ココロの皮むき

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【コード・ブルーに登場】PTSDを治療する持続エクスポージャー法について調べてみた

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こんにちは。どいつよしです。

 

劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』が、Amazon Prime Videoで配信開始みたいですね。

 

この劇場版の公開と同時に、テレビでは、『コード・ブルー特別編-もう一つの戦場-』が放送されていました。

 

『コード・ブルー3』のドクター・ヘリ墜落事故で精神的ダメージを負った灰谷先生(成田凌)に焦点を当て、

 

彼が困難を乗り越えて再びヘリに乗れるようになるまでの軌跡が、ドラマ後半の総集編をまじえながら描かれていました。

 

あの特別編で、灰谷先生がカウンセリングに取り組む姿が何度も登場してましたが、心理学を学んでいる僕は、やっぱりそれが何という療法なのか気になってしかたない。

 

たぶん、認知行動療法の類だと思うのだけれど、ちゃんと知りたくて仕方なくなったので、調べてみることにしました。

 

PTSDという病気について調査報告

まず、灰谷先生が発症していると言われているPTSDについて調べてみました。

 

心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder)の頭文字をとってPTSD。

 

PTSDとは、

 

米国精神医学会診断統計マニュアル第5版(DSM-5)の基準によれば、

 

実際にまたは危うく死ぬ、深刻な怪我を負う、性的暴力など、精神的衝撃を受けるトラウマ(心的外傷)体験にさらされたことで生じる、特徴的なストレス症状群のことをさす。

 

出来事の例としては、災害、暴力、深刻な性被害、重度事故、戦闘、虐待などが挙げられる。そのような出来事に他人が巻き込まれるのを目撃することや、家族や親しい者が巻き込まれたのを知ることもトラウマ体験となる。また災害救援者の体験もトラウマと成り得る。

 

一般社団法人 日本トラウマティック・ストレス学会HPより引用

 

とのことです。

 

これをもとに、灰谷先生がPTSDになった原因は、ドクター・ヘリの墜落と患者の死、という2つの大きな精神的衝撃を与えるトラウマ体験が原因となっているように思います。

 

ただ、救命救急の常に瀕死の状態の患者に接したり、壮絶な現場に出向いたりという「トラウマとなるできごとに繰り返し極端にさらされる」日常や、強すぎる責任感も関与しているように思います。

 

PTSDの主な症状と診断について

PTSDの症状としては、「侵入症状」、「回避症状」、「認知と気分の陰性の変化」、「覚醒度と反応性の著しい変化」があります。

 

侵入症状とは?

トラウマとなった出来事に関する不快で苦痛な記憶が突然蘇ってきたり、悪夢として反復される。

 

また思い出したときに気持ちが動揺したり、身体生理的反応(動悸や発汗)を伴う。

 

回避症状とは?

出来事に関して思い出したり考えたりすることを極力避けようしたり、思い出させる人物、事物、状況や会話を回避する。

 

認知と気分の陰性の変化とは?

否定的な認知、興味や関心の喪失、周囲との疎隔感や孤立感を感じ、陽性の感情(幸福、愛情など)がもてなくなる。

 

覚醒度と反応性の著しい変化とは?

いらいら感、無謀または自己破壊的行動、過剰な警戒心、ちょっとした刺激にもひどくビクッとするような驚愕反応、集中困難、睡眠障害がみられる。

 

ということです。

 

※一般社団法人 日本トラウマティック・ストレス学会HPの説明がとてもわかりやすいので、それぞれ引用させていただきました。

 

ちなみに、上記の症状が1ヵ月以上持続し、それにより顕著な苦痛感や、社会生活や日常生活の機能に支障をきたしている場合、医学的にPTSDと診断されるそうです。

 

ドラマの中で灰谷先生は、トラウマとなった記憶が頭に浮かび、恐怖が再体験されてしまっていました。

 

そして、ドクター・ヘリに乗れなくなったのは、トラウマに関わる場面を避けるためだということになりますね。

 

その他にも、倉庫の隅で丸くなっているような気分の落ち込みや、睡眠薬を大量服薬するような自己破壊的行動もみられていました。

 

PTSDを治していくには?

