ココロの皮むき

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「他人の評価なんて気にしない!」アドラー心理学の第一人者から教わった"自分らしくありたい人が知っておくべき3つの自尊心"

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産業カウンセラー四国支部(愛媛県松山市)で開催された、アドラー心理学講座を受講してきました!
 
講師はアドラー心理学の第一人者、早稲田大学の向後千春先生!
 
前回はアドラー心理学の中心概念のひとつ、劣等感について振返りました。 

今回は劣等感と関係のある自尊心についてのお話。さっそく振り返っていきます!

✿自尊心とは?

自分自身についての評価、あるいは自分自身に対する態度のこと。
 

アドラー心理学の3つの自尊心

1.他者との比較によるもの。
基準あるいは目標とする他者と自分を比べて、自分がより優れていれば、自尊心は高まる。

例)「わたしはあの人に勝った」
 

他者よりも自分が劣っていることが明らかになれば、自尊心は下がる。

例)「わたしはあの人に負けた。ダメな人間だ」
 
2.他者からの評価によるもの。
自分の行動に対してまわりの人から「すばらしい」と評価されれば自尊心が高まる。

逆に「たいしたことない」言われれば、自尊心は下がる。
3.「自分らしくある」というもの。(本来の自尊心)
自分が持っている「自己理想(なりたい姿)」に照らしてみて、自分の活動がそれを追求していっているというかどうかを自分で評価することでできあがる。

例)「自分はまだまだだ、でもここまではできるようになっている」
 
ちなみに、
1と2は他者や外的な基準に依存していると言われており、3は他者に依存することがありません。
 

✿自分の自尊心を知ろう

望むところは「本来の自尊心」を持つことですが、
「今の自分は果たしてどんな自尊心を持っているのだろうか?」
を知らないと話が進みませんよね。

それを知るために講座では、
「最近あるいは昔のことで自分の自尊心が脅かされたことを思い出して書く」
というワークを行いました。

自尊心が脅かされた出来事について、

  1. 「どのようなきっかけだったか」
  2. 「自分の何が脅かされていると思ったか」
  3. 「そのあと、どのようにして持ち直したか」

という3つの質問に答えていくものです。

質問に答えた結果で、自分の持っている自尊心が3つのうちのどれなのかが把握できます。

答えていく中で、他者の存在や視線、社会の常識など、外からの評価を感じることがあれば、今は「本来の自尊心」を持っていないということになります。

✿本来の自尊心を育てるのは難しい

自分が持っている自尊心がある程度理解できたら、今度は、「本来の自尊心」をどうやって手に入れて育てていけばいいのか?という課題が出てきます。

繰返しになりますが、
「本来の自尊心」は、自分が持っている「自己理想(なりたい姿)」に照らしてみて、自分の活動がそれを追求していっているというかどうかを自分で評価することでできあがるものです。

そして、外からの評価に左右されない自分らしさや、自分の独自性を目指して進んでいくことによって育まれるものです。
 
でも、現代の社会では、常に他の人との比較や競争、そしてその結果に基づく評価がされています。なので自己理想に基づく自尊心は、なかなか意識することができないというのが現実の私たちの姿なんだそうです。
 
…厄介ですね。

✿本来の自尊心を持つためにどうすればいいのか?

では、本来の自尊心を持つために私たちはどうすればいいのでしょうか?
向後先生は「健全な自己概念を持つ」ことだと言っています。

健全な自己概念を持つって?

では、「健全な自己概念を持つ」ということはどういうことなのでしょうか?

ここで、すこし用語のおさらいをしましょう。

  • 自己概念とは・・・「自己理想に対しての、現在の自分についてのイメージ」のことでした。
  • 自己理想とは・・・理想的な自分のイメージ。そして、自己理想は永遠に到達できないものでした。
  • 劣等感とは・・・自己理想を追求していく中で、今の自分が劣っていると感じることにより起きるものでした。

向後先生によると、
健全な自己概念を持つために大事なことは、理想の自分と現在の自分を比べて起きる「自分はまだまだだ、でもそこそこ良くやっている」という感覚を受け入れることなのだそうです。

ですので、他人と自分を比べて起きる「優越コンプレックス」や「劣等コンプレックス」による自己概念は違うということですね。

そして、
健全な自己概念を持つことは、 
理想の自分と現在の自分を比べて起きる「自分はまだまだだ、でもそこそこ良くやっている」という感覚を受け入れた自分のイメージ を持つこと。
ということになりますね。

