する機会がとても多くなることが予想されます。
そんな社会において、この「みんなそれぞれにその人にしかわからない事情があるんだ」という考え方があれば、相手のことを理解・尊重することができるし、自分のこともしっかり守ることができるので、うまく渡り歩いていけるのではないかと思います。
おわりに
いかかがでしたか?
今回は『おしっこちょっぴりもれたろう』に書かれている対人関係を良くするヒントについてシェアしました。
絵本は子どもが読むものというイメージが強いかと思いますが、いやいやどうして、大人が読むと「こんなに深い内容だったのか!」と感心させられることが多いんです。
また、気持ちが軽くなったり、生きやすくなったり、幸せを感じられたり、気づきを得たりすることもあります。
絵本を「こころの処方箋」としてセラピーに用いるセラピスト、カウンセラーもいるくらい、絵本は大人にとっても素晴らしいツールです。
僕の友人にも、素敵な絵本セラピストがいますよ。
絵本セラピストについてはこちら↓↓
本屋さんに立ち寄った時は、絵本のコーナーものぞいてみて、ピンときたものを手にとって読んでみてくださいね!
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参考文献
本文中にも書かせて頂いた対人関係療法の水島広子先生の本。
【自分の領域と相手の領域を区別する】を柱にして、いろんな事例が載っていますので、【自分の領域と相手の領域を区別する】を理解するにはもってこいの本です。
誰と会っても疲れない「気づかい」のコツ 対人関係療法のプロが教える
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
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