PTSDは、不安を聞き、現実的な問題への対処をするなどの適切なサポートがあれば、多くの場合は自然に回復するそうです。

 

サポートする側がしてはいけないことは「なかったことにする」「忘れる」等の放置や無視なのだそうです。

 

ドラマの中でも

 

「PTSDの患者にさせないほうが良いこと。ツライ記憶を忘れさせること。

 

と主治医の二宮先生(泉里香)が、横峯先生(新木優子)に言っていました。

 

ただ、PTSDの症状に長く苦しむ場合は、SSRIというお薬を使った薬物療法と、認知行動療法が行われるようです。

 

やっぱり、認知行動療法でした。笑

 

PTSD治療に使われる認知行動療法の調査報告

さて、ドラマの中で登場してきたカウンセリング手法は、どうやら認知行動療法のひとつの持続エクスポージャー法というものである可能性が高いです。

 

この療法は実際にPTSDの治療法として使われているものです。

 

持続エクスポージャー法とは、トラウマ的なできごとをイメージしたり、現実的な問題に向き合っていくことで、

 

トラウマ的なできごとと、それに似てはいるが危険ではないできごとの区別ができるようになり、恐怖感を減らすというもの。

 

ドラマの中で言われていた、

 

「治療のために必要なことは、はかりしれない不安や恐怖、それらに圧倒されることなく、体験を思い出せるようになること。

 

を目指すわけです。

 

そして、持続エクスポージャー法は、現実エクスポージャー想像エクスポージャーの2つの手法を使って、恐怖感を克服していきます。

 

灰谷先生がヘリに乗って現実的な問題(ヘリに乗ってヘッドセットをつけて喋ろうとすると、トラウマがフラッシュバックしてパニック状態になる)に向き合おうとしていたのを、現実エクスポージャー、

 

診察室で震えながらトラウマ記憶を話し、それを二宮先生が「その辛さは何点?」と聞いて点数をつけていっていたのを、想像エクスポージャー

 

と言うようです。

 

この治療が大変なのは、苦手な場面に身をさらしたり、トラウマ的なできごとを克明に思い出さないといけないこと、そして、30分以上おこなわないと不安が低減しないこと。

 

いちばんツライ場面について話さないといけない時には、抑えていた感情が一気に溢れ出すそうです。でも、感情が溢れ出すと同時に症状が一気に改善することが多いとのこと。

 

カタルシス効果というやつですね。

 

症状が改善してくると、治療の成果を振り返り、さらに今後つらい気分が再発した時の対処法も考えていくようです。

 

おわりに

いかがでしたか?

 

今日は、『コード・ブルー特別編-もう一つの戦場-』で登場してきた、灰谷先生が受けていた心理カウンセリングの手法について調べたことをシェアしました。

 

ちなみに、トラウマ的なできごとはあっても、PTSDを発症する人はその一部とのこと。

 

灰谷先生がPTSDになったのは、ヘリの墜落や患者の死、仲間の処分を「全て自分のせい」にしてしまったことも関係しているのかもしれませんね。

 

復活した灰谷先生がどんな活躍を見せるのか、『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』もチェックしよう思います。

 

なお、詳しく、持続エクスポージャー法について知りたい人は、今回の記事の参考文献でもあるこちらを読んでいただくとわかりやすいかと思います。 

 

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル(治療者用) [持続エクスポージャー療法/PE 療法] https://bit.ly/2ADtcIR

 

そして、ドラマを見逃している場合は、こちらで観ることができます。ただし、公式のものではないので、削除される可能性も高いですが。ぜひ、削除される前に観てしまいましょう。

 

コード・ブルー特別編 ―もう一つの戦場― 前半

 

コード・ブルー特別編 ―もう一つの戦場― 後半

 

また、『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ救急救命-』は、Amazon Prime Videoで配信中です。

 

ぜひ、下のバナーからAmazon Prime Video チャンネル無料体験登録をして観てみてくださいね!

 

 

 

 

参考文献

今回の記事を書くにあたって、文献と本を参考にさせて頂きました。認知行動療法や持続エクスポージャー法がどのようなものなのかを知るには、とてもわかりやすいものなので、興味があればぜひ一度読んでみてください。


まずは、『図解 やさしくわかる認知行動療法』。東京家政大学の福井至先生監修の認知行動療法の入門書。絵と図でわかりやすく認知行動療法を紹介してくれています。僕も持っています!

 

 

そして、先程も紹介しましたが、インターネット上で見つけた、持続エクスポージャー法によるPTSD治療について書かれたもの。持続エクスポージャー法をどのようにしておこなっていくのかが詳しく書かれていて、とても勉強になりました!

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル(治療者用) [持続エクスポージャー療法/PE 療法] https://bit.ly/2ADtcIR

 

もうひとつ、PTSDについて、わかりやすく説明してくれているのが、日本トラウマティック・ストレス学会のHP。専門用語をあまり使わずに、私たちが普段慣れ親しんでいる言葉で説明してくれています!

合わせてどうぞ