「健全な自己概念」を、「等身大の自分」「ありのままの自分」という言葉に置き換えるとわかりやすい人もいるかもしれません。

「理想の自分にはまだまだだけど、それに向かって努力している私でいいんだ〜 」と自然に思えるようになると、他人と比較することもなくなり、それにともなって失敗を恐れることもなくなりそうですよね。

ここまでの話をまとめると、
「健全な自己概念を持つ」ことによって、他人と比べることなく、自分のやり方、自分のペースで自己理想を追い求めていく。そして、そのことを「今の自分は努力している過程にあり、それによって成長している」と感じられることで、本来の自尊心が育まれていく
ということになるということですね。
 

✿健全な自己概念を持ち自尊心を高めるコツ

ここからは僕の考えになります。
健全な自己概念を持ち、本来の自尊心を育むには、とにかく他人と比べることを止めなければなりません。他人と比べない代わりに、なりたい自分のイメージをしっかりと持つことが必要になってきます。

ただ、「なりたい自分のイメージを持て」といきなり言われても、そう簡単に持てるものでもないかと思います。しかし、「なりたい自分のイメージを持つ」ことに最適な方法があります。それは、また別の日にお話したいと思います。笑

他には、完璧を求めすぎないこと、ミスを許せるようになることがあります。これは、先述した、「自分はまだまだだ、でもそこそこ良くやっている」という感覚(劣等感)を受け入れることにより可能になると思います。

そして、人生を振り返って、「完璧でなかったけどうまくいっていること」「ミスったけどうまくいったこと」などを思い出して書き出してみると、案外、うまくやってこれたことに気付き、「完璧でなくてもいいんだ〜」「ミスってもいいんだ〜」と思えるようになるかもしれません。

✿最後に

「本来の自尊心」と、それを持ち育むために必要な「健全な自己概念」を持つためには、常に他の人との比較や競争、そしてその結果に基づく評価がされている現代社会においては難しさがつきまといます。

しかし、ここ数年に渡りアドラー心理学が注目を浴び続けているということは、少なからず、その難題に挑もうとする人が増えていっているということが言えると思います。そして、その人達が増えていくに従って、現代社会の様子も変わってくるのではないでしょうか。

僕も難題に挑む一人として、「本来の自尊心」と、それを持ち育むために必要な「健全な自己概念」を持ち続けるための取り組みを続けていき、少しでも多くこのブログを通じてお伝えしていければと思います。

✿劣等感についての記事はこちらをどうぞ

kokoronokawamuki.hatenadiary.jp

 

✿向後先生の書籍紹介

はじめにも書きましたが、向後先生のアドラー本は本当にわかりやすくオススメです。僕は岸見一郎先生の『嫌われる勇気』でアドラーに初めて触れましたが、きちんとアドラーの理論を実践できるようになったのは、向後先生の本でした。さすがは、現場で「教えること」を教えている先生だけあります。
最新刊の『幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉』も良いですが、アドラーに初めて触れられるという方には、『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』か『コミックでわかるアドラー心理学』をオススメします!
向後先生の本からアドラーに触れて、幸せに生きるエッセンスを日常生活に取り入れて、豊かな人生を送っていきませんか?

 

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

 
人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ

人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ

 
アドラー“実践

アドラー“実践"講義 幸せに生きる (知の扉)

 
コミックでわかるアドラー心理学

コミックでわかるアドラー心理学

 

この記事の参考文献:
『幸せな劣等感 アドラー心理学〈実践編〉』向後千春 著

蓮池町通電停前のセブン○レブンのおばちゃんがコンプリメントの達人だった話

少し前に、SFAのコンプリメントについての記事を投稿しました。それから少しして日常でコンプリメントにまつわるこんなエピソードに出会いましたので紹介しますね。
 
先日、高知市民のほぼ誰もが知っている、あのルイ・ヴィトンを乗っ取った(笑)コンビニに立ち寄った時のお話です。
 

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参照:http://bit.ly/2rMdFjp

 

