ココロの皮むき

産業カウンセラーとキャリアコンサルタントの資格を取得してから心理学にどっぷりハマっている日々の忘備録。アドラーとかSFAとか受講したセミナーのこととか読んだ本のから得た気付きとか。とにかく心理学に繋がることなんでも忘れないように書いてます。

「劣等感は悪くない!」アドラー心理学の第一人者から教わった劣等感との付き合い方

産業カウンセラー四国支部愛媛県松山市)で開催された、アドラー心理学講座を受講してきました!
 

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講師はアドラー心理学の第一人者、早稲田大学の向後千春先生!
 
向後先生のアドラー解説は、先生の著書を読んでもわかるように本当に解りやすく実践に落とし込みやすいのが特徴です。
 
ちなみに向後先生によると、アドラー心理学の中心的概念は、
  1. 劣等感
  2. ライフスタイル
  3. 共同体感覚
とのこと。
 
今回の講座では、主に「劣等感」と「ライフスタイル」について重点的に学ぶ内容になりました。
 
それではさっそく、劣等感についての部分を振り返っていきます!
 
 

✿劣等感は悪いものではない!

アドラー心理学において劣等感は、
「理想の自分から比べれば、今の自分はたしかに劣っている。その時に感じる感覚」
という意味であり、ネガティブや後ろ向きという感じではないとされます。
 
劣等感を理解するためには次の3つの言葉を知っておく必要があります。
・自己理想(Self-ideal):人には誰しもが持つ「なりたい自分のイメージ」。
・自己概念(Self-concept):現在の自分自身のイメージ。
・優越の追求:理想の状態を追求すること。向上したいと願うこと。
 

❀劣等感を感じるメカニズム

劣等感を感じるメカニズムはこうです。
 
私たちは、自己理想に対して、自分が現在のところどういう人間なのか、またどのくらいよくやっているかを常にモニターしています。そして、モニターした結果によって自己概念をつくり出しています。
 
現在の自分である自己概念から、なりたい自己である自己理想を目指して、優越を追求しているのが私たち。
 
自己理想のイメージは近づくことはあっても、それは永遠に実現するものではありません。だから私たちは常に自分が未熟であることを感じざるをえません。
 
この自分が未熟である感覚を「劣等感」とアドラーは名付けました。
 
ちなみに、自己理想は常に高いところにあるもので、それと自己概念を比べて劣等感を抱くのはごく当たり前のことなんだそうです。誰もがみな優れた自分を目指し、多かれ少なかれ劣等感を抱いて日々暮らしているとのことです。
 
・・・こういうふうに劣等感を捉えると、「劣等感は持っていていいんだ〜」と思えるようになりませんか? また、「初めから解消されることがない」と前向きな諦めをしておくことで、安心して劣等感を受け入れられるのではないでしょうか。少なくとも僕は安心感を得ることができました。 

❀劣等感は成長の素になる!

アドラーは成長に欠かせないものとして「補償」という行動を挙げています。
 
「補償」とは、私たちが劣等感を覚えた時、まだ未熟な自分を乗り越えようと考えて、なんらかの努力をすることです。補償という行動をして、なんとか自己理想に近づこうするわけです。
 
補償の内容は様々です。それは個人が自由に決めることができるもので、直接的に関係のある行為だけでなく、他の分野で努力したりすることも含まれます。
 
・・・自分の夢を実現するべく頑張ったけれど花開かず、別の職業で大成した人の話はよく聞きますが、まさにそういうことですね。
 

❀劣等感があるからこそ創造や貢献が生まれる

ここまでお読み頂いてだいたいおわかりかと思いますが、アドラー心理学における「劣等感」は、自分が持っている自己理想と現在の自己概念との比較において生じる感覚です。
 
向後先生は
「劣等感を覚えながら、自己理想に向かって、優越を追求していく中で、何かを創造したり、人や社会のために貢献するというような、社会的に意味のあることを成し遂げられるようになっていく」
と言っていました。
 
・・・この言葉を聞いて、ふと、料理研究科の小林カツ代さんが思い浮かびました。小林さんは、「どんなに忙しくても美味しいごはんを家族に食べさせたい」という思いを常にもっていたそうです。小林さんが家庭料理の世界に革命を起こした時短料理は、アドラー的に言えば、小林さんの自己理想の追求の過程で生まれてきたものであるということになりませんでしょうか。
 

✿他者との比較による劣等感は自分を苦しめる

一方で、劣等感を自己理想の追求としてではなく、他者との比較というかたちで追求するとどうなるのか。
 
「現在の自分と他の誰かを比較して、自分が劣っていると感じる感覚としての劣等感は、その人よりも自分が優秀であることを示さない限り解消されない」
と言っているそうです。
 
相手より自分が優秀であることを示すにはどうするのか?
その答えは、「相手と敵対して、相手に勝つこと」です。
 
でも、スポーツやゲームとは違い、日常場面で誰かと争って勝敗が明白に決まることはあまりない。そこで、見かけだけの「自分の優越」を作り出して、自分が相手よりも優れていて、勝っていることを示そうとします。
 
こういうことをアドラーは「優越コンプレックス」と名付けています。
 
優越コンプレックスにとらわれた人の行動の特徴は、常に「私はあなたよりも優れている」「私はあなたよりも強い」「私はあなたよりも幸せだ」ということを、言葉や態度で示し続けるのだそうです。
 
・・・う〜ん。ちょっと耳が痛いかも。以前の僕はそういうところあったかもしれないなぁと思いながらお話を聞いていました。そして、自分の身の回りにもそういう人いるなぁと。また、会社とかで若くして昇進した人に多かったりするかなとも思います。「偉くなった途端、人が変わった」と言われる人がこれかなと。
 
この反対で、常に相手より劣っていようとする「劣等コンプレックス」もあります。こちらは失敗することを恐れるがあまり、何かにつけて「自分はどうせやってもダメだから、やらない」と、優越の追求を回避し続けることです。もしかすると、ひきこもりの人たちには、「劣等コンプレックス」を持っている人が結構いるのかもしれません。
 
ちなみに、「優劣コンプレックス」「劣等コンプレックス」の人はともに、自分の課題から回避していることになります。本来は理想の自分に向かう為に努力するべきところを、それができていない訳ですから。
 

✿健全な劣等感を持つためにどうすればいいのか?

ここからは僕の考えなのですが、まずは自分の劣等感の出処を把握することが大事なのではないでしょうか。
 
「あぁ、自分はまだまだだな」と思った時に、それが、自己理想と比べてのものなのか、他者と比べてのものなのか、いちど振り返ってみることは大事だと思います。他者と比べ、自分に嘘をついて他者に勝つことばかりに力を注ぐ人生って疲れますよね。
 
また、自己理想が高すぎはしないか、検討することも必要です。自己理想が高すぎると、優越の追求の道のりにおける小さな進歩を見逃してしまいがちになります。「自分は、全然進歩できてない!」とか「自分はダメな奴だ」と自己否定をしてしまい、悪いことには他者との比較で優越を求める方へ進んでしまう危険性があると思います。
 
劣等感を抱くことでしんどい思いをしているのであれば、一度、自分自身と向き合うことがオススメですね。
 
そして、自己理想を再確認・再構築した上で、それへ向けて「一番簡単にできること」を考えてやってみる。それが、劣等感を成長のエネルギーに変えていく第一歩になるのではないかと思います。
 

✿最後に

今回の講座で、劣等感に対する認識がかなりポジティブなものに変わりました。自分の理想の姿と今の自分を比べて「まだまだだな」と思って、いろいろと試行錯誤を繰返すことはむしろ健康的なことなんだと思えるようになりました。
 
また、向後先生の「自己理想は自分が決めるもので、優越の追求の仕方やペースも全て自分が自由に決めていい」という言葉で、かなり気持ちが楽になりました。「誰のものでもない、自分の人生、好きなようにやっていっていいんだよ。」と背中を押してもらえた気がします。
 
劣等感を成長のエネルギーに変えて、これからも自己理想を追い求めていこうと思います!
 

✿向後先生の書籍紹介

はじめにも書きましたが、向後先生のアドラー本は本当にわかりやすくオススメです。僕は岸見一郎先生の『嫌われる勇気』でアドラーに初めて触れましたが、きちんとアドラーの理論を実践できるようになったのは、向後先生の本でした。さすがは、現場で「教えること」を教えている先生だけあります。
最新刊の『幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉』も良いですが、アドラーに初めて触れられるという方には、『人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ』か『コミックでわかるアドラー心理学』をオススメします!
向後先生の本からアドラーに触れて、幸せに生きるエッセンスを日常生活に取り入れて、豊かな人生を送っていきませんか?

 

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

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人生の迷いが消える アドラー心理学のススメ

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アドラー“実践

アドラー“実践"講義 幸せに生きる (知の扉)

 
コミックでわかるアドラー心理学

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この記事の参考文献:
『幸せな劣等感 アドラー心理学〈実践編〉』向後千春 著