「県外の方ですか?」
レジで精算をしようとした時におばちゃんに声をかけられました。

「いえいえ、高知県人ですが、県外に長くいたもので^_^」
と僕。

「いやぁ、言葉遣いがキレイやから、てっきり県外の人かと思いましたー。高知の人はもっとがいな(きつい)感じやき。」
とおばちゃん。

「そうですか!?意識したことなかったです。」
と僕。

「でも、それ続けて下さいね! すごく丁寧で感じが良いので^_^」
とおばちゃん。

いやぁ、素直に嬉しかったなぁ。

なんか毎日これと言って意識することなく、フツーに当たり前にやってることを称賛されるって新鮮だったし、むしろ砕けた喋り方ができないことがコンプレックスだったくらいなので。

毎日たくさんの類のお客さんの相手をしている人から言われた訳やから、ポジティブに受け止めて自信もってええんやなという気持ちになり、自分の喋り方で相手に良い影響を与えられたって凄いことやなって自画自賛しました。笑

そして、
別に砕けた喋り方ができなくても、今のままで良くて、決してネガティヴに捉える必要もないんだな、
ということに気づく。

その後出勤した職場では普段よりも丁寧に職員さんと接する僕の姿がありました。笑


すっかり、おばちゃんにがっつりコンプリメントされました!

おばちゃんのおかげで、その人が当たり前だと思っていることは、他人からみると当たり前ではない特別なことである場合があるということを再認識。

そして、そこを見逃さないで、つまみ出して相手に伝えられるかがコンプリメントの鍵やなと思いました。


そして、おばちゃんのように
「それ続けて下さいね!」
とひと言付け加えるだけで、コンプリメントを強化させることができるということも。

人の気持ちを元気にさせるコンプリメントの力を身を以て体験したおかげで、おばちゃんに負けずますますコンプリメントを実践していこうと思います。

ちなみにコンプリメントとは称賛やねぎらいの言葉をかけること。

コンプリメントについてはこちらを読んでみてくださいね。
 

kokoronokawamuki.hatenadiary.jp

 

 

 

 
 

「劣等感は悪くない!」アドラー心理学の第一人者から教わった劣等感との付き合い方

産業カウンセラー四国支部愛媛県松山市)で開催された、アドラー心理学講座を受講してきました!
 

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講師はアドラー心理学の第一人者、早稲田大学の向後千春先生!
 
向後先生のアドラー解説は、先生の著書を読んでもわかるように本当に解りやすく実践に落とし込みやすいのが特徴です。
 
ちなみに向後先生によると、アドラー心理学の中心的概念は、
  1. 劣等感
  2. ライフスタイル
  3. 共同体感覚
とのこと。
 
今回の講座では、主に「劣等感」と「ライフスタイル」について重点的に学ぶ内容になりました。
 
それではさっそく、劣等感についての部分を振り返っていきます!
 
 

✿劣等感は悪いものではない!

アドラー心理学において劣等感は、
「理想の自分から比べれば、今の自分はたしかに劣っている。その時に感じる感覚」
という意味であり、ネガティブや後ろ向きという感じではないとされます。
 
劣等感を理解するためには次の3つの言葉を知っておく必要があります。
・自己理想(Self-ideal):人には誰しもが持つ「なりたい自分のイメージ」。
・自己概念(Self-concept):現在の自分自身のイメージ。
・優越の追求:理想の状態を追求すること。向上したいと願うこと。
 

❀劣等感を感じるメカニズム

劣等感を感じるメカニズムはこうです。
 
私たちは、自己理想に対して、自分が現在のところどういう人間なのか、またどのくらいよくやっているかを常にモニターしています。そして、モニターした結果によって自己概念をつくり出しています。
 
現在の自分である自己概念から、なりたい自己である自己理想を目指して、優越を追求しているのが私たち。
 
自己理想のイメージは近づくことはあっても、それは永遠に実現するものではありません。だから私たちは常に自分が未熟であることを感じざるをえません。
 
この自分が未熟である感覚を「劣等感」とアドラーは名付けました。
 
ちなみに、自己理想は常に高いところにあるもので、それと自己概念を比べて劣等感を抱くのはごく当たり前のことなんだそうです。誰もがみな優れた自分を目指し、多かれ少なかれ劣等感を抱いて日々暮らしているとのことです。
 
・・・こういうふうに劣等感を捉えると、「劣等感は持っていていいんだ〜」と思えるようになりませんか? また、「初めから解消されることがない」と前向きな諦めをしておくことで、安心して劣等感を受け入れられるのではないでしょうか。少なくとも僕は安心感を得ることができました。 

❀劣等感は成長の素になる!

アドラーは成長に欠かせないものとして「補償」という行動を挙げています。
 
「補償」とは、私たちが劣等感を覚えた時、まだ未熟な自分を乗り越えようと考えて、なんらかの努力をすることです。補償という行動をして、なんとか自己理想に近づこうするわけです。
 
補償の内容は様々です。それは個人が自由に決めることができるもので、直接的に関係のある行為だけでなく、他の分野で努力したりすることも含まれます。
 
・・・自分の夢を実現するべく頑張ったけれど花開かず、別の職業で大成した人の話はよく聞きますが、まさにそういうことですね。
 

❀劣等感があるからこそ創造や貢献が生まれる

ここまでお読み頂いてだいたいおわかりかと思いますが、アドラー心理学における「劣等感」は、自分が持っている自己理想と現在の自己概念との比較において生じる感覚です。
 
向後先生は
「劣等感を覚えながら、自己理想に向かって、優越を追求していく中で、何かを創造したり、人や社会のために貢献するというような、社会的に意味のあることを成し遂げられるようになっていく」
と言っていました。
 
・・・この言葉を聞いて、ふと、料理研究科の小林カツ代さんが思い浮かびました。小林さんは、「どんなに忙しくても美味しいごはんを家族に食べさせたい」という思いを常にもっていたそうです。小林さんが家庭料理の世界に革命を起こした時短料理は、アドラー的に言えば、小林さんの自己理想の追求の過程で生まれてきたものであるということになりませんでしょうか。
 

✿他者との比較による劣等感は自分を苦しめる

一方で、劣等感を自己理想の追求としてではなく、他者との比較というかたちで追求するとどうなるのか。
 
「現在の自分と他の誰かを比較して、自分が劣っていると感じる感覚としての劣等感は、その人よりも自分が優秀であることを示さない限り解消されない」
と言っているそうです。
 
相手より自分が優秀であることを示すにはどうするのか?
その答えは、「相手と敵対して、相手に勝つこと」です。
 
でも、スポーツやゲームとは違い、日常場面で誰かと争って勝敗が明白に決まることはあまりない。そこで、見かけだけの「自分の優越」を作り出して、自分が相手よりも優れていて、勝っていることを示そうとします。
 
こういうことをアドラーは「優越コンプレックス」と名付けています。
 
優越コンプレックスにとらわれた人の行動の特徴は、常に「私はあなたよりも優れている」「私はあなたよりも強い」「私はあなたよりも幸せだ」ということを、言葉や態度で示し続けるのだそうです。
 
・・・う〜ん。ちょっと耳が痛いかも。以前の僕はそういうところあったかもしれないなぁと思いながらお話を聞いていました。そして、自分の身の回りにもそういう人いるなぁと。また、会社とかで若くして昇進した人に多かったりするかなとも思います。「偉くなった途端、人が変わった」と言われる人がこれかなと。
 
この反対で、常に相手より劣っていようとする「劣等コンプレックス」もあります。こちらは失敗することを恐れるがあまり、何かにつけて「自分はどうせやってもダメだから、やらない」と、優越の追求を回避し続けることです。もしかすると、ひきこもりの人たちには、「劣等コンプレックス」を持っている人が結構いるのかもしれません。
 
ちなみに、「優劣コンプレックス」「劣等コンプレックス」の人はともに、自分の課題から回避していることになります。本来は理想の自分に向かう為に努力するべきところを、それができていない訳ですから。
 

✿健全な劣等感を持つためにどうすればいいのか?

ここからは僕の考えなのですが、まずは自分の劣等感の出処を把握することが大事なのではないでしょうか。
 
「あぁ、自分はまだまだだな」と思った時に、それが、自己理想と比べてのものなのか、他者と比べてのものなのか、いちど振り返ってみることは大事だと思います。他者と比べ、自分に嘘をついて他者に勝つことばかりに力を注ぐ人生って疲れますよね。
 
また、自己理想が高すぎはしないか、検討することも必要です。自己理想が高すぎると、優越の追求の道のりにおける小さな進歩を見逃してしまいがちになります。「自分は、全然進歩できてない!」とか「自分はダメな奴だ」と自己否定をしてしまい、悪いことには他者との比較で優越を求める方へ進んでしまう危険性があると思います。
 
劣等感を抱くことでしんどい思いをしているのであれば、一度、自分自身と向き合うことがオススメですね。
 
そして、自己理想を再確認・再構築した上で、それへ向けて「一番簡単にできること」を考えてやってみる。それが、劣等感を成長のエネルギーに変えていく第一歩になるのではないかと思います。
 

✿最後に

今回の講座で、劣等感に対する認識がかなりポジティブなものに変わりました。自分の理想の姿と今の自分を比べて「まだまだだな」と思って、いろいろと試行錯誤を繰返すことはむしろ健康的なことなんだと思えるようになりました。
 
また、向後先生の「自己理想は自分が決めるもので、優越の追求の仕方やペースも全て自分が自由に決めていい」という言葉で、かなり気持ちが楽になりました。「誰のものでもない、自分の人生、好きなようにやっていっていいんだよ。」と背中を押してもらえた気がします。
 
劣等感を成長のエネルギーに変えて、これからも自己理想を追い求めていこうと思います!
 

✿向後先生の書籍紹介

はじめにも書きましたが、向後先生のアドラー本は本当にわかりやすくオススメです。僕は岸見一郎先生の『嫌われる勇気』でアドラーに初めて触れましたが、きちんとアドラーの理論を実践できるようになったのは、向後先生の本でした。さすがは、現場で「教えること」を教えている先生だけあります。
最新刊の『幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉』も良いですが、アドラーに初めて触れられるという方には、『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』か『コミックでわかるアドラー心理学』をオススメします!
向後先生の本からアドラーに触れて、幸せに生きるエッセンスを日常生活に取り入れて、豊かな人生を送っていきませんか?

 

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

 
人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ

人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ

 
アドラー“実践

アドラー“実践"講義 幸せに生きる (知の扉)

 
コミックでわかるアドラー心理学

コミックでわかるアドラー心理学

 

この記事の参考文献:
『幸せな劣等感 アドラー心理学〈実践編〉』向後千春 著

相手を元気にするコンプリメントをソリューションフォーカストアプローチセミナーで学んできた

4月から月イチで通っている、ソリューションフォーカストアプローチ(SFA)講座。先日、第2回目を受講してきました。

 

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※セミナー会場近くにある川沿いがとてもキレイでした!

 

第二回目のテーマはコンプリメント。

コンプリメントはSFAにおいてすごく大事なスキルとのこと。

では、さっそく振り返っていきましょう。 

 

 

✿コンプリメントとは?

「称賛」や「ねぎらい」のこと。

クライアントが元気になる、自己評価を高める言動(自信がつく言葉)を示します。

自己評価を高める言動の資源には個人的資質と過去の成功がなります。

 

話の中で、個人的資質や過去の成功を見出し、こちらから提示していくことで、クライアントの健康な部分を再認識し増幅してもらうことを一番の目的とします。

 

✿コンプリメントには3種類ある。

❀直接的コンプリメント

クライアントに対して肯定的評価、肯定的反応を示すことです。

例)辛い中よくここまでやってこられましたね。

☆来談者中心療法でも使用されるクライアントを労う言葉でもあります。

 

❀間接的コンプリメント

クライアントに肯定的なものを含む質問をすることです。

例)どうやって辛い中でこれほどのことができたのですか?

☆ここが来談者中心療法ではやらない部分です。SFAのコンプリメントではとても重要なところです。

 

❀セルフコンプリメント

クライアント自身が自分の力を述べることです。

例)(間接的コンプリメントを受けて)毎日、「明日は必ずやってくる、いつかきっと光が射す日がやってくる」と自分に言い聞かせて、過ごしてきたんです。

☆クライアントがポジティブな自分の体験を語ることができれば、セルフコンプリメントになり、さらにカウンセラーは「どこで、そのやり方を思いついたのですか?」などの間接的コンプリメントを続けていき、セルフコンプリメントを補強する。ここがSFAのカウンセリングの特徴的な流れとなります。

 

✿コンプリメントを使用する時は?

クライアントの反応に合わせて適宜。一回ではなく何度でも。

❀カウンセリングの冒頭からコンプリメントはできる。

例)「今日は遠いところよくお越しくださいました。」

  「雨降りしきる中、よくお越しくださいました。」

 

✿コンプリメントを行う上で気をつけること

・あくまでも「元気になってもらう」ために使うものであるということ。

・ヒットしないコンプリメントもある。ヒットしなければ他の長所を見つけていく。

・カウンセラー「いいな」と思ったことを言うこと。「お世辞」や「クライアントをコントロールする為」のものではない。

・クライアントと同等であること。クライアントと上下の関係になる「褒める」とは違う。

 

✿コンプリメントをするコツ

クライアントの良いところを虫眼鏡で探してピンセットでつまんで顕微鏡でみるようにするイメージだそうです。

 

☆相手をよく観察することが大事

例)「髪切ったね」と言ったその後に

  →似合っている→「似合っていますよ」と言う

  →似合っていない→「髪切ったね」で止める

 

☆クライアントのネガティブな発言の反対の言い方を考える。

例)「私は事務仕事しかできないんです。」

  →「〇〇さんは事務仕事ならできるのですね。」

  「私は臆病でして・・・」

  →「〇〇さんは慎重に物事を進められるんですね。」

↑クライアントがネガティブに捉えていることも見方を変えるとポジティブになるということへの気付きを促します。クライアントが気付けばセルフコンプリメントになります。

 

✿ロールプレイで実践する

この日も最後はロールプレイ。

今回はロールプレイの時間内で、「繰返し、要約、コンプリメント」を少々強引でも良いから入れることを目標に臨みました。

 

❀カウンセリングスタート時の決め台詞はこれ!

今日はここでどんなお話ができれば良いでしょうか?

→目的へ向けて焦点を当てる質問

 

原因よりも「どうなりたいのか」に焦点をあててカウンセリングを進めていくために、一番最初に必ずしたい質問だそうです。

 

❀ロールプレイをやっての感想。

直接的コンプリメントはしやすいが、間接的コンプリメントは産業カウンセラー養成講座では習わないものなので、やりにくさを感じながらのロールプレイにはなりました。猪野先生もおっしゃっていましたが、コンプリメントは普段のコミュニケーションの中でも使えるものなので、普段のコミュニケーションで直接的コンプリメントと間接的コンプリメントを使うようにしてみようと思います。とにかく、間接的コンプリメントはSFAのカウンセリングの成否に関わる重要なテクニックだと思うので、使いこなせるようにしたいですね。

 

✿最後に

コンプリメントはねぎらいや称賛の言葉。普段から使いこなせるようになれば対人関係もグッと良くなると思います。その為にも、普段から相手の言動や行動、価値観や考え方を細かく観察していくことが必要かな。それと、カウンセリングスタート時の「今日はどんなお話しができれば良いでしょうか?」はSFAだけでなく、他の場面にも使えそうです。

次回までの課題は、日常でたくさんコンプリメントをすること!コンプリメントマスターを目指して頑張ります!

「傾聴の基本」繰返しと要約の秘訣をソリューションフォーカストアプローチセミナーで学んできた

4月からソリューションフォーカストアプローチ(SFA)のセミナーへ月イチで通うことにしました!

講師は四国SFA高知の猪野久子先生。

桜満開の高知城の下を通って会場へ。

 

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思っていたよりもたくさん人が受講していて、会場は熱気でムンムン!猪野先生によると、産業カウンセラー協会主催で先生が登壇されたSFA講座が好評だったようで、産業カウンセラーの人からの申込みが多かったとのこと。もちろん、僕もその一人(笑)。先生のユーモアを交えた穏やかな語り口で、講座は終始和やかな雰囲気に包まれていました。

では、今回学んだことを忘れないうちに記録していきます!

 

✿ソリューションフォーカストアプローチ(SFA)とは?

SFAはブリーフ・セラピー(短期療法)のひとつ。ブリーフ・セラピーとは、短期の治療を目指しているのではなく、効率のよい治療を目指した結果、短期に解決することが多かったということからつけられた名称です。 

創始者は

・スティーブ・ディ・シェイザー

・インスー・キム・バーグ

のお二人。

多数の面接ビデオを分析して、解決に有効であった介入要素を帰納的に抽出し誕生したそうです。

 

✿SFAの良いところ

①疲れない。笑顔でクライエントと別れる。

②面接の回数が平均2.9回と短期。

③習得したスキルや質問を使えばできる。

☆この「習得したスキルや質問を使えばできる」という部分が魅力的で、カウンセリングとまでいかない、普段の仕事の中でちょっとした相談ごとに使えるなと感じました。リピーターの方で実際にそのような使い方をしている方もいらっしゃいました。

 

✿SFAにおけるカウンセラーの姿勢は?

カウンセラーは「知らない姿勢」でクライアントの話を聴く。そのためには自分の価値観を一旦脇に置くことが必要。

また、解決の方法を知っているのはクライアント自身であり、「クライアントは自分の生活の専門家である」ということを意識する。そのためにはクライエントの価値観を一旦受け止めることが必要。

そして、クライエントの話を聴きながらクリアに映像をうかべることができるなら「話を聴けていること」になり、映像をうかべることができないなら「話を聴けていない」状態であり、そのまま続けずにクライエントに訊くことが大事。 

☆「知らない姿勢」というのはフォーカシングやゲシュタルト療法のカウンセラーの姿勢と共通していると思いました。

 

✿SFAの特徴 

問題解決ではなく、解決構築に焦点をあてる!

原因を探ることに時間を費やすのではなく、解決した時について語っていただくことに時間を費やす。クライエントの健康な部分を増幅していく。

問題解決:問題を解決しようとするもの。

解決構築:問題をどうこうするのではなく解決した状態をつくっていくもの。

☆ここがSFAの特徴です。常に解決構築を意識しながら話を聴いていくことが、短期に解決することへとつながっていくわけですね。

 

✿SFAの聴き方①繰返し

目的:クライエントにわかってもらえたと思ってもらうことで関係をつくること

内容:クライエントが話した内容を繰返す。繰返す部分は、クライエントの言葉の最後の部分。

または、クライエントの話の中で感情が込められているフレーズ(キーワード)。

 

スムーズに繰返すコツ:繰り返しは独り言を言うようにするといい。

 

繰返しで気をつけること:感情を表す言葉に応答するロジャーズとは違う。事柄からクライエントの感情をカウンセラーが明確化することもあまりしない。

☆この「感情を表す言葉に応答しない」というのが、ロールプレイで一番ぎこちなさを感じました。でも、慣れてくるとこっちのほうが自然になるかも。

 

✿SFAの聴き方②要約

目的:クライエントにわかってもらえたと思ってもらうことで関係をつくること、話が途中で迷子にならないように確認する役割もある。

内容:クライエントが話した内容を、クライエントが大事にしていることやキーワード(感情が込められているフレーズ)を中心にまとめる。

☆産業カウンセラーの要約とほとんど同じだけど「クライエントが大事にしていること」とキーワード(感情が込められているフレーズ)を使うと決めておけば、たしかに要約を組み立てやすいなと思いました。

要約のタイミング:ダラダラと話が続いていきそうなら、一旦ストップをかけて要約をいれてもよい。キーワード(感情を込めて言った言葉)を使う。

もし、間違っていてもクライエントが修正してくれるので心配することはない。

☆要約はクライエントの言っていることと、カウンセラーが理解したことの確認の意味もあるので、要約をうまくできなくてクライエントが「違います」と言っても構わない。クイズではないということですよね。

 

✿SFAの聴き方③沈黙への対応

沈黙で困ったら、相手が最後に言った言葉を繰り返す。ただし、沈黙の意味をきちんと認識していくことは必要。

☆これは今までやったことが無かったので、チャンスがあればぜひトライしてみようと思います。

 

✿第一回目を終えた感想。

SFAは産業カウンセラー養成講座で学んだロジャーズと似たところと違うところがあり、ロールプレイでは違うところについてぎこちなさを強く感じました。

今回の講座で猪野先生は「いつも使ってない左手を使うイメージで望んでください」とおっしゃっておられました。普段の会話や、産業カウンセラーで学び染み付いているロジャーズの技法が右手なら、SFAの技法は左手。先生もロジャーズからSFAに来た時は、左手を使うぎこちなさを感じたとのことでした。

先生もはじめは僕と同じだったんだと思えると、トライする気持ちが高まります。これからロールプレイでは慣れてない左手を使うわけなので、失敗することを気にしないでやっていこうと思います。

まだ始まったばかりで技法も繰返しと要約しか習っていませんが、SFAのカウンセラーの聴く姿勢や技法は、僕に合っていると感じています。

 

来月はクライエントが元気になる、自己評価を高める言葉を伝えるコンプリメントを学ぶ予定です。それに向けて出された宿題が「自分をコンプリメントする言葉を100個書き出してくる」というもの。

相手の良さを知るには、まず自分の良さを知っておかないといけないということですね。来月も楽しみです